戦略的ブランド休止から再スタートを切るセシルマクビーの見事さ
2021年8月20日 ネット通販 0
セシルマクビーが復活する。
昨年11月に最後の店舗が閉店してからわずか1年足らずである。
セシルマクビーが再始動、オンラインストアオープンへ 「帰ってくるの!?」「復活したんか!」とネット注目 – ライブドアニュース (livedoor.com)
今度はどういう形態になるのかというとこれは各種メディアでも報じられているように
ブランドやキャラクターなどのライセンス業務を行うビリーフが、アパレル事業を展開するエスダーヴ(旧社名:ジャパンイマジネーション)と、同ブランドのマスターライセンス契約を締結したことによりアパレルの販売を再開する。
とのことである。
業界関係者はとっくにご存知のことだが、このライセンス管理会社ビリーフというのは、旧ジャパンイマジネーションが作ったライセンス管理会社で、セシルマクビーなどのライセンスを管理していた。
そのビリーフが、旧ジャパンイマジネーションのエスターヴにライセンス供与して販売を再開するというのだから、実質的には旧ジャパンイマジネーションがセシルマクビーを再開するというのと同じである。
これだけだと、昨年休止し、1年弱の期間をおいて再開するという意味がちょっとわからないが、今回の報道内容を見ると、個人的にはブランドリニューアルの一環だったのではないかと思える。
ただ、通常の営業活動を続けながらのブランドリニューアルというのは、なかなかに難しく失敗例も数多い。
今回の報道で使用された画像や価格帯を見ると、旧セシルマクビーとブランド名は同じだが、洋服のテイストや価格帯は大きく変わっている。特に価格帯は
価格については、トップスが2990円など手頃な設定となっており、「2990~って、めちゃめちゃお手頃じゃん。。楽しみっっ」「ちらっと覗いたら、価格にビックリ 安くないですか?最強すぎます」などと好意的に受け止められている。
とある。SNS上の好意的コメントなんてどうでもよいが、値段帯は旧ブランドに比べて大幅に値下がりしている。
ブランドのイメージ画像に使われている服もどちらかというとシックなイメージになっており、旧ブランドとはテイストが全く異なる。
早い話、テイストを一新し大幅値下げをしたということである。
この政策を行う際、営業を続行しつつリニューアルすることは業務上云々というよりも、消費者に対してかなり難しい説明が求められる。
むろん、かつてのファンから好意的に受け取られるばかりではないから、説得しつつ新テイスト・新価格を提示することになるが、一定数のアンチが生まれやすい。
そこを見越しての「一旦ブランド休止宣言」だったのだろうと、今にして思う。
これを考え、採用し、実行した旧ジャパンイマジネーションの木村達央社長は相当なやり手策士なのだろうと感心する。
まず、休止を発表することで、加齢によって離れて行ったかつての顧客を含め、セシルマクビーというブランドに改めて注目が集まる。また、注目によるアンチも湧きにくい。
1年弱での復活ということから類推するとブランド休止の発表時には再スタートはすでに構想していたのではないかと思える。
そうでなくては商品が用意できないだろう。
1年弱という期間が長すぎるのか短すぎるのかというところが議論の余地があるだろう。個人的には「復活が早くないか?」と感じてしまう。
とはいえ、5年以上経過して復活するとあまりインパクトがないだろうから、3年以内には復活する必要があった。
そして一旦休止したからにはテイストをガラリと変えて、価格を大幅に引き下げても、前期までの商品との齟齬は生じない。
再始動の発表を受け、SNSでは「おお~!セシルマクビー復活」「やっぱりCECIL McBEEは可愛い!好き!」「え。帰ってくるの!?!?」「セシル復活したんか!」などと喜びの声が舞い込んでいる。
というように好意的に受け取られるわけだ。ただし、ここで喜んでいる人たちが旧セシルマクビーをどれほど愛用していたのかは極めて疑問なのだが。(笑)
販路についてだが、
まずはオンラインストアを23日にオープンさせる。今後、イベントやポップアップストアなどで消費者に直接手に取ってもらえる機会を作るとしている。
としており、コロナ禍の現在、オンラインストアからのスタートは極めて理にかなっている。
そして、さらに邪推すれば経費がかかりやすい実店舗をすべてクローズすることもブランド休止の目的の一つだったのではないだろうか。
ブランドクローズ時には実店舗売上高が激減していることが伝えられていたからだ。
ブランドを休止してしまえば店舗もクローズできるし、販売員もリストラすることができる。
そこも含めて、木村社長は相当のやり手策士である。(褒めている)
今後のセシルマクビーだが、恐らくは旧セシルのピーク時のような売り上げ規模にはならないだろうし、それを目指さないのだろうと思う。
小規模の手堅く利益重視で運営していくのではないだろうか。
洋服とバッグという違いはあるが、経営の建て直しに苦労しているサマンサタバサに比べ、戦略的ブランド休止からのリニューアルスタートで注目を集めることに成功したセシルマクビー。どちらも一世を風靡したレディースブランドだがなんとも対照的な方針といえる。
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