MENU

南充浩 オフィシャルブログ

売れていないときほど販促・広告への投資が必要

2021年3月5日 販促 0

大学新卒後、販売員として2年半くらい勤務した。

2014年から、在庫処分店で販売を手伝うことになり、未だに月に3~5回は店頭に立っている。

世の中にあまたおられる凄腕販売員には遠く及ばないが、売り場の雰囲気というのは、何となくわかっている。毎日の店の売上高というのは、良い日もあれば悪い日もある。

不景気が続くだとか、今回のようなコロナ自粛が続くだとか、そういう悪い日が続くと、店としては何らかのテコ入れ策を講ずる。

当たり前である。現状が悪いなら何かを変えねばならない。

手っ取り早いテコ入れ策としては、目玉商品を値下げすることである。「安売りは怪しからん」という人もおられるが、手っ取り早く売れ行きを回復させるなら、目玉商品を作ってそれを値下げすることである。

サービス内容の向上で云々とか、コト販売の強化で云々とか、セット販売強化とか、そんなことでは売れ行きが鈍った店に対して即効性はない。

お客目線に立って考えてみてほしい。

店員のニイちゃんやネエちゃんのサービス内容が良くなったからと言って、とりあえず今日は買っておこうかという行動をとるだろうか。

当方なら取らない。コト販売をアピールされたところで、当方が客なら買わない。

やっぱり、〇〇商品が1500円に値下がり、みたいなことの方が購買につながりやすい。

 

で、ここからが本題なのだが、店に立っていると、そういうお買い得商品を用意していることを多くの人に広めることは重要だなあと、売れない日にはいつも思う。

いくら、お買い得商品を用意したところで、それを目にするのはたまたま店の前を通った人や、たまたま来店した人に限られてしまう。

こちらとしては待っているだけである。

2000年ごろからインターネットが普及し、2010年頃かSNSが普及し、店はただ待っているだけではなくなった。自社・自店で発信できるようになった。これは当方が新卒のころと大きく違う点である。

最近、叫ばれているデジタル接客もこの延長線上の考えにある。

ただし、単にタブレットやスマホを見せながら接客することを「デジタル接客」だと勘違いしている店やブランドも少なくない。それ、デジタル接客じゃなくて、画面見せ接客や。(笑)

とはいえ、ツイッターやインスタグラムでセールを告知したり、Lineで情報を送ったりできるようになったことは、過去の店舗運営とは大きく変わった点である。

 

しかし、現場の販売員や店長のSNS活動に丸投げでは、現場も疲弊するし、マンパワーではたかが知れている。

やはり、本部・本社が然るべき資金を投じて販促活動・広告宣伝活動・広報活動を行う必要がある。

売れ行きが悪ければ悪いほど、何らかの施策を各店頭で取らせているわけだから、その内容は広く伝える必要がある。それを販売員と店長のSNSに丸投げするだけでは効果も薄い。

販促活動・広告宣伝活動・広報活動は、当然のことながらお金がかかる。

だが、売れ行きが悪い時ほど「適切な」販促活動・広告宣伝活動・広報活動への投資が必要になる。逆にいえば、好調に売れているならそんなお金を使う必要はない。

断続的に店に立っていると強くそう思う。

 

販売員としての経験(実力は大したことがない)もあるが、メディア側にいた経験もある。またメディア側に仕事を出した窓口の経験もある。

当方の知っている範囲でいうと、多くの会社、ブランドは「お付き合い」でしか販促活動・広告宣伝活動を行ってこなかった。媒体側・広告代理店側も「お付き合いしてくださいよ」という依頼しかしてこなかった。当方も含めて。

字面だけ見ると、女性に向かって「俺と付き合ってください」とお願いしているようにしか見えなくて笑えてくるのだが、実際にオッサン同士で「今回はお付き合いしてくださいよ~」と言ってるわけである。

で、そういう「お付き合い」だから企業側も好調な時にはお金を出すが、売れ行きが悪くなるとお金を出さなくなる。

本来の意味とは逆の行動をしてしまうわけである。

 

これはメディア側、広告代理店側のこれまでの提案姿勢に問題があったと当方は感じている。雑誌広告にしろテレビCMにしろ、プラン内容にもよるが、出稿した経験上で言えば、それほどの効果がない。

電話がひっきりなしに会社にかかってくるという状況を当方は経験したことがない。

 

インターネットという媒体ならまた手ごたえが違うのだろうが、当方が会社員として活動していたころにはインターネットは今ほど普及しておらず、インターネット広告やWEB施策も確立されていなかった。

一番効果があったのは、大手一般紙への掲載、折り込みチラシだろうか。特に中高年層を狙うには非常に手ごたえがあった。新聞を読んでいるのは中高年ばかりだからだ。

 

そうなると、媒体側も広告代理店も「とりあえずお付き合いください」というセールスしかできなくなる。なぜなら、効果のほどは雑誌、テレビという媒体では保証できないからだ。

かくして「好調なら広告をお付き合いする、売れ行きが悪くなったら広告は付き合わない」という逆の姿勢が出来上がってしまい、今に至っている。

 

首都圏の緊急事態宣言が2週間延長されようとしていて、緑色の都知事の愚策の極みだと思っているが、商況は引き続き厳しいままだろう。

店頭では様々なテコ入れ策がなされているはずだから、常態以上に多くの消費者に知ってもらう必要がある。効果を見極める力が求められるが、こういう状況こそ「本来の意味での」販促活動・広告宣伝・広報活動への投資が必要だと、店頭に立っている人間は痛感する。

 

 

緑のたぬきの12個セットをどうぞ~

この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ