岐阜・名古屋地区でアパレルの経営破綻が続く理由
2021年7月7日 企業研究 1
報道されないものも数多くあることは周知の事実だが、報道されているものを集めると、今春以降、岐阜・名古屋地区のアパレル企業の経営破綻が相次いでいる。
株式会社サンクローバー – 信用交換所 (sinyo.co.jp)
株式会社ガゼール – 信用交換所 (sinyo.co.jp)
株式会社エス・ピー・エム – 信用交換所 (sinyo.co.jp)
老舗のアパレル卸業の「三洲」/自己破産、倒産へ <名古屋市> 新型コロナ関連 – 倒産情報-政治経済・時事・倒産情報 | JC-NET(ジェイシーネット) (n-seikei.jp)
もちろん、それ以外の地域でも経営破綻はあるが、特に岐阜・名古屋地区での破綻が相次いでいる。
以前にも書いていることの同工異曲になってしまうが、ご容赦いただきたい。
岐阜・名古屋地区のアパレル企業は、基本的に卸売り主体が多い。
ひどく大雑把に岐阜・名古屋地区のアパレル企業が企画製造する商品を分類すると、
1、低価格カジュアルウェア
2、チェーン店向けメンズスーツ
3、一部にフォーマル・ブラックフォーマル
の3つに分けられるだろう。
3つの商品群を見てもらえばわかるように、市況が厳しい物ばかりである。
まず、低価格カジュアルは一概に不調とは言い難いが、大手SPA型ブランドのいくつかは好調だが、岐阜・名古屋地区のアパレルが卸す先は大型スーパーやジーンズチェーン店である。これらの小売業はは10年以上前から苦戦し続けている。
当然、そこに納入する企業の業績も苦戦せざるを得ない。
次にチェーン店向けメンズスーツだが、メンズのスーツも団塊世代の完全定年退職に伴って需要が減少した。まあ、その前から若手人口の減少によってメンズスーツの需要は減少し始めていた。
そこに向けての企画製造なので、これも売上高が減少しても当然である。
さらに加えて、2005年のクールビズから始まり、ビジネスウェアのカジュアル化が推進されると同時に昨年春からのコロナ禍によるリモート・在宅勤務の増加によって、メンズどころかレディーススーツの需要も大きく減少することとなるから、そこに納入しているアパレルは厳しくなってしまう。
最後にフォーマルだが、これもフォーマル自体の需要が元々減少しているところに加えて、昨年からのコロナ禍である。
これによって、葬式や結婚式が激減している。
とはいえ、両方とも、特に人が死ぬ(病死や老衰)のは止められるものではないから、葬式は行われているが、以前のような参列式ではなく、少人数の家族や親族だけでの葬儀が増えた。
ちなみに昨年7月に父が亡くなったが、少人数の参列で葬儀を行った。また近所や知り合いでも何人かが亡くなっているが、ほとんど参列したことがない。いずれも少人数葬で済まされている。当方も自分の父親以外の葬儀にこの1年間は参列したことがない。
となると、フォーマルやブラックフォーマルの需要は激減してしまう。
昨年のフォーマルのラブリークイーンの倒産なんていうのはその典型だろう。以前に一度破綻して生き延びていたが、コロナ禍による需要減でとどめを刺されてしまった。
株式会社ラブリークィーン – 信用交換所 (sinyo.co.jp)
そして、もう一つ付け加えるとすると、岐阜・名古屋地区のアパレルは地味でブランドの知名度が低いということも挙げられるだろう。
全国的に広く知られているようなアパレル企業やブランドがあるだろうか?
当方は無いと思っている。
もちろん、業界内の人にはそれなりの知名度はあるが、消費者層ではどうか?岐阜最大のアパレル企業である美濃屋ですらほとんど知られていないだろう。
となると、
「あれ?最近あのブランドはどうしているんだろう?」
と考える人も少ない。
当然、知られていないから、指名検索されることもない。
検索されないということは、最近の活動やネット通販も知られることはないということで、知られることはないから売れない。
本当に「知られていないのは存在しないのも同然」なのである。
最後に付け加えるとすると、今回の岐阜・名古屋地区のアパレルの破綻が続いているのは、間違いなく同地区の大手だったコイケの経営破綻による連鎖である。
その地区の大手が破綻すると、そことの付き合いがあった中小が連鎖するというのは、岐阜・名古屋に限ったことではないが、コイケの存在感が同地区でいかに大きかったかということがわかる。
だが、その大手であるコイケですら、一般的にはほとんど社名を知られていない。同じコイケでも小池百合子の足元にも及ばないだろう。
事程左様に、岐阜・名古屋地区のアパレル各社、各ブランドの知名度が低いかということである。
まとめると、岐阜・名古屋地区のアパレル破綻の連鎖の原因は
1、販路の問題
2、知名度の低さ
3、コイケの破綻による連鎖
といえる。
このまま停滞無くワクチン接種が進むと、恐らく秋からは様々な活動が正常化すると考えられる。
だが、コイケの破綻を除いた2つの要因は全く解消されない。現在の販路(低価格カジュアル、チェーン紳士服、フォーマル)が好転することは考えにくい。
また知名度の低さも解消されるとは到底思えない。
その他の外部要因は刻一刻と変化し続け、影響を与えるが、この2点は変わらないだろうから、岐阜・名古屋地区のアパレル各社の苦戦は続くのではないかと考えられる。
もちろん、各社ともに手立てを講じているとは思うが、販路の切り替えにしろ、知名度の向上にしろ、時間がかかり短時間で対処できるはずもない。
そのあたりを中長期的に鑑みて、岐阜・名古屋地区のアパレル各社には何とか生き延びてもらいたいと思うのだが。
岐阜の水甚が展開する「ファーストダウン」をどうぞ~
ラブリークィーン社の創業一家は、今も幸せそうな写真をFacebookに上げてましたw
最後の元社長さん個人のFacebookアカウントは止まってますが、先代のお父さんのアカウントでは子供の入学式か卒業式かの写真上げていて、たぶん結構蓄えがあるんじゃないですかね?w
ちなみに、元社長の弟さんは分社化したみたいな物流会社(LFC株式会社)の社長をやってたそうですが、ラブリークィーンの買収時にLFCも一緒じゃないと受けないと言われたそうで、弟さんは軌道に乗っていたLFCの社長を辞めて会社は手放したそうです。で、今は経営コンサルタントになってましたw
買収したRVH社はラブリークィーンは手放しけど、LFC社はまだ存続してるのでRVH社傘下なのかもしれません。(軽くググっても不明でした)