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南充浩 オフィシャルブログ

ブランドや企業はSNSに過剰な期待をしない方がいい

2021年5月21日 SNSについて 0

ブランドの告知・発信の手段の一つとしてSNSはやった方が良いということに異論のある人はいないだろう。

当方もやった方がやらないよりはいいと思っている。

世の中には「バズって」おかげで売れたという商品もある。しかし、存在するアカウント数やサイト数の多さから考えるとそれは、宝くじで3億円が当たるよりも低い確率なのではないかと思える。

その数少ない成功体験がウェブでは可視化できるため、SNSに対して過剰に期待する人が多いのではないかと見ている。

まあ、時々、「一般人」と結婚する有名芸能人がいるから、大衆が「自分にもチャンスがあるかも」と期待してしまう現象に似ている。はっきり言ってそれが実現する可能性はほとんどゼロだ。

 

SNSについてはこんな調査結果が発表されている。

SNSの効果、EC事業者の52%が「実感していない」…運用人材不足が課題 | 通販通信ECMO (tsuhannews.jp)

 

また「効果」(複数回答可)に関する質問では、「アクセスや問い合わせが増加している」(30.4%)、「評判レビューが拡散・向上している」(21.5%)、「ECや店舗売上が増加している」(17.7%)などの一方、最多の回答は「効果を実感していない」(51.9%)だった。

 

もちろん、やり方が下手くそだから効果が感じられないという側面はあるだろうが、逆にSNSでめちゃくちゃ効果があるという事例の方が少ないというのが実態で、それはSNSというもの自体の本来の特性ではないかと当方は思っている。

インスタグラムとツイッターが拡散向けのSNSとしては現在の二強だと考えているが、実際は、全国民がインスタグラム、ツイッターをやっているわけではない。国内のアカウントが何千万あると言っても一人で複数アカウントを所有している人もいるから、実際に使っている人はその何分の1かということになる。

そうすると、日本の人口比で考えると、決して少なくはないが「大多数が使用している」とまでは言えないということになる。

だから、インスタグラムやツイッターで少々バズったところで、リアル世界ではほとんど認知されていない。またSNS使用者であってもそのSNSを開かなければそれがわからない。

たまに「炎上」として世間に広まることがあるが、あれはテレビや新聞などが炎上を報道することでSNS不使用者にまで広がるからである。もし、テレビや新聞が報道しなければ、ほとんど認知されないままに終わるだろう。

 

だから当方はSNSなんてその程度のものだと思っている。

 

また、SNSの「バズ」は寿命が短い。それこそ炎上騒動ですら、1か月か2カ月くらいでほぼ完全に忘れ去られ、その頃にはみんなは次の炎上に夢中になっている。

だからこの特性に当てはめて考えると、商品やサービスがバズったところでその寿命は2カ月か長くて3カ月くらいだろう。

 

過去にSNSでバズった隠れた名品がいくつもあったが、その半年後にはほとんど忘れ去られている。また2年後には完全に忘れ去られている。だから、企業やブランドが必死にやったところでその効果は限定的でしかないということになる。

それでも知られないよりは知られた方が「マシ」だから、SNSはやらないよりはやった方が「マシ」だといえる。

 

具体的な「課題」(複数回答可)については、「運用人材の不足(51.7%)」や「投稿ネタの不足(46.0%)」「効果が見えにくい(43.7%」」「フォロワーが増えない(43.7%)」などが挙げられた。EC業務に関わる部署や人の多くに、経験や時間の不足がうかがえる結果となった。

 

とあり、課題においても「効果が見えにくい」が44%弱もあり、先ほどのアンケートと重複しているから、実際に「効果がない」と感じている人は52%どころではないのではないかとも考えられる。

 

あと、企業やブランドのSNS運営で危険なのが「フォロワーが増えない」という考え方である。

フォロワーというのは「基本的」にはファンだから、増えれば増えるほど効果があると基本的にはいえるだろう。しかし、SNSの実態は必ずしもそうではない。

アンチが監視用としてフォロワーになるケースも珍しくない。また「とりあえず」フォローするという人も少なくない。だからこの手のフォロワーが増えたところで、商品やサービスの売れ行きはほとんど伸びない。

ツイッターでもフォロワー何十万人みたいな「インフルエンサーw」がいるが、彼らがリツイートしてもほとんど伸びない場合もある。

インスタグラムでも同様で、フォロワー何万人の「インフルエンサーw」を起用したもののさっぱり商品は売れなかったということも珍しくない。

そして「インフルエンサーw」の中には、インフルエンサーとしての商売をしたいがために、フォロワー数を購入している輩も少なくない。

 

たしかにフォロワー数が10人とか5人では少なすぎるが、やみくもに多ければいいというものではない。

ブランドや企業がSNSを運用する目的は「商品やサービスを売るため」である。フォロワー数を増やすことを最重要課題としてしまうと、本来の最重要目的である「売ること」から逸れた投稿が増え、本来なら不要であるフォロワーを多数獲得してしまうこととなって、ブランドや企業のためにはならない。

なぜ、ブランドや企業がSNSをやるのか?それは「自分たちのサービスや物を売るため」でしかないのだから、そこからブレないことが重要である。

フォロワーが1万人いようが、物やサービスが売れなければ企業やブランドがSNSをやる必要はない。それでもやりたいというなら、それは「趣味としてのSNS」の世界でしかない。

 

SNSなんぞあくまでも「手段」であって「目的」ではない。手段を目的化しないようにくれぐれも心掛けてもらいたい。

 

 

買わないけどなあ(笑)

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