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南充浩 オフィシャルブログ

洋服はますます「快適性」と「機能性」を求められるようになる

2021年7月14日 トレンド 1

当方よりも年配、とくに男性は「綿素材」が非常に好きである。

Tシャツやシャツにポリエステルが混じっていることを極度に嫌う方もいる。

肌が弱くて合繊では荒れてしまうという人は仕方が無いとして、そうではない人でも綿100%への信仰は根強い物がある。

かくいう自分も綿100%素材を信仰していたし、これまでも愛用してきた。

 

今夏の関西の気候は、梅雨入りが早かったものの、6月は最終週まで比較的湿度が低く涼しく過ごしやすかった。

しかし6月最終週にいつもの蒸し暑い梅雨がやってきた。

毎年、梅雨から夏の終わりまで、ほとんどをTシャツで過ごすのだが、汗を大量にかくため、綿100%のTシャツが常に湿ったままであることが多い。

冷房の効いた部屋で数時間過ごすと乾くが、そうでないときは常に汗で湿っている。

もちろん、周りの人間も見ていて不快だろうが、着ている当方も不快である。

綿100%は吸水率は高いが、なかなか乾きにくい。特に当方が愛用している厚手のTシャツは一旦汗で濡れるとなかなか乾かない。

また、4年くらい前から、汗染みを見えにくくするために、インナーTシャツを着るようになった。

Tシャツの下に薄手のインナーを着ることで、Tシャツへの汗染みを軽減することに成功した。

だが、Tシャツはあまり濡れないが、インナーのTシャツはずっと濡れたままである。上にTシャツを重ねているのでさらに乾きが遅い。

かと言って、インナーTを脱げば、通常のTシャツが汗で濡れてしまう。

まあ、こんなものかと我慢していたが、以前にも書いたように今年はジーユーでドライユーティリティーポケットビッグTを値下がりした時に買ってみた。

ポリエステル93%・ポリウレタン7%という組成である。

ドライとついているので吸水速乾商品である。

 

インナーTの上から、ドライユーティリティーTシャツを着てみた。

 

汗のかき方は変わらないが、ビッグシルエットなので通気性が良い。

インナーが濡れているのでTシャツも濡れてしまうが、ものの10分くらいで乾燥してしまう。

濡れて色濃くなっている時間が短い。

おまけに何だか体感的には、濡れたインナーTシャツも綿100%Tシャツを上に重ねたときよりも乾くのが速いような気がする。

そんなわけで590円に値下がりした時に買い足して合計4枚を持っている。

また同じ素材の形違いで、裾の左右にポケットのあるタイプも1枚買った。これも590円である。合計で5枚を所有することになり、1週間をこの5枚のローテーションでほぼ過ごしている。

そのため、これまでに買ったあまたの綿100%素材Tシャツは、着用することなく、タンスの中にしまわれたままになってしまった。

 

またズボンも同様で、これまで綿100%とか綿高混率のポリウレタン混を好んで穿いていたが、今夏からはあまり穿かなくなった。

ジーユーやアダストリアで買ったポリエステル素材のパンツを愛用している。

綿100%の厚手生地はやっぱり暑い。またタイトなストレッチパンツは足に貼りついて暑さを倍増させる。

 

そのため、合繊のワイドパンツが最も快適である。

 

そもそも、年配層が綿100%に価値を見出しているのは、どうも終戦直後には綿100%素材が貴重品で、合繊を混ぜた素材が多かったことによるものではないかと考えている。

その頃の価値観が染みついているのだろう。

また、その当時の合繊は今ほど高品質ではなかったから、ポリエステルやナイロンを忌避する価値観が生まれたのだろうと考えられる。

 

だが今は合繊の品質も向上しているし、何よりも機能性がすごい。

当方の中から合繊への偏見はこの数年間で完全に無くなってしまった。

50歳にもなると、こらえ性が無くなり、わざわざ我慢をしてファッションを重視しようとは思えなくなる。快適が最重要になる。

快適であれば、見映えとか風合いとかはどうでもいいとまで思っている。

 

先日、某紳士服チェーンの方とお話したが、今は、機能性合繊を使った「快適服」「機能服」「便利服」が好調で、その方自身もそういう服を着用して働いておられるとのことだった。

しかし、ファッション業界にはよくわからない「こだわり」論者が多々いて、さらにその中でもメンズジャンルの「こだわり」はカルトに近い物がある。

そういうカルトメンズ信者からは不評なのだそうだが、果たして一度快適さを味わった人が、おいそれとそれを手放すだろうか?

恐らくそれは無理だろう。カルトはカルトのままで大衆を支配する思想にはなれない。

 

近い将来、コロナが完全におさまり、在宅やリモートワークが減り、出社するようになったとしても、これまでのワイシャツネクタイスーツのスタイルには完全には戻れないだろう。

例えば、現在は在宅やリモートでは、Tシャツに軽いジャケットを羽織ったり、ノータイシャツにジャケット+スラックスという楽な服装が主流となっている。

再び出社するようになったとしてもこれを廃止することは難しいだろう。むしろ企業側のビジネススタイルのドレスコードが緩和されて現状追認になるのではないかと思っている。

機能性合繊しかり、楽なビジネススタイルしかり、で、楽な快適さを覚えると後戻りさせることは難しい。25年くらい前に開発された形態安定加工ワイシャツがすっかり標準装備になってしまったように。

メンズもレディースも今後さらに洋服企画において「楽」「機能性」は比重が重くなるだろう。

 

形態安定ワイシャツをどうぞ~

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 comment
  • hitonotameni より: 2021/11/14(日) 6:03 AM

    インポートブランドの綿のポロシャツを会社用に大量に持っていますが
    汗かくと乾くのが遅いのがずっと不満でした。
    登山をやりだして、夏場はポリエステル100%の速乾系Tシャツの快適さに
    気付いてしまい。オフでは、ポリ100ばかり着てしまいます。
    ただし、これらの服が何故、速乾かというと気化熱を利用しているので
    冬場は、汗かくと気化熱をもってかれて体温が落ちるので、メリノウール+ポリの混毛にしています。ウールで保温性を維持しつつポリの速乾性を生かす。
    最近登山服メーカーではこの手の混毛が流行りですが、
    まだユニクロとかは真似してきませんね。

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