洋服を買う場所が完全にネット通販には置き換わらない理由
2021年8月23日 お買い得品 0
洋服のネット通販の需要は重々承知しており、その利便性の高さも理解している。
また利用方法も何となく自分なりには把握しているが、個人的には洋服の購買はできれば店舗でか、一度店舗で実物を見たことがあるものにしたいと思っている。
そんなことを言いながら、実は毎月、アダストリアの直営サイトであるドットエスティでだいたい4000円分くらい服を買ってしまっている。
グローバルワーク、レイジブルー、ハレ、ラコレなどなどとブランド数が多いから、店舗で実物を見ようとしても回り切れない。
アダストリアの全ブランドを回るほどいくらなんでもそこまで暇ではない。
ということで、ドットエスティで毎月買っているのは、実物を見たこともない商品である。
画像とサイズ表記を基準に選んでいる。説明文はアダストリアの場合ほとんど当てにしていない。
なので実際に商品が届いてみると、思っていたのと異なる場合がある。とくに多いのは、生地が薄い・厚いということである。
画像で見て、これまでの経験と照らし合わせて「こんな感じではないか」と類推した物よりも生地が厚い、生地が薄いという場合が少なくない。
あと、生地が柔らかすぎる・硬すぎるという場合もある。
当方が購入するのは100%セール品なので、返品不可となっており、わざわざ返品しようとは全く思わない。こちらが着用法を変えれば良いことである。
ただ、どうしてドットエスティを愛用しているのかというと、手持ちの服のほとんどがユニクロとジーユーになってしまっており、自分にとってあまりにつまらなく、飽きてくる。
まるでファーストリテイリングの社員のようである。
そうなると、たまには違うブランドを着てみたいなあと思うのだが、そのときにお手頃価格で売られているのがアダストリアの値下げ品なのである。
デザインももちろんベーシックな物もあるが、ユニクロにはない物もある。
そんなわけでだいたい毎月2枚くらいセール品をネットで買っている。
もうサイズに関してのチョイスミスは無くなった。似合うか似合わないかわからないという問題はまだ残っている。
先日、パッチワーク風ミリタリージャケットを買った。
気温は暑くて着られないが、夏物を買うのも飽きてきたので、秋に備えてドットエスティを毎月活用している。
定価8690円(定価)が2607円にまで値下げされていた。
で、到着して開封して触ってみると、思ったより生地が薄い。
当方は、デニム生地でいうと13・5オンスくらいを想像していた。しかし、実物は11オンスくらいの薄さの生地だった。セーターを下に着れば真冬直前まで着られるのではないかと勝手に考えていたのだが、これは見事に外れてしまった。
まあ11月下旬くらいまでの着用ということになり、真冬は補完しておいて、また春先に着用ということになるだろう。
今回、何が言いたいのかというと、いくらネット通販が将来的に有望であっても、この「生地が薄い・厚い」「柔らかい・硬い」ということを解消できる機能がネット通販には存在しないという問題がある。
それゆえに、各種の統計やアンケートで上位に「洋服は実物を見てから買いたい」という答えがランクインするのだろうと思う。
イシキタカイ系や自称イノベーターは、ZOZOTOWNの急成長時、ネット通販がまるで万能であるかのような言説を振りまいていた。
もちろん、ネット通販という新しい販路が拡大するという未来は否定しない。今回のコロナ禍でネット通販をやらずに実店舗のみだったブランドはさらに厳しくなっている。
しかし、その一方、ネット通販が伸びても衣料品市場規模は拡大しているわけではなく横ばいを続けていたのだから、ネット通販がブランドの成長戦略ではなく、早い話が買う場所が変わっただけということになる。
また、コロナ禍による実店舗の売上高減少をネット通販では完全に穴埋めしきれていないというのが実情でもある。特に大手ほど穴埋めしきれていない。
ではネット通販に完全に置き換わらない理由はなにかということになること、これまで何度も書いたように、衣料品は身に付ける物だから
1、生地が硬いか柔らかいか
2、生地が薄いか厚いか
3、着てみたときに似合うか・似合わないか
この3点がネット通販に置き換わることを阻害しているといえる。
いずれ、新技術が導入されれば解決できるかもしれないが、現時点で解消することは不可能である。だから、消費者アンケートでは「高額品は実店舗で買いたい」という答えが上位に来ることになる。
2000円程度の服なら失敗したところでさほど惜しくはなく諦めもつきやすいが、1万円を越える服を失敗したときは惜しいし、諦めきれない。
だから、高額品は実店舗で買うという意見が上位を占めることになる。
ネット通販という新テクノロジーに対して興奮・高揚するという人は、ハッキリいうと少数派である。大衆は、自分にとって都合の良い買い方ができるなら、販路がネットである必要がなく、実店舗でも構わないわけである。むしろ、高額品の場合は実店舗で買う方が消費者メリットがあると考えているといえる。
予想より生地が薄かったジャケットだがデザイン的には好きなので、晩秋にかけて着用することにしたいと思う。