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南充浩 オフィシャルブログ

良品計画の売上高3兆円計画を訝しく感じる理由

2021年7月27日 企業研究 5

先々週くらいのことである。7月22日から4連休だということを初めて知った。

何度も書いているが、離婚してからほとんどテレビを視なくなっていて、今年だと日曜日のゼンカイジャーと大河ドラマ以外視ていない。

あ、土曜朝の「ダイの大冒険」もチラチラと視ていた。7月からはイマイチ個人的には好きになれないなあと思いながら「ウルトラマントリガー」を眺めている。

4月から6月末まで録画して深夜アニメ「ダイナゼノン」も視ていたが、CMは飛ばしていた。

まあ、そんなわけでほとんどニュースはネット記事を読むばかりでオリンピックのための休日変更をすっかり忘れていた。そんなわけで22日から4連休が始まった。

 

そんな4連休前の21日の夜に、無印良品を展開する良品計画が壮大な計画をぶち上げた。

そのおかげで4連休明けの26日の良品計画の株価は下がり続けから一転して値上がりした。この効果がどれほど続くのかはわからないが、とりあえずは狙い通りだろう。

 

「無印良品」30年に売上高3兆円へ 次期社長の堂前氏、6倍の成長掲げる | WWDJAPAN

 

30年8月期の目標として、売上高3兆円、営業利益4500億円、国内・海外合わせて2500店体制を掲げ

 

とある。

あと9年後には売上高を現在の約6倍に拡大するという壮大な計画である。

ちなみに2021年8月期の売上高は4900億円の見込みである。

 

良品計画 地域密着型の個店経営加速 2030年に売上高3兆円目指す | 繊研新聞 (senken.co.jp)

 

 

 

壮大な計画に対しては好意的に受け取る人が多い。しかし、個人的には良品計画のこの計画については眉唾だと感じる。

まあ、もちろん、高い目標を掲げることはある程度必要だが、今回のは新社長のリップサービスないし、証券・コンサル出身者特有の大風呂敷を広げたとしか感じられないでいる。

売上高を拡大させるためには、原則として

1、客単価を高める

2、店舗数を増やす

3、1店舗当たりの売上高を拡大させる

という3つしかない。

この3つをどう組み合わせるか、どれを取捨選択するか、ということになる。わずか9年間で6倍に拡大させるのだから、どの施策を採るにせよ大幅な拡大・増加が必要となってくる。

1億円を6億円にするのは、比較的簡単だが、5000億円を3兆円にすることはかなり難しい。同じ比率でも分母が大きくなればなるほど拡大させるのは難しくなる。

 

具体的にはどのような施策かというと

 

衣服・雑貨・食品の3分野で生活の基本となる商品を購入する際、消費者が最初に思い浮かべるブランドになることを目指す。出店の軸足は国内においては郊外や地方のスーパー隣接地に移す。(繊研新聞)

 

「個店経営」「土着化」といったキーワードで表現する地域密着型の事業モデルを描く。(WWD)

 

とあり、正直なところ具体的にはあまりよくイメージできない。

衣服・雑貨・食品の三本柱という認識は理解できるが、衣服でユニクロを越えて「最初に思い浮かべるブランドになる」ことは相当難しいだろう。食品も同様だ。もちろん、現在は好調だが、日本人が誰でも「食品」において無印良品を思い浮かべるというのは不可能に近いと当方は見ている。なぜなら、圧倒的に食品スーパーやドラッグストアの食品の方が占有率が高い。また価格的に見てもスーパーとドラッグストアの方が無印良品よりも安いからそちらを支持する人は減らないだろうと思う。

雑貨とて同様で、百均のダイソーやセリア、キャンドゥがあれば十分と感じている人は多いだろう。少なくとも当方はそうである。

 

繊研新聞の記事には

 

地域に根付いている食品スーパーの横など日常生活に密着した立地に売り場面積1980平方メートル超の店舗を出し、生活に必要な商品の全てを販売する。

 

とあり、約600坪(1坪=3・3平方メートル)の店を出して総合的に扱うとあるから、地域の食品スーパーを潰すつもりだと当方には読める。だが果たしてそう易々とできるだろうか。個人的にはかなり疑問である。

 

結局のところ、具体的な手段としては大量出店ではないかと読める。

 

国内では24年度末までに年間100の出店をできる体制を整え、海外では中国で年間50、その他アジアで30を出店できるようにする。個店経営を徹底し、国内外で地域に密着した店舗運営ができるよう、店長クラスの人材の育成を強化する。(繊研新聞)

 

国内100店舗ずつ、中国50店舗ずつという出店ペースが最も具体的な売上拡大計画だろう。しかし、ここにも疑問がある。

これは個人の国際観によって相当の違いが出てくるのだが、当方は、中国市場がこれまでのような成長を見せ続けるようには到底思えない。

ウイグル人問題による新疆綿への欧米の経済制裁を、ファーストリテイリングも良品計画もついでにニトリも各経営者は甘く見ているようだが、当方は欧米は本気で中国の国力を削ぎに来ていると見ている。

また、ウイグル問題の次は、欧米はチベット問題で締め付けるという情報もある。

 

14億の市場がという人もいるが、13億の市場があるインドがあれば十分に代替可能だと欧米は見ているのではないかと思う。当方はインドで代替可能だと見ている。

ファーストリテイリングもそうだが、良品計画は、中国に軸足を置いた成長は今後、欧米に著しく阻害されてゆくことになるのではないだろうか。

 

また国内でも年間100店舗を6年間(24年以降30年まで)も続けられるほどの立地と需要があるとも全く思えない。

しかも個店経営メインと言っているのだから、ワークマンのフランチャイズ体制に近い部分もあるのではないかと感じるが、地域密着はできても5000億円の企業としては統制しづらくなることが予想される。

 

水を差すなという方もおられるだろうが、無印良品というブランドの性質と顧客層、現在の店舗展開と品揃えから類推すると、9年後に3兆円達成というのはモチベーションアップの計画としてはありだが、実現性はかなり低いと感じる。

如何にもグローバルな証券・コンサル出身者らしいリップサービス&大風呂敷ではないか。

 

 

そんな無印良品の収納本をどうぞ~

 comment
  • タナベ式 より: 2021/07/27(火) 12:24 PM

    人口減やアルバイト確保に困難な先の時代を考えたら出店しまくりでの売り上げアップは難しい気がしますね。
    それよりも次世代型コンビニっぽいスーパーのイオン系まいばすけっととかと提携して値段で対応できる商品でおしゃれパッケージ缶詰とかおしゃれ保存食系を置かせてもらうとかの方がシンプルに売り上げアップになる様な気がしました。会社間の関係は知らんけど。

  • ふりい より: 2021/07/27(火) 12:49 PM

    証券・コンサル出身というより、ファストリ出身と言った方がいい経歴と思うのだが…

  • 読者 より: 2021/07/27(火) 2:18 PM

    この発言ユニクロ出身の新社長でしょ。はやくも会社が下り坂なったなという感じ。
    無印良品はサプライチェーンに問題あって良い商品でもなぜか継続できず終了というのが
    多い。製造業者に適正な工賃払わず値切って契約終了とかになってるんじゃないかな?
    といつも思ってる。
    他方インド進出で成功したらまだ勝機あると思うけど、人材残ってるのかは?
    少なくともこの人はそういう人材ではないように感じる。

  • 浮浪人 より: 2021/07/30(金) 10:52 AM

    この1年の無印の売り上げの伸びは食品と生活雑貨。コロナ禍での巣ごもり需要をうまく取り込めたのだと思う。
    ただ、筆者も指摘するようにアパレルは前年を割り続けている。
    ウイグル問題も非常に歯切れが悪いが、原料と市場を考えたら、中国に歯向かえないのだろう。
    生活雑貨もニトリやカインズ、最近ではダイソーも新業態で似たようなものを安く出している。
    無印は以前も大型店を出して、失敗したかと記憶しているのだが。
    日本の小売業としては珍しくオーナー系企業ではない(なくなった)ので、株主対策としても大きなことを言わなければいけないのだろうか。

  • BOCONON より: 2021/07/31(土) 6:28 PM

    そんな事よりこれ,早くも物笑いのたねにされている様子。引き返すなら今のうちですね。
             ↓
    https://rocketnews24.com/2020/07/03/1389562/

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