
売れにくい時代だからこそ精緻なマーチャンダイジングが必要
2021年4月30日 トレンド 1
ファッション専門学校でも「マーチャンダイジング科」という学科がある場合もあるし、零細を除くアパレル企業にもマーチャンダイザーという肩書を持った人が必ずいる。
しかし、実際にマーチャンダイザーとして機能している人はそう多くはないという印象がある。
マーチャンダイジングの「五適」という言葉は多くの方がご存知だろう。
「適品」「適量」「適時」「適価」「適所」
である。
最「適」な商品を、最適な量で、最適なタイミングで、最適な価格で、最適な場所で売る。
これができれば大量の売れ残り在庫は発生しないということになる。理論上は。
的確に分析し、運用するには計算と数字が必要になる。あと、目の前の事象を自分の好みから切り離して考えられる思考法も必要となる。
計算と数字については、当方は人様に説明しうる知識と技量を持ち合わせていない。
卓越した知識と技量を持ち合わせておられるマサ佐藤氏に入門されることをお勧めする。
当方がお伝えできることがあるとすれば、考え方くらいである。
衣料品店に限らず、すべての店舗運営だと「漫然と売れ筋と呼ばれる商品を揃えれば売れる」と考えている人は多いのではないかと思う
かく言う当方だって、販売員時代、業界紙記者時代は漫然とそう考えていた。
しかし、この考え方で店舗を運営する、もしくは卸売りブランドを運営すると、どうなるかというと「同質化が進む」だけでしかない。
どうしてそうなるのかというと、売れ筋と呼ばれる商品を揃えるからである。売れ筋と呼ばれる商品とは、すでに他社店舗で売れている商品である。
その商品を自店にも導入するわけだから、先行販売していた店舗と同質化するのは自明の理だろう。
だから、どの店を回っても
・ニューバランスの〇〇スニーカー
・ノースフェイスの〇〇ダウンジャケット
・チャンピオンのトレーナー
などばかりが置いてあるということになる。
仕入れ品ではなく、オリジナル企画品にしても「〇〇店でトレンチコートが売れている」となると、それをコピーして生産するからどの店もトレンチコートばかりになる。
どの店にもトレンチコートが完備すれば、消費者が選ぶ理由は2つしかなくなる。
1、ブランド名
2、価格とのバランス
である。
ブランドのファンや、ステイタス性を求める人は、特定のブランドのトレンチコートを買うだろう。もしくは自分が常日頃から贔屓にしているブランドで買う。
当方も含むそうではない人は、価格とのバランス、もしくは価格だけで買うようになる。価格と品質やデザインとのバランスを考えると、例えば「ユニクロUで3990円に値下がりしたトレンチコートが一番良い」ということになってしまう。
これが現状の国内アパレル市場ではないかと感じる。自店・自ブランドの顧客は本当にトレンチコートを欲しがっているのか?この辺りのニーズを把握、分析できていないのではないか。
新型コロナの影響から早くも1年が経過した。
大量のインバウンド客が消えた(とは言っても、たまに外国人のグループを見かけるのだがあれはどういうことだろうか?)ため、心斎橋筋商店街も閑散としている。
2019年末まで、心斎橋筋商店街も、それと並行する1本南の御堂筋もインバウンド客であふれていた。そして商店街にも御堂筋にもインバウンド客を当て込んだドラッグストアが多数出店していた。
昨年春以降、そこのドラッグストアは急速に撤退したり、長期閉店したりしているが、ゼロになったわけではない。営業を続けている店舗もある。
以前にも書いたことがあるかもしれないが、たまに必要な物が生じて、ドラッグストアに飛び込むことがあるが、心斎橋筋、御堂筋のドラッグストアではほとんど買う物がなかった。
理由は、インバウンド客向けに化粧、コスメ、美容関連の商品の構成比が異様に高いからだ。当方は別に化粧をするわけではないし、美容関連の商品が欲しいわけではない。
例えば、掃除用の洗剤や道具、そういう物が欲しいわけである。
仕方がないので、心斎橋筋を北上して長堀通りを越えると、ここにも多数のドラッグストアがある。同じ屋号の店でもここには掃除用の洗剤や道具が多数揃っている。
コロナ不況とは言われながらも日本人客がそこそこ入っている。
これがMDでいうところの「適品」だろう。
インバウンド客は化粧品やコスメ、美容商材を大量に購入するから、心斎橋筋店・御堂筋店はそれをメインにした品揃えをする。
日本人客も化粧品やコスメ、美容商材は買うだろうが、それよりも掃除用洗剤などの方が売れやすい。
だから同じ屋号の店でも出店場所によって品揃えを変えているのだろう。ただし、インバウンド客の大部分が消失してしまうと、御堂筋店・心斎橋筋店は他店よりも増して閑散としてしまうことになる。
MDというのは重要で、今、イシキタカイ系も含めて唯一の希望みたいに語られているネット通販にも不可欠である。しかし、ネット通販の方が実店舗よりもMD度外視の場合も多い。
例えば、「今月の一押し商品」と「トップページの商品」が別物である。こんなブランドは数多い。
また極端に単品志向で商品が並べられており、「こだわりの〇〇のワンピース」の次はあまり関連性のない商品が新規投入されたりする。
さらにいうと、投入時期や商品送付時期がおかしいものも多い。
長袖Tシャツなのになぜか7月投入だったり、ダウンジャケットなのに2月投入されたりというのも珍しくない。いずれも「半年後に向けての先行公開ですか?」としか思えない。
また、それらの商品がお客の手元に届く時期がズレている場合も多い。これは「適時」の失敗である。
実店舗はいうに及ばず、ネット通販でも精緻なMDができないブランドに今後の伸びしろはほとんどないだろうと思う。
ファッション専門学校もいろいろ考えるんですね
まぁ 販売員ではイシキタカイ系感度高い系の学生さんは
集まらないからでしょうね
大学ではコンサルタントになりたい学生が増加しているそうですが
いずれにしても 現場で地味に働くよりは
俺様のイカしたセンスを聞けばいいんだよ!
ということでしょうかね
ありがたや ありがたや