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南充浩 オフィシャルブログ

ガチャマン時代は永遠に戻って来ない

2013年12月13日 未分類 0

 国内の生地製造業者や染色加工業者が生き残るためには、まず自社製品開発と直販への着手が緊急の課題だろう。
 ここでいう製品とは、生地やプリント染色などの従来の彼らの「製品」ではなく、例えばストールやジーンズ、小物雑貨といった「製品」のことである。
製品を作ったからにはどこかで売らねばならない。
小売流通業への卸売りを模索するとともに、自社直販の手段も講じねばならない。

「生地販売を強化して売上高を回復」という取り組みの方が近道だと考える国内産地製造業者も多いだろうが、中高級価格帯を扱う国内アパレルの生産ロット数は知れている。
1社や2社取り引き先を増やしたところで、生産する生地のメートル数は何百メートル単位が増えるだけだろう。
それこそ、カイハラよろしくユニクロのような大ロット生産が可能なブランドと組むほかはないが、大ロットブランドは低価格帯であるから、国内産地製造業者のコストと合わない場合が多い。
カイハラのような例は稀なケースだと考えた方が良い。

それ以外だと工業資材としての生地取り引きを増やすほかない。
シートベルト、コピー機の排出口のピラピラ、カーシート、液晶画面の研磨布などなどである。
これらも生産ロットは馬鹿デカイが、単価は安い。
国内産地製造業者の救世主とはなりにくい。

それにユニクロや工業資材のような超大ロット受注があったところで、国内産地製造業者の製造キャパは極めて小さい。さらに今更大規模な設備投資で拡張することもできないから、大ロット受注なんていうのは絵に描いた餅にすぎない。

こう考えてみると、現在の小規模生産背景を活かすには製品化しかない。

製品化したからには、自社での直販も考慮にいれないといけない。

そういう風潮を察してか、最近、製造業者や産地組合が外部から講師を招いて製品化への取り組みのセミナーや講演会を開催することが増えた。

これは喜ばしいことではあるが、閉会後の反応はだいたい2つに別れる。
「我々もがんばりましょう」という場合と
「製品化とか直販なんて言われても・・・・」という場合だ。

前者の場合は希望が持てるのだが、それでも組合全員でというのは無理だ。
なぜなら各社で温度差がある。低体温の企業を無理やり引っ張ることはできない。
自然とやる気のある何社かが取り組むことになるが、間違ってもここで組合が「平等に」なんて言い出してはいけない。そうなると低体温の企業を参加させることになり、やる気のある数社のモチベーションを下げることになる。
ここに「変な平等感覚」はまったく必要ない。

後者の場合は重症だ。
事業主や組合が意識を変えないことには、いくら外部から優れた講師を招いても時間の無駄である。
それなら家に帰って2時間好きな映画のDVDでも見ている方がマシである。

ただ、今後いくら待っていても国内産地がガチャマン時代のような活況を呈することは絶対にない。
現在、中国の経済失速、政治的軍事的対立、人件費高騰によって、国内製造業へ受注が戻りつつある。けれどもこれは今後永遠に続くものではなく一時的なものにすぎず、いずれ東南アジア諸国やインドあたりへシフトしてしまうことは目に見えている。

国内製造業へのわずかな揺り戻しがある現在をボーナスステージと捉えて次への準備を進めるべきである。
もしくは円満廃業への準備を進めるか、である。

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