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南充浩 オフィシャルブログ

WEBサイトのPV数とアクセス数の増減しか分析できない広告代理店にはご注意を

2021年3月1日 ネット通販 0

広告宣伝の媒体としてWEBは最早、外せないツールとなっている。

2019年の広告費総額で、インターネット広告だけは前年比19・7%増と伸びているが、その外の媒体である新聞(5・0%減)、雑誌(9・0%減)、テレビ(2・7%減)、ラジオ(1・4%減)は前年割れとなっている。

2019年 日本の広告費 – ナレッジ&データ – 電通 (dentsu.co.jp)

恐らく、2020年はさらにこの傾向が強まるだろう。何せ、実店舗が長期休業し、インターネットでしか物の大半が買えない時期があったのだから、インターネット通販と親和性が高いインターネット広告費が伸びるのは極めて当然といえる。

で、インターネット広告費は2019年で2兆1048億円であり、広告の総額6兆9381億円のうち30・3%を占めている。

2019年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析 – ニュースリリース一覧 – ニュース – 電通 (dentsu.co.jp)

 

そして、インターネット広告は、主要5媒体(新聞、テレビ、雑誌、ラジオ、インターネット)で最も構成比が高くなっており、ついにこれまでの王者だったテレビの広告費も抜いた。

2019年のテレビの広告費は1兆8612億円である。

テレビ広告費を超えたインターネット広告費 今後の課題は? | Live Commerce ブログ (live-commerce.com)

 

テレビの視聴者数は減少傾向が続いており、代わって伸びているのが、インターネット動画である。YouTubeが筆頭だが、Amazonプライムやネットフリックスなども利用者が増えている。

当方も決まったテレビ番組以外(週に2~3本程度)はテレビを点けない。特にワイドショーやニュース風バラエティはアホな言説が多く観ているとアホにされてしまうから絶対に観ない。

そうなると、2020年の統計ではインターネット広告はさらに伸び、他の4媒体はテレビも含めてさらに広告費は下がるだろうと推測できる。

メンズのファッション雑誌なんて昨年のコロナショック以降、ページ数が激減しており、一目で広告掲載量が激減していることがわかる。

ちなみに雑誌が分厚ければ広告が多数集まっているという証であり、薄ければその逆である。ペラペラのページ数の発刊が続けばその雑誌は早晩廃刊に追い込まれるということは知っておいても損はないだろう。

 

ここからは繊維・アパレル業界に向けての話になるが、基本的に無名のブランドほど宣伝広告、広報活動は必須になる。

何度も繰り返すように「知られていないのは存在しないのも同然」だからだ。

ブランド名や社名を知らない人はめちゃくちゃ偶然にその会社のサイトや店にたどり着くことはあるが、ほとんどはたどり着けない。

ブランド名や社名を知られていれば、調べてたどり着いてくれる人が増える。

 

で、広告宣伝活動を行うと、だいたいもれなく広告代理店が仲介してくる。恐らく、仲介がほぼゼロなのは業界新聞や業界メディアへの出稿くらいではないかと経験上思う。

当方は小規模アパレルメーカーの広報として、またファッション専門学校の広報として広告代理店と付き合ったが、当方の知っている限りにおいて、ファッション雑誌をこれまで得意としてきた広告代理店は総じてインターネットに弱い。特に年配の営業担当者はほぼからっきし知識がないと考えて差し支えないだろう。

当方はフリーランスになった2010年以降も断続的に雑誌を得意とした広告代理店のベテラン営業マンと交流があったが、総じて役に立たなかった。

ちなみに広報担当者だったときも「この人たちが中継ぎに存在する意味があるのだろうか?」とその存在価値と知識とノウハウに疑問しか感じなかった。

彼らはインターネット広告については、酷い者になるとアクセス数とPV数くらいしか把握できていない(能力が低すぎて)。しかし、アクセス数とPV数の増減の把握なんて、当方でもできてしまう。(笑)専門職として存在する必要がまるでない。

インターネット広告(広告に限らず掲載やオウンドメディアも含めて)が他の媒体よりも信頼性があるのかというと、どこから、どういうキーワードで検索してどれくらいの人が流入して、さらにトップページ以降も見てくれたのか、ということがはっきりとわかるからだ。またどれくらいの流入者がどれくらい買ったのかということもデータで分かる。

2010年頃までの他の4媒体の効果測定というのは、厳密にはほぼされていないに等しく、

・雑誌や新聞だと「〇〇万部発行ですから〇〇万人が見てくれています(はずです)

・テレビ・ラジオは「視聴率が〇〇%ですから〇〇万人が視聴しています(はずです)

というものだった。

2003~2004年、2008~2009年と実際に広告代理店と付き合った経験である。

新聞や雑誌は実売よりも多めに印刷する。なぜなら、印刷部数が多少増えても印刷代金はほとんど変わらないからだ。印刷代が増えるのはページ数が増える場合である。また売り切れ(滅多にないが)た場合に備えてもいる。

だから〇〇万部発行しているから〇〇万人が読んでいるとは限らない。

 

テレビ・ラジオは点けっぱなしということもある。だから視聴率が高くとも、聞き流されている、観流されているという場合も珍しくない。

テレビ番組でもコマーシャルになったらトイレに行くとかコーヒーを淹れ始めるとかいう人もかなり多いから、〇〇万人観ているということは単なる希望的観測に過ぎない。

 

2015年以降は多少は広告代理店のスキルも上がっているのかもしれないが、少なくとも2010年までの広告代理店営業マン、とくにベテラン営業マンは雑誌に対する「〇〇人読んでいるはずです」というプレゼンしかネット広告に対してもやってこなかった。

そんな状況にもかかわらず、これまでの付き合いだとか、知名度の高さによる根拠のない安心感だとか、そういうことだけで旧型代理店を使い続けている大手アパレルもいまだに少なからず存在する。

そして、的外れな提案に年間何千万円もの費用を投じて、効果の出ない施策に振り回されて、アパレルの広報担当者は「やった」感に浸っているという喜劇が現在も繰り広げられている。

 

2000年頃でもそういう企業は多々あり、広告代理店を通じて人気雑誌に広告を掲載したがまったく反響がないというアパレルも少なからずあった。それでも彼らはその代理店と付き合いをやめなかった。それが今でも変わらない会社もある。

当時、業界誌の先輩になぜそういうことが起きるのかと質問したことがあるが、その先輩はこう答えた。

 

「大手代理店や知名度の高い代理店を使ったけど効果が出なくても上からは叱られないからだ。『大手を使いましたが失敗しました』といえば、広告やメディアのことが分かっていないトップ(アパレルのトップはほとんどがそうである)は『大手を使っても結果が出ないなら仕方がないな』と納得してしまう。広告担当者も保身ができるからだ」

 

と。

その時は「そんなバカで間抜けな集団が現実に存在するのか?」と訝しく思ったが、その後、20年間見続けて来てもあまり変わらないのだから、この先輩が説明したことは恐らくは事実なのだろうと今では納得している。

 

不景気に転落している広告代理店も多いから、電話やメールでの営業や飛込営業をかけられている繊維・アパレル企業も少なくないだろうと察するが、アクセス数とPV数の増減しか把握できないような広告代理店と契約するのは、ドブにカネを捨てるようなものでしかない。そんなカネを何百万円も支払うなら、それを社員に臨時ボーナスで配った方が士気が上がってはるかに業務が進むだろう。くれぐれもご注意いただきたい。

もし、ご要望があれば相談も受けさせていただく。

 

 

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