MENU

南充浩 オフィシャルブログ

デニム生地のセットアップを着ている工事現場の作業員が増えたと感じる話

2021年7月2日 ジーンズ 0

毎回つまらないことを書いているが、今回は特に何のことはない話である。

自宅の近所はなぜか、住宅建設が毎年ある。それで現場作業員を見かけることが多い。おまけに大阪市内もなんやかんやで工事現場があるので、作業員の方を見かけることが多い。

作業員のファッションでのマストレンドは、通年では

 

デニム生地の上下セットアップ

 

である。

 

夏期に限っては、

 

電動ファン付きアウター(空調服含む)

 

である。

この2つは作業服業界の最大のヒット作ではないかと思う。

電動ファン付きアウターは、恐らくは機能性の面から大いにヒットしているのだろう。スイッチを入れてファンが回り、空気が循環するとアウターが膨らむ。

モコモコ感が出るのでカッコイイとも思えないし、遠目から見たときの季節外れ感もすごいから、「涼しい」という機能性が無ければヒットしなかったことは間違いないだろう。

ただ、やっぱり「快適」さには勝てないから、逆に今夏ではカジュアルブランドやセレクトショップがこれに追随して電動ファン付きアウターを発売している。

現代的な作業服でのヒットをカジュアルブランドやセレクトショップが取り入れるなんていうことはこれまで無かったのではないかと思う。

それだけ「ファッション」要素よりも「快適性」「機能性」の方が消費者にとって重視されているということなのではないだろうか。

電動ファン付きアウターは基本的に電器製品なので高価格だから、客単価が高くなる。(粗利益率が増えるかどうかは別)特に高いのはバッテリーで、バッテリーとアウターのセットならだいたい2万円台~3万円台くらいになる。

夏のワークウェア、カジュアルウェアというのは軽衣料ばかりだから、低価格で客単価が低くなりがちだったのが、電動ファン付きアウターで客単価は上昇した。

作業服店の春夏商戦が好調なのは、電動ファン付きアウターの登場によって客単価が大幅にアップしたことも要因の一つだろう。

 

一方、通年のヒット作はデニム生地の上下セットアップだろう。

カジュアルシーンでは、ジーンズはマストレンドアイテムとは呼べなくなっている。スキニージーンズは男女ともに定番化しているが、それ以外は微妙である。

特にメンズカジュアルだと、レギュラーストレートジーンズを穿いているのは50代以上という印象が強い。

20代・30代のファッション好きメンズは、レギュラーストレートジーンズを穿いている人は街頭を観察しても少ない。

20代・30代のファッション好きと思われるメンズは、スポーツテイストのジョガーパンツやジャージパンツ、ワイドなスラックス、ワイドな非デニム生地のワークパンツなどが多い。

大阪市内や天王寺駅改札には怪しげな若い男のキャッチが多数いるが、いつの間にかスキニージーンズをやめて、黒いスポーツブランドの細身ジャージパンツに変わっている。

 

そういうカジュアルシーンに対して、作業現場ではデニム生地、それもストレッチデニム生地の細身上下セットアップの着用率が年々増えているように見える。

6月30日付けの繊維ニュースにこんな見出しの記事が掲載された。

 

ワークウエア デニム人気、まだまだ健在

ワークウエアの21秋冬向け新商品ではデニムの人気がまだまだ健在だ。デザイン性に加え、ストレッチや高機能などで新境地を開こうとする動きに加え、初めてデニムを使った商品を打ち出すメーカーも少なくなかった。

 

ここでいうワークウエアとはディッキーズやユニバーサルオーバーオールなどのワークテイストカジュアルブランドではなく、ガチの作業服である。自重堂やアイトス、バートル、クロダルマなどなどの作業服メーカー商品を指している。

通りすがりに工事現場を観察している当方からすると、作業現場でストレッチデニム生地の細身上下セットアップはまさしく先端トレンドアイテムだし、今後マストレンド化しそうなニオイを感じている。

従来型のベージュ上下セットアップとか非デニムのネイビー上下セットアップは、いかにも作業服然としており、カッコイイかと言われるとカッコイイとは答えにくい。

それがデニム上下になると、途端にカジュアル感が挿入されることとなり、何となくカッコイイ感じがする。少なくとも従来型の薄ベージュの上下セットアップよりは。

工事現場の作業員にデニム上下が盛んに取り入れられ始めたのは、やっぱりそういうカッコよさを感じるからではないかと思う。

現にデニム上下の着用者を見ると、好みのテイストはさておき、やっぱりファッション好き、下世話な言い方をすれば「イキリ」みたいな感じの方が多い。

またこれまで、作業着出身ながらも現代の現場に対応できるような機能性が無かったデニム生地に、技術の進歩によってストレッチ性とか耐久性とか、そういう機能性が付加されたことも大きかったのではないかとも思う。

そして、これはまあ、少数派なんだろうけども、先日、アメリカ村で、どう見てもワーキングユニフォームメーカーが製造したと思われるストレッチデニム生地の細身パンツをカジュアルとして着用している若者を数人見た。

 

ジーンズメーカーは、今こそ原点回帰して現場作業員に向けたデニム作業服を提案してみてはどうか?アシックスやプーマの安全靴のように「ブランド物」としてヒットするのではないかと思うがどうだろうか。もちろん、機能性の検証はじっくりと行った上でだが。

リーバイスのデニム作業服とか、LEEのデニム作業服なんてファッション好きな作業員は販売価格によっては飛びつきそうだが。

 

 

こういうパンツを穿いている人をすっかり見かけなくなったなあと感じる今日この頃

この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ