続・しまむらのネット通販の9割が店舗受け取りになるのは当たり前という話
2021年4月8日 お買い得品 0
前回、しまむらのネット通販の9割が店舗受け取りであるということについて書いた。
しまむらのネット通販の9割が店舗受け取りになるのは当たり前という話 – 南充浩 オフィシャルブログ (minamimitsuhiro.info)
ネット通販関係者の何人かにとっては、これが非常に不思議に映るようなのだが、当方から言わせると一体何が不思議なのかさっぱりわからない。
しまむらの商品価格から考えると、
「あんなに安い物をわざわざ買っているのに、送料を500円も払うなら意味がない」
ということである。
しまむらのオンラインショップによると、何千円・何万円買っても送料無料にはならない。
990円のカットソーを買ったのに送料込みで1490円になるなら、似たような物を近所のユニクロ、ジーユー、GMS平場で探した方がマシである。
当方も含めた多くの消費者はそう考える。しかも、しまむらの顧客は低価格に魅力を感じているわけだから、500円高くなると、低価格ゾーンでは価格帯が一つ繰り上がってしまう。
この心理的抵抗感は、ファッション好きやネット通販好きが考えるよりもはるかに大きい。
990円なら1000円札で支払って10円のおつりが来るのに、1490円だと1500円も支払わねばならない。
500円あったら、牛丼1杯、サイゼリヤのランチ1食が食べられる。
これがZOZOだとまた少し話が変わる。
ZOZOの平均購入額は4000円弱だったはずで、例えば3000円の物を買うとして、送料が一律210円だから、これが3210円になっても消費者としてはあまり負担を感じない。
2000円台・3000円台・4000円台だと210円のプラスというのはさほど大きいとは映らない。
これと同じ理由でユニクロ・ジーユーも店舗受け取りが4割くらいあると言われている。
当方はユニクロ・ジーユーのオンライン通販は8割くらい店舗受け取りである。送料無料は5000円以上だが、当方はユニクロ・ジーユーで一挙に5000円以上になる物をあまり買わない。
買うこともあるが、実はその場合はほとんど、オンラインで売り切れていて店頭にのみ在庫が残っているという状態である。そのため、店頭購入になる。
当方はユニクロ・ジーユーを定価で買うことはないから、破格に値下がりした物を買うので、送料500円を支払うと意味がない。
ユニクロで790円に値下がりしたカットソーを買うのに500円も支払う意味はないし、ジーユーで390円に値下がりしたTシャツを買うのに500円も支払う意味がない。
もう少し高い物を買うにしたって1990円を2枚買っても5000円には届かない。1990円と2990円を買っても5000円に届かない。
セットアップ、ダウンジャケット類、冬のコート類、感動ジャケット、この辺りの商品だけが単品で5000円を越えるが、それ以外は複数買ってもなかなか5000円を越えない。
そうなると、送料500円を払うとユニクロとジーユーはコスパが悪くなる。
1990円と2990円を買って5000円に届かない場合は、190円とか100円に値下がりした靴下を1枚追加して5000円に到達させて送料無料にすることはある。
ちなみにアメリカではこんな政策が取られいてるらしい。
アメリカは35ドル以上送料無料というアマゾンルールが業界標準となってしまい、小売り側に宅配を避けたいというモチベーションがあります。そのため例えばウォルマートは店舗ピック割引とか、全米CM打ったりとか、ユーザーを店舗ピックに誘導する施策を積極的に打ってるんです。
— 鈴木敏仁 (@bingsuzuki) April 6, 2021
もしかすると、日本でも「店舗ピック割引」は始まるのかもしれない。
これによって来店頻度を高め、実店舗を活性化させるということもできなくはない。
とはいえ、ネット通販業者からすると
「店舗受け取りにするならなぜ実店舗で買わないのか?」
ということになるらしいが、それはネット通販業者があまりにも自分の日々の業務に思考を冒されすぎだろう。産地のオッサンが「この服に使われている生地は最高なのになぜ売れないのだろう?」と首を傾げているのと同じである。
普段ほとんど、しまむらで買わず、しまむらに愛着の無い当方からすると、ネットで買って店舗で受け取るというメリットはもう1つある。
店舗受け取りで送料を節約したいというのはこれまで書いてきたことと同じだが、しまむらの場合は実店舗で見るよりもネット通販の方がはるかに見やすいからだ。
覗いてみたがネット通販はなかなか使い勝手が良く作られているし、個々のアイテムが分かりやすくなっている。
だが、実店舗はどうか。チープ感が漂い雑然と商品が並んでいる。品番数が多すぎて何があるのかさっぱりわからない。
ここを「宝探しの面白味がある」と評価されたが、そんなことができるのは、時間を持て余した暇人だけだろう。当方のように、しまむら慣れしていない人間からすると、ゴミ箱の中みたいに雑然とした実店舗で探すより、整然と並べられたネット通販の方がはるかに商品を探しやすい。
ユニクロ、ジーユー、無印良品と比べて、しまむらは品番数が多い。またメーカーからの仕入れ比率も高いので、期中に急遽投入が決まる物もあるだろう。そうなると、店頭で一々定期的にチェックするのはかなり暇人でないとできない。ネット通販の方が定期的にチェックすることもラクだろう。
初年度実績17億円だったネット通販だが、まだまだ売上高を伸ばせる余地はあるだろう。あとは「〇千円以上お買い上げで送料無料」を取り入れるとさらに伸ばせるのではないか。
逆にアメリカの事例のように「店舗ピック割引」を導入すると店頭への来店客数はさらに伸ばせるのではないかと思うが、しまむらの関係者がどう判断するのかはわからない。
とりあえず、外野から見物しておくほかない。