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南充浩 オフィシャルブログ

ネット通販に向いている分野と向いていない分野

2021年7月21日 トレンド 0

前回の無印良品の商品を実店舗で仕事として買ってみたことを書いたが、50代の中老としては、やっぱりネット通販より店頭で選んだ方が選びやすいと改めて感じる。

もちろん店頭で、買う際には、ネット通販ページでサイズ表記やレビューなんかを確認する。

その確認作業があるから、逆に以前よりは買いやすくなった部分もある。

例えば「生地が硬かった」とかそういうレビューは参考になる。また、何となくネット通販に慣れてきたジジイにとっては、だいたい自分のサイズ数は把握しているから、試着するまでもなく、ネット通販のサイズ表記を見れば着られるかどうかは理解できる。

これはネット通販が拡充して便利になった部分といえる。

 

そういう点においては、この3年くらいで格段にネット通販による実店舗購入のサポート体制がなし崩し的に進んだと感じる。

しかし、その一方で、実際に店頭で生地を触ったり試着したりするのと、画面だけで買うのとでは格段に納得度合が違うとも改めて感じた。

 

例えば、前回挙げた「ポリエステル100%半袖セーター」だが、商品の表記通りだとすると「強撚ポリエステル」ということになる。

強撚糸を使った生地というと、大概の場合は、シャリシャリした触感になり、ソフト感よりは硬さが目立つようになる。となると、画面とその表記文だけで想像すると、シャリシャリの硬めの生地を想像してしまう。

画面を見ただけの時点での山本晴邦氏からは「素肌に着たら乳首から血が出ますよ」とまで注意をされた。(笑)

しかし、現実的には結構ソフトな触感で、多分素肌に着ても乳首からは血が出ない。もっといえば、当方はインナーTシャツを着た上から着ているので乳首は安全なことこの上ない。(笑)

 

だが、これくらい、画面+表記文と、実物を触るのとでは大きく差が出てしまう。

しかもその表記文が正確ではないと一層その傾向はひどくなってしまう。言ってしまえば、根拠が不明な「強撚」なんて書く必要はなかったわけである。

実際に触った感じはとてもではないが強撚糸で編んだとは思えないソフトさである。

改めて表記文の正確さの重要性を痛感した。

 

昨年のコロナ禍による営業中止、今春の営業中止で、ネット通販への注目度はこれまでよりも格段に高まった。売る側からするとネットしか売る場所がなかったし、買う側からしてもネットしか買える場所がなかったから極めて当然のことである。

ネット通販の売上高が増えるのはこれも当たり前である。

しかし、ネット通販の売上高が増えても、実店舗の落ち込みはほとんど補完されていないという現実がこの1年で浮き彫りになった。

 

決してネット通販が役に立たないと言っているわけではない。

ネット通販が無ければもっとひどい売上実績だったことは言うまでもない。

だが、一部の業界人やテック業界人が期待に胸を膨らませていたほどの売り上げ規模には今もなっていないというのが現実である。

そして、これは今後も同じだろうと思う。

 

ネット通販専用ブランドだとか、日本に店の無いブランドだとかは話は別だが、これまで実店舗主体に何百億円、何千億円という売上高を稼いできた大手ブランドは、ネット通販だけでその規模を維持するのは到底不可能だということである。

そして心ある業界人はそろそろその現実に気が付き始めた。

 

一方でネット通販の好調が原因で好況な大手アパレルもある。

例えば、子供服で著名なナルミヤインターナショナルである。

 

ナルミヤ1Qは黒字転換、ECでリアル店舗の代替購入拡大 | 通販通信ECMO (tsuhannews.jp)

 

ナルミヤ・インターナショナルがこのほど発表した2022年2月期第1四半期(21年3~5月)連結決算は、売上高が前年同期比53.8%増の71億1300万円、営業利益は4億200万円(前年同期は4億3500万円の営業損失)、純利益は2億2700万円(前年同期は4億5200万円の純損失)となった。
とある。また
  • 百貨店とショッピングセンター、ECも増収増益…EC売上比率が29.7%に

とも書かれてある。

 

こう見ると、ネット通販でもやりようによっては実店舗を越えられるのではないかと考えてしまう人も中にはおられるだろうが、子供服の場合、ローティーン女子は別としてそれ以外は子供が自分で買うワケではないから、一般的な大人服とは買い方が異なる。

父母や祖父母、親戚や知り合いの大人が買うわけである。

子供自体が自分の好みで買っているわけではない。もちろん、大人の側とすれば子供が着る物だから素材や機能性にはこだわって買うが、最終的には、自分が着ない物だから実物を一度触ってまで確認する人は少ない。少なくとも当方はそうである。納得できる表記文なら実物を触りに行かずにネットで買う。

 

また、最大の問題点である「似合う・似合わない」も代替購買だから関係ない。

自分が着るなら試着しないと「似合う・似合わない」は分からないが、どうせ自分が着る服ではないから、そこを突き詰めてまでは考えない。

だから大人服よりもはるかにネットで買いやすいといえる。

少なくとも当方にとっては自分の服をネットで買うより、子供服の方がネットで買いやすい。

 

前回ご紹介した半袖セーターだが、無印良品の公式サイトでは、男性がKLを着ている。

この画像だが、かなりダボっとして見える。

 

 

この画像の男性は大阪弁でいうところのシュっとしているが、これを当方が着るとどうなるかというと、当方は首が短く、肩幅広く、胸囲が厚い。そうなると、単にゴツイ小太りのオッサンということになる。

実際にビッグシルエットTシャツを着るようになって「こんなにゴツかったですか?」「太った?」と言われることが増えた。

ちなみにズボンのウエストのサイズは冬から変わっていないのに、である。泣

 

要するにここまで大きいサイズは、当方には似合わないということであり、実際の体格や顔付き、雰囲気で似合う・似合わないというのは確実に生じてしまう。

そこをクリアにできるのは、今のところ試着だけなので、サイトを見ただけでネット通販で買うというのは、期待されたほどの規模にはなっていないということになる。

 

 

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