
現在の体制のままでワークマンは今後も拡大が可能なのか?(前編)
2021年4月9日 企業研究 2
先日、なんばシティにオープンした「ワークマン女子」の内見会に参加したことは以前にも書いた。
税込み980円の9オンスTシャツはまた別色を何枚か買いたいと思っている。それほどにアメカジ好きにはコスパの高い商品である。
ワークマンの躍進によって、メディアには過剰な「ワークマンあげ」記事が多数見られるようになった。ちょっとアゲすぎではないかと思える内容も多数あるので、このブログや他メディアへの寄稿では懸念される点を指摘したので、すっかり本社の中の人には嫌われたかと思っていたが、案に相違して、非常に丁寧に変わらず御説明いただいて感謝することしきりであった。
いろいろと今後の構想もお聞かせいただいてありがたかったのは言うまでもない。
懐の深さに感謝しかない。
で、今回は感謝ついでに、当方が感じるワークマンの今後への懸念をストレートにまとめてみたいと思う。
今後の方針で特徴的なことは
1、従来型顧客はワークマンで、一般消費者はワークマンプラス、ワークマン女子で吸収したい
2、ワークマンプラス、ワークマン女子もフランチャイズで展開したい
3、ワークマンプラス、ワークマン女子をフランチャイズで展開するとなると、
アパレル未経験者では難しいのではないか
4、販売期間を1年と区切ったファッション品番「20番」が構成比で13%ある
5、EC(いわゆるネット通販)化率が1%くらいと低い
という5点だったと思っている。
アパレル業界は2019年までの横ばい状態から2020年の新型コロナ危機へと陥っている。その中にあって増収増益を続けるワークマンだが、現在の店舗数は902店となっているが9割以上はフランチャイズ店である。
たしか、以前、ワークマンプラスが出始めのころにも内見会や取材で伺ったことがあったが、その際は「従来型店舗にも一般客を呼び込みたい」と話しておられた記憶がある。
しかし、現在では、多数のメディアが伝える通りに「従来型店にも一般客が増えすぎ、従来の作業員客から『買いにくい』『駐車スペースがない』というクレームが増えてきた」とのことで、そのため、一般客はワークマンプラス、ワークマン女子に今後は吸収したいとの意向を明らかにした。
ここで懸念されるのが、以前にも少し触れたが、一般客と作業員客では買い替え・買い足しのサイクルが全く違うということである。
一般客とて、アウトドアだ、雨の日用だ、と実需目的での買い物も少なくはないだろう。だが、やっぱり作業員客とは違っていて「嗜好性」の優先順位が高い。となると、3年~5年間モデルチェンジしないという商品展開計画ではプラス・女子が増えれば増えるほど、一般客の嗜好性消費には対応しにくくなる。それが証拠に1年間で売り切るトレンド品番「20番」というものが13%作られるようになっている。
プラスと女子でさらに売上高を伸ばすには、当方は「20番」の構成比をさらに高める必要性に迫られるのではないかと見ている。
そして、プラス・女子の店舗数を拡大するにおいて、それの9割がたがフランチャイズという今の展開方法で適切なのかどうかである。
フランチャイズ運営にするとワークマン本社のメリットは大きく2つある。
1、人件費を増やさなくてもいい(アルバイト、パートの人件費はフランチャイズ店が捻出する)
2、在庫はフランチャイズ店持ちなので、本社の在庫リスクが減る
である。この2つはどちらも、通常の直営店形式のアパレル各社が最も苦しんでいるものである。
だが、一方で、本社は各店の在庫、各店同士が在庫を把握できなくなるというデメリットもある。これがどうしてデメリットかというと、例えば、天王寺店にやってきた顧客が「〇〇商品ありませんか?カタログで見たんですが」と問い合わせた場合、通常の直営店アパレルなら、本社なり近隣の店に問い合わせて「〇〇店にあります」とか「お取り寄せしましょうか」という対応が可能になる。
しかし、フランチャイズだと、各店はそれぞれが別オーナーによる別経営なので、近隣店に問い合わせるわけにもいかない。また本社もどこの店に何が残っているのかもわからない。
プラスと女子が増えるということは、そういう問い合わせが増えるということで、これをフランチャイズ形式のまま拡大することはかなり難しいのではないかと、感じられる。
また、従来型店は作業員がメイン顧客なので、季節ごとのVMDとかトレンド変化に素早く適応するとか、そういうことは不要だった。だから、アパレル未経験のご夫婦でものんびりと商売ができたわけである。また定期的に買い替え・買い足し需要も発生するから、積極的な販促もあまり必要なかった。
だが、プラス・女子で一般客を相手にするとなると、この辺りのノウハウや経験も必要になる。となると、プラス・女子を急拡大させるためには、アパレル経験のあるフランチャイズオーナーが多数必要ということになり、そんな人間が多数国内に存在しているのかという懸念もある。
何よりも、一般客相手にフランチャイズ店ばかりで上手く行くかという疑問がどうしてもぬぐえない。
なぜなら、ユニクロを始め、錚々たる大手アパレル各社にもフランチャイズは存在するが、それは1割とかその程度の比率でしかなく、大多数は直営店である。フランチャイズがそれほどに効果的ならどうして各社はフランチャイズを拡大しないのか。固定概念だと言われればそれまでかもしれないが、固定概念が出来上がるにはそれなりの背景や理由が必ず存在する。
また当方は、バブル期から90年代まで人気が高かったが、今はすっかり存在すら国内で忘れ去られているベネトンを思い出さずにはいられない。
ベネトンは国内のあの全盛時、ほとんどがフランチャイズ展開だった。結局、フランチャイズのままやり続けて日本市場からほぼ消えてしまっている。
大型ブランドのフランチャイズ展開というとベネトンという先例があるだけに、両手放しで称賛することは難しい。
ちょっと長くなったので、次回に続く。(次回はいつもより短くなるかもしれないがw)
comment
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インドア派 より: 2021/04/11(日) 10:37 AM
チェーン系の専門店で働く身ですが、ワークマンの勢いは本当にすごいですね。
ただ、FC展開ということは、会社自体は商社もしくはメーカーと一緒かと思います。
コンビニ等で課題が多いように売上が良いときは、FCと本社はウインウインですが、
そうでなくなったときは、利益相反になるので難しくなるでしょう。
ワークマン女子は、ターゲットからすると多品種を用意しないといけませんし、
作業着と違ってサイズやシルエットの精度が要求されると思います。機能や価格というものは、しばらくすると陳腐化し、驚きを与えられなくなります。
ユニクロのフリースブームの際も1万円くらいしたフリースが1900円で売られたことで
初期は大ブームになりましたが、その後デザイン面などでいったん廃れていきました。
その後、デザインや素材等にかなりの磨きをかけて(値段も上がりましたし)今に至りますが、
筆者もよく挙げておられるように、翌年にはマークダウンして売り切っています。直営店ですと、店間集約や本部支持のマークダウンはやりやすいですが、FCですと、
その負担は、誰がするのとか解決しないといけない課題が多いと思います。
ワークマン女子は施設内の出店がメインでしょうから、施設側がFC出店を認めるかどうかも
課題ですね。100店舗くらいを直営で出店して運営方針を固めてからFC化するか、直営で雇った社員を
独立オーナーにさせるマクドナルド方式が良いのではないでしょうか。
今日ガイヤの夜明けを観ながらコメントしています。
ロードサイドのワークマンと
ショッピングセンター内のプラスは購買したりしましたが自分の居住エリアには女子はありません。
ワークマンはやはり倉庫で
買い物している感覚が強すぎますね。
プラスは基本的な通路幅とか店頭の商品量とか酷いですね。
VMDという概念がないですね。
ファッションは基本シーズンMDなので今までのような数シーズンで売り切りは難しいですね。
FCのオーナーもお客様をみてないですね。
プロ相手の機能 と、価格に自信があるので
買って下さいのスタンスですね。
女子は400店舗は絶対に無理です。
原点回帰で ワークマンに専念してプロのお客様を満足させて下さい。