
リュック人気が続く限りサマンサタバサの苦戦は続くのではないか?
2021年8月19日 トレンド 1
「サマンサタバサが米国事業を解散」というと、米国本土でそれなりの規模で事業を展開していたのかと思ってしまうが、実はハワイで小規模に展開していただけだった。
たしかにハワイも米国だから米国事業には違いない。(笑)
サマンサタバサ、ハワイの子会社が解散 業績の回復困難と判断 (fashionsnap.com)
SAMANTHA THAVASA USA,INC.の2021年2月期の業績は売上高が2784万円(前年は8194万円)で、営業損益は6833万円の赤字(前年は3425万円の赤字)だった。
とのことで、この売上高ではピーク時でも知れていただろう。
解散し、撤退するのは当然だし、撤退したところで何の痛みもない。
さて、そのサマンサタバサだが、ハワイ店に限らず苦戦が続いている。もちろん、コロナ禍の影響はあるのだろうが、サマンサタバサが不調に転じたのはコロナ禍が起きる何年も前だった。だからコナカの子会社になってしまった。
ちなみに昨年8月時点ではこのような惨憺たる有様である。
サマンサタバサが債務超過に転落、3〜5月期は11億円の最終赤字 (fashionsnap.com)
2021年2月期第1四半期(2020年3月1日~5月31日)の連結業績を発表した。売上高が25億5700万円(前年同期比60.2%減)、営業損益が11億5200万円の赤字(前年同期は1億6400万円の黒字)で、親会社株主に帰属する四半期純損益は11億8500万円の赤字(同1億1100万円の黒字)に転落。
5月末時点で約7億5800万円の債務超過に陥っている。
とのことである。
そして2021年2月期連結も減収赤字幅拡大である。
2021年2月期連結は、
売上高 225億9400万円(対前期比4・1%減)
営業損失 35億2100万円 (約24億円の赤字幅拡大)
経常損失 35億9900万円
当期損失 100億4900万円
に終わった。
何度も言うようにもちろん、コロナ禍の影響はある。
しかし、サマンサタバサというブランドに関していえば、コロナ禍の前から凋落していて最終的にコナカの子会社になってしまったから、不振の原因はコロナ禍だけではないことは明らかである。
不調に転じた際にはマーケッターからは様々な意見が出た。あれだけ隆盛を誇っていたブランドが突如として不調に転じたのだから世間的にも大きな興味を集めた。
・エビちゃんに代表されるようなモデルを使った販促が時代に合わなくなってきた
・トレンドとサマンサのテイストが合わなくなってきた
などが主だった意見だったと当方には感じられた。
もちろん、正解の一つではあるだろう。
ただ、冷静になって今から振り返ってみると、テイスト云々もあるがそれよりも主力商品が今の時代の大衆のニーズとマッチしなくなったのではないかと最近になって思えてきた。
オッサンである当方の生活スタイルを考えてみると、2014年頃にメッセンジャーバッグからリュックへと切り替えた。その昔90年代後半から2000年半ばまでリュックだったが、それ以降トレンドに左右されてメッセンジャーバッグを使っていた。使用期間は約10年。
しかし、元来肩凝り症の当方はメッセンジャーにしてから肩凝りが酷くなった気がし、2013年後半からリュックへと戻した。
メッセンジャーも両手が空いて便利だったが、リュックも同様に両手が空いて便利である。
当方は今更、不便な手提げバッグに戻ることはできない。
世間的には2011年の東日本大震災の際、帰宅難民となった人たちがそれ以降続々と手提げバッグからリュックへと切り替えた。
サラリーマン男性、OL層こぞって2011年春以降、リュック使用者が増加した。
手提げバッグをぶら下げたまま何時間も歩いて帰宅するのは相当に苦痛だったからだ。
2011年とか2012年に「リュックサックの需要増」という記事があちこちに掲載され、ファッションタリバンのような方々からは「スーツやビジネススタイルにリュックは合わない」という大合唱が起きたが、所詮ファッションタリバンはノイジーマイノリティであるから、サイレントマジョリティ―の大衆には見向きもされなかった。
大衆は利便性・快適性を味わってしまうと、そちらを支持する。
そして2021年現在、リュックスタイルは男女ともに主流のままである。
あれから10年。
リュックというと、どうしてもアウトドアブランドやスポーツブランドのナイロンやポリエステルのツヤツヤ・テカテカを想像してしまう。
もちろん、メンズにはそれの使用者は多いが、レディースはちょっと違っている。
代表商品はアネロである。
キャンバス地や合皮などの素材を使って、スポーツ・アウトドアテイストはない。
最近ではアネロの類似品も出回っている。何の気なしに若い女性のスタイルを街頭で眺めていると、ほとんどがアネロかそれっぽいリュックを背負っている。

https://www.carrot-online.jp/c/anello/a-ruck/ATB0193RB
30代・40代でもアネロ系リュックスタイルの女性が増えた。
サマンサタバサの主力商品は何だっただろうか?手提げのハンドバッグである。
今、ハンドバッグをぶら下げている女性がどれほどいるだろう。もちろん、ゼロではないが、2000年代半ばに比べると大幅に減少しているように見え、リュックスタイルが格段に増えている。
となると、いくらコナカに売られようが、社長が交代しようがサマンサタバサが好調に転じるはずもない。
新社長の経歴がどうのこうのなんていう論点はナンセンスの極みである。
洋服ブランドならテイストを今風に変えて生き延びることが可能な場合もある。しかし、ハンドバッグブランドであるサマンサタバサはどうか?今からリュックブランドへ転身できるのか?転身したところでその効果が出るのは何年後になるのか?
これは今、好調なリュックブランドにも言えることで、違う形態のバッグが主流になった際、主力商品を切り替えることができるのかどうかである。
しかし、利便性・快適性から考えると男女ともにリュック需要は半永久的に続くのではないかと思う。逆に今後大衆向けにハンドバッグ人気が復活することはかなり可能性が低いのではないかと思う。
となると、サマンサタバサの苦戦は今後も続くだろうし、今後さらに規模は縮小し、アフターコロナでも業績は好転しないだろうと考えた方が的確ではないだろうか。
それは正統派メンズビジネススーツが今後需要増に転じないのと同様である。
サマンサタバサは主力商品をガラリと変えるか、異業種へ進出するか、しか活路はないのではないかと、オッサンたる外野の当方は見ている。
サマンサタバサのハンドバッグをどうぞ~
どんな業態でも同じでしょうけど、やっぱり商品はある程度はいろんなものが無いと一気にダメになるのが多そうっすね。拡大基調の時は一極集中でも良いんでしょうけど、一定規模まで成長したらリスク分散すべきなんでしょう。
ちなみに、私を訴えていた某有名経営コンサルタントは、本業はダスキンの代理店なのに、コンサルティング(高額セミナー中心)に8割方の力を使っていたから、コロナで高額セミナーができなくなって、あっという間に赤字転落してましたしw