
ファッションは細分化されたマニアックな世界だからマスにはわかりにくく親しみにくい
2021年2月24日 トレンド 3
現在、国内で老若男女問わずに共通で話題にすることができる衣料品ブランドは「ユニクロ」「ジーユー」「しまむら」「無印良品」くらいではないかと思う。
「ルイ・ヴィトン」などのラグジュアリーブランドも広くブランド名は知られているが、実際に商品を持っている人はそれほど多くない。さらにいえば、国内の正規売り場(直営路面店、百貨店インショップ合わせて)で買った人はさらに少ないだろう。
そうなると、実際に名前を知っていて、それでいて商品も買ったことがあるというブランドは「ユニクロ」「ジーユー」「しまむら」「無印良品」くらいになってしまうと考えられる。
それ以外に国内には様々なブランドがほぼ無数に存在する。個人活動レベルにまで広げると本当に数えきれないほどのブランドが存在する。
それぞれ、価格帯、テイスト、顧客層、売り場が異なるため、マスのファンは獲得しづらく、少数のファンを獲得しているという状況だといえる。
そのため、なかなかマス層での共通認識とはならない。
例えば、当方が40歳手前まで夏冬のバーゲンで買っていたブランドを挙げてみる。中には無くなったブランドもあるが。
ドモン、メンズビギ、メンズメルローズ、Rニューボールド、トルネードマート、PPFM、イネドオム、5351プールオム、ボイコットなどなど。
このブランド名で盛り上がれる人々が一体何人くらい存在するだろうか?ユニクロやジーユーに比べてはるかに少ないのではないか。
以前にも書いたが、独立してから10年間、断続的にファッション専門学校で非常勤講師をしている。
自分の子供くらいの年齢の学生と毎年新たに知り合うわけだが、ファッション専門学校に「わざわざ」進学するようなファッション好きな学生ですら、ユニクロ・ジーユー・しまむら・無印良品くらいしか、当方とは共通認識がない。
逆に今では少数派になったが、もっとマニアックなブランドに傾倒している学生もいる。こちらはこちらで共通認識を持ちにくい。
ハッキリ言ってしまうと、昔ならファッション専門学校生とは、ワールドやオンワード、ファイブフォックスなどのブランドで共通認識が持てたが、それが2000年代半ば以降、無くなってしまった。
「わざわざ」ファッション専門学校に進学する生徒ですらこの認識なのだから、一般大衆は推して知るべしである。
では、今時のファッション専門学校生と共有できる話題とは何かというと、アニメ・漫画・特撮・ゲームである。
コムサ・デ・モード・メンを知らない学生でもドラゴンボールは必ず知っている。ドレステリアを知らない学生でもエヴァンゲリオンは必ず知っている。
こういう状況を踏まえてBLOGOSに寄稿した。
日本のキャラクターとコラボ続々 ファッションブランドが異色の商品を売り出す狙いは【ロエベがトトロとコラボ商品】 (1/2) (blogos.com)
当方が学生の頃、20代の頃は、すでに多くの人が漫画やアニメを楽しんでいた。若手時代の職場でも「今週のドラゴンボールどうなった?」なんていう会話を先輩や同期と毎週していた。
しかし、まだ当時はそういうものは「オタク趣味」「サブカルチャー」だと共通で認識されており、アニメショップ以外でキャラクターの顔がプリントされたようなTシャツやトレーナーは販売されていなかったし、そういう物を着ているのは「オタク」だと認識された。
この年齢までアニメ・漫画・特撮が好き(ゲームはしない)な当方でさえ、そういう服はこれまで着用しなかった。
とはいえ、現在、ユニクロなどの低価格ブランドのみならず、ラグジュアリーブランドやファッション最先端を自任する伊勢丹新宿店までもがアニメコラボを毎シーズン行うようになっている。
もう決定的にアニメとファッションの立場は逆転してしまっているといえる。
そして、慣れとは恐ろしいもので、最近ではキャラクターのプリントが入っているTシャツやトレーナーも奇異には感じなくなっている。
前回のブログともつながるが、極度に細分化されたファッションというジャンルは、もうマスが共有して興味を持てる対象ではなくなってしまっているといえる。
服に興味のある人は少数派の数寄者だということ – 南充浩 オフィシャルブログ (minamimitsuhiro.info)
そしてそういうマスが選んだのがユニクロであり、アニメなどの元サブカルである。
そのユニクロがアニメと結びつきコラボ商品を毎シーズン発売するようになったのは、当然の帰結といえるのではないかと思う。
鬼滅の刃とアナスイのコラボハンカチをAmazonでどうぞ~
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とおりすがりのオッサン より: 2021/02/24(水) 2:45 PM
アニメとコラボといえば、ついこの前GUCCIがドラえもんとコラボして5万10万20万のバッグやら服やら時計やらいっぱい出して、売れてるのが怖いっすね。なんで、そんなものに出せるお金があるんだろう?w
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ant より: 2021/02/24(水) 3:52 PM
ファッションビジネスで生きるにはちゃんとした大学でて商社に入った方が憧れのブランドに近づけますよね。今のファッション系専門学校に通う人のビジョンに興味があります。
なるほど ファッションの専門学校に行く学生でも
ブランドには関心がない人も結構いるんですね
そういう人は ファッションビジネスに関心あるのかしら?
とすれば
古着の値打ちを見極める力を養う(ブランド品買取ショップのように)
海外のマンションブランドとのコラボなんかをしてるのですかね?
南さんがかねがね 学生に数字に強くなることを指導されていますが
数字に強くて 古着の目利きができる学生を育成できれば
この分野の学校も生き残れるんじゃないですか
大きなマーケットではないでしょうが