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南充浩 オフィシャルブログ

たまには摩擦も必要では?

2013年11月1日 未分類 0

 以前、欧米を拠点に活動する日本人女性が「日本のファッション業界は嘘が多い」と指摘したことを書いた。
筆者も同感である。ファッション雑誌には「吊り編み機を使って織り上げたスエットパーカ」などととぼけたキャプションが平気で掲載されている。

編み物を織るのか・・・・・・。

昨今、ユニクロのブラック企業論争が目立っているが、業界内にはユニクロを越えるブラックな企業はかなり多い。
セクハラ・パワハラ当たり前、違法返品・代金未納も当たり前、学歴詐称も当たり前、違法歩引き当たり前、ざっとこんな感じである。
とはいえ、筆者もユニクロが真っ白なユニシロだとはまったく思っていない。しかし、それ以上に漆黒の企業があるのだが、こちらはあまり話題に上らない。

その原因としては、ファッション雑誌以外にも業界紙もあまり批判記事を掲載しないという事情もある。
業界紙が書かないと当然、一般紙・経済誌は書かない。
業界紙、一般紙、経済誌ともに広告スポンサーの顔色を伺っているわけである。
広告スポンサーの問題でいうなら業界紙は業界内の企業からの広告掲載がほとんどなのだから、当然、批判は書きにくくなる。

そういう現状を考えると、筆者は閉そく感しかないのだが、本日掲載のダイヤモンドオンラインの記事には括目させられた。

一般的な業界紙だったのに
突如、超攻撃的なトーンに
ビジネスモデルも大変革
http://diamond.jp/articles/-/43846

これは医学業界紙のお話で、それまではプレスリリースを並べるだけの普通の業界紙だったのが、2000年に他社との競合から生き残りをかけて、あえて「攻撃的業界紙」へ変貌したという。

もちろん当初はかなりの抵抗があったことが記事中に書かれてある。
そりゃそうだろう。1999年までは提灯記事しか掲載していなかったいわば「身内」の業界紙が、翌年から突如として攻撃を開始したのだから、業界関係者から見れば「大規模反乱」や「テロ」にも等しかっただろうと想像できる。

突然、トーンを変えて、広告の出稿を拒否されたり、取材拒否にあったりしなかったのだろうか。

「まあ、もともと、広告は少ない媒体ですしね。当初は、取材対象からクレームを受けることもあったけど、編集長や先輩記者は、どんどんやれ、という雰囲気でしたから」(藤田編集長)。

 確かに、組織が物事を大きく変える際には、トップとメンバーの理解が共通していることが重要だ。

 こんなエピソードがある。創刊当時は記者だった藤田編集長が、取材先だった国会議員ともめて、その国会議員はメディア向けのレクチャー自体をやめると宣言してしまう。藤田編集長はその国会議員のみならず、他の業界紙記者からも「謝罪しろ!」と迫られた。

 ところが、編集部に帰ってみると、編集長や先輩記者たちは「何言っているんだ、謝る必要はない!」と答えたという。

「編集長や先輩たちは1年中喧嘩ばかりしていましたが、そこだけは意見が一致するんだなあと、妙に感心した記憶があります」と藤田編集長は笑う。

とのことである。

やはり、全社一丸となって担当記者を援護しないとこういう過激な変身を持ちこたえることはできない。
上司や同僚が変節したのでは担当記者が生贄になるのみである。

先日、業界紙内の噂話が流れてきた。

某業界誌が、「国内生地産地は大手SPAブランドに依存しすぎてはいけない。期間が終われば契約は終了する。終了すれば空いたスペースを埋めることはできない」というような内容のコラムを書いたという。
内容は正しい。大手SPAブランドの仕事のみを受けるようになると、そのSPAブランドが他の安い工場に生産背景を移したときに、その工場は倒産・廃業を余儀なくされるからだ。だから大手以外からの小口の受注も断ってはいけないのだ。
過去にそういう工場は実際に何社もあった。

ところが、実在する大手SPAブランド某社から抗議を受けたらしい。
コラムなのでSPAブランドの社名を指定していないにもかかわらずだ。

逆に筆者なら「産地で噂になっている某SPAブランドは御社だったのですか?へー」とニヤニヤしながら尋ねてしまうところだが、その業界紙は謝罪してしまったとのことだ。返す返すも残念な話である。

これなどはこの医学業界紙とは真逆の話である。

あくまでも推測だが、おそらくデスクや上層部が腰砕けになったのだろう。

報道側のこういう姿勢が続けば、業界からますます業界紙は軽く見られてしまうのではないだろうか。
もちろん、繊維業界と医学業界では業界構造が違うので、すべてを同列に論じることはできないことは承知しているが、それでも摩擦を起こさないことだけが業界紙の取るべき姿勢ではないのではないか。

ダイヤモンドオンラインで採り上げられた事例は、他業界の業界紙も参考にすべき要素を大いに含んでいるように思われる。

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