コロナ収束後はどうなると思う?
2021年5月10日 トレンド 1
大事件が起きたときほど、メディアやコンサルタントのかき入れ時であるから、両者にはことさらに事件を煽ることが少なくない。もちろん、真っ当で冷静な方もおられることは言うまでもないが、「悪貨は良貨を駆逐する」というが、煽る文言の方が悪目立ちしてしまう。
新型コロナ感染症のための緊急事態宣言が5月31日まで延長されたことによって、商業施設の休業も延長した感じがある。実は延長決定発表の直前の何時間か前まで各商業施設は5月12日からの営業再開をほぼ決定しており、飲食店もそれに追随するという大手アパレル経営者からの情報を得ていた。
12日以降、実際どうなるのかは注目してみたい。
1年強に渡って生活様式の変更を余儀なくされた新型コロナ禍だが、ワクチンが大量に輸入されており、2回の接種が終了した人も5月9日現在ですでに110万人を越えているため、5月後半から7月中旬までで急ピッチで増えるだろうと考えられる。
ワクチンの効き目についてだが、先行して大量摂取したイスラエル、イギリス、アメリカの経過を見ると、感染者数は大幅に減っているので、体質的な違いは若干あるかもしれないが、日本人にもそれなりに効果があるだろう。
そのため、恐らくは7月中頃までにはほぼ終息に向かうと個人的には見ている。
付け加えておくと、新型コロナウィルスを完全撲滅することは今後も不可能だろう。理由はインフルエンザウィルスも従来型コロナウィルスもどちらもこれまで撲滅できずに来ている。悪い意味で慣れ親しんだインフルエンザウィルスも従来型コロナウィルスも何十年間も撲滅できていないのに、なぜ新型コロナウィルスだけが撲滅できると考えるのだろうか。
ワクチン接種後、新型コロナはインフルエンザのような感じで付き合っていくことになるだろうと見ている。
さて、アパレル業界では「アフターコロナ」について喧しいが、新型コロナが収束した後は、どうなるのだろうか。
盛んに「アフターコロナはこんなに様変わりする」という煽り文句を見かけるが、個人的には2019年と完全に同じように戻るとは思わないが、そう大きく変わることはない程度には戻るだろうと思う。
オチマーケティングオフィスの生地雅之さんも同様で、このようなブログをエントリーされている。
アフターコロナ2 | コンサルタント | 生地 雅之 | アパログ | ファッション、アパレル業界のブログポータルサイト (apparel-web.com)
コロナ後はコロナ前とほぼ同じ状況に戻ります。これも私見ですが、考え方の根拠は下記に、結果が出ればそれが答えで真摯に受け止めるべきなのです。例えばコロナ下でやむを得ず、ネットで購入にシフトした人で、届いた物がリアルで見た現物とそう変わらないと判断された人や、お買い物に時間を取られるのは嫌な人はON-LINEを継続されますが、店頭でのお買い物が好きな人は間違いなく戻ります。
中国におけるラグジュアリーブランドの売上復活を見ても、人間はそう簡単には変わらないのです。マスクを洗う等はマスクが不要になれば、今は義務でもその後の生活での継続などありえません。
「アフターコロナ」という言葉はコロナが終息後という意味なので、継続するのならまだ上記コラムも近いのでしょうが、コロナ禍の現在がこれだから、そのまま継続するというのは大きな間違いなのです。
とある。
マスク着用については、収束後には現在よりは着用者数は減るだろう。あんなものをわざわざ四六時中着用したいという人はそう多くは無い。また昨年夏に経験したが真夏に着用すると暑すぎる。
冬場になれば、2019年までよりは着用者数は保温効果とインフルエンザ予防も兼ねて増えるだろうが、その程度ではないだろうか。
アパレル店のネット通販については、店舗の営業停止も手伝って、2019年よりは消費者に浸透している(実店舗が休業しているので使わざるを得ない)が、収束後もこのままのペースで浸透し続けていくかというと疑問である。
衣料品は身に付ける物なので、生地の厚さ・薄さ・硬さ・柔らかさが重要になる。現在は各ブランドともに工夫を凝らして生地の厚さや硬さがわかるような画像や動画をアップしているが、それでもわからない物はわからない。逆にネットリテラシーの低い消費者なら全く伝わらないだろう。実際のところ、ハッキリ言って店頭で試着した方が理解は早いわけである。
また、色・柄・デザイン・シルエットによって似合う・似合わないもある。
通販画面のモデルさんが着用しているとカッコイイのに、自分が着用するとカッコ悪い(体型・顔立ち・体つきが異なるから)というのは日常茶飯事である。これを一発で解決できるのは店頭で試着することである。
そうなると、コロナが収束すれば、今は「仕方なく」ネット通販で買っている人は実店舗に戻るだろう。少なくともネット通販と実店舗を併用するという買い方になる。
何度も繰り返すが2019年よりは増えるかもしれないが、煽っているほどには様変わりしないだろう。
ケースは異なるが、2011年の東日本大震災もそうだったではないか。2011~2013年ごろまでは発電量の減少から「節電」生活を余儀なくされたが、2021年の現在はどうか?少なくとも当方は2010年と2021年では生活スタイルは全く変わっていない。
アフターコロナも似たようなものではないかと思う。
以前も書いているが、アパレル販売におけるネット通販比率は、ネット通販専用ブランドを除くと、実店舗とネット通販の売上比率は最大でも半々だろうと見ている。
「なにがなんでもネット通販オンリーにしなくてはならない」という理由もなければ、「ネット通販比率が高ければ高いほど優等生である」という考え方もおかしい。要は服が売れて、想定している利益額を確保できればどんな販路でも構わないのである。
多分この手の予言はほとんど外れることになると思う。
ネット通販を盛り上げるためにVR試着とか開発しちゃってる企業もあるようですが、VR試着でモデルのようには似合わない姿を自覚させられる行為がネット通販促進につながるんだろか?という疑問はいだかないものか?と思ってアパレル系合同展示会等見て回っています。AIネタ同様技術革新が必ずしも良い方向にマッチングしないものだな〜と感じます。(バックやアクセサリーのVR試着なら効果的かもしれませんね。)