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南充浩 オフィシャルブログ

メイドイン○○だけでは洋服の付加価値とはならないと考える理由

2021年2月16日 ジーンズ 0

先日、お若い素人男性さんから「オリジナルでジーンズを作りたい」という相談をWEBを介して受けた。

その方はバレーボールをされていて、詳細はお聞きしていないが、社会人チームにも属されているようでかなり本格的な方のようである。

中学校とか高校のバレーボール部なら身長がそこまで高くない選手もときどき見受けられるが、大学、社会人となるとほぼ全員が驚くほど高身長なので、その方も身長2メートル近いという。

高身長、ガッシリ体型のスポーツ選手に向けたジーンズカジュアルブランドを模索しておられるとのことだった。

 

恐らくは洋服が好きな方なのだろうと思う。

個人的には本格的な選手経験を活かして、一般人とは異なる選手の体型に合うようなカジュアルをコンセプトとすればいいのではないかとアドバイスを差し上げた。

例えば、

 

・高身長対応で異様に長い股下にも対応できる

・ガッチリ体型でも動きやすい機能素材を使用する

・(もしあれば)スポーツ体型特有の悩みを解決するようなパターンの採用

 

などなどを考えればよいのではないかと思う。

あとは売り方、販促の仕方、サイトの作り方、SNSの活用法などになり、そこはまたその専門の方々がおられるのでそちらに相談された方が良いだろう。

新年からの緊急事態宣言で仕事がいくつか延期になってしまって暇なのでここまでは無料でアドバイスを差し上げた。ただし、上手く行くかどうかはわからない。当方のアドバイスが的確かどうかもわからない。(笑)

エライ業界の先生方にセカンドオピニオンを受けられた方が良いかもしれない。(笑)

 

洋服がお好きな方なのだろうと感じたが、洋服の作りについては当然ド素人で、そのことに関しては何とも思わない。

興味深かったのが、そういう洋服好きのド素人さんは「日本製 メイドインジャパン」に関してはそれなりに今も高い付加価値を見出しているという点だった。

特にジーンズに関してはそういう付加価値があると考えておられる点はかなり参考になった。

 

個人的には、2010年頃までは国内産地とのつながりが強かったので、当方もそのように考えていたが、そこから10年が経過し、国内外の生産地の様相も変わったので、今では「日本製 メイドインジャパン」に過度にこだわる必要はないのではないかと思うように当方はなった。

断っておくと、「日本製」に価値が無いとはまったく思っていないし、当方は日本人なので、生き残りたいと思っている国内工場は何とか生き残ってもらいたいと思っていることは今も変わらない。

 

しかし、単純に物を作るとなると、国内外はそれぞれに一長一短あるため、オール日本製だから絶対に優れているとも言えないし、オール海外製だから絶対的に劣っているとも言えない。逆もしかりだ。オール海外製だから絶対に優れているということもない。

 

国内工場でも上手い工場と下手くそな工場があるように、海外工場にも上手い工場と下手な工場がある。あとは生産日数の長短もそれぞれだし、工賃の高低もある。生産数量の大小もある。またそれ以外のこまごまとした付属の手配などの効率化もある。

 

それらを加味して自分が考えている価格帯、商品品質、売り方に見合ったセレクトをすることが最適だと今は考えている。

仮に、国内デニム生地を使っても縫製は海外という選択肢もあるし、逆もある。また洗い加工だけを国内工場で行うこともあるし、洗い加工を海外で行う場合もある。

繰り返すが、自分がどんな商品をどの程度の数量でどの価格帯でどういう販路で売りたいのかによってその組み合わせは変わる。また、為替相場の上下動によっても変わる。(要するにMDの5適によって変わる)

 

そして、メイドインジャパンなら必ずマス層に支持されるわけではない。もちろん、そういうファン層もいるがどれほどの人数(市場規模)がいるのかを見極めることも必要だ。

例えば、ユニクロや無印良品規模ではオール日本製ジーンズはさほど売れない。これは両ブランドがそれぞれ2010年代に「メイドインジャパンジーンズ」を展開していたが、その後まったく継続されていないことから類推できる。もし、バカ売れしたのなら、この両ブランドは今も継続しているはずだ。

また同時期にはライトオンも「メイドインジャパンジーンズ」をPBのバックナンバーで展開していたが、その後、まったく継続していないことを考えるとこれも不発に終わったのだろう。

となると、ユニクロ、無印良品、ライトオンの客層と市場規模にはメイドインジャパンジーンズは響かないということである。

しかし、もっと小規模なブランドならメイドインジャパンジーンズでビジネスが成り立っている例も多い。

 

一方、メイドインジャパンにこだわっていそうな旧大手のビッグジョンは主力商品のストレッチジーンズ「コンプリートフリー」ではトルコのISKO社のデニム生地も採用している。

 

そういう状況を考えると、メイドインジャパン、オール日本製ということだけで付加価値とすることはすでに無理があるのではないかと当方は考えている。

もちろん、全く無価値とは思っていない。

しかし、最適解はどういう組み合わせで生産するかであり、究極的には「プランニングBYジャパン」とか「日本製生地を使用」とか「日本製洗い加工」とか「プロデュースBYジャパン」みたいなことが付加価値になるのではないかと考えている。

もちろん、国内縫製でも構わないが、その際使用するのはトルコ製生地でも台湾製生地でも中国製生地でも良いのではないかと思う。

 

冒頭の話に戻ると、この方が作り出す商品の最大の付加価値は「本格的スポーツ選手が考えたスポーツ経験者のための商品」という部分ではないかと思う。そしてこの方は一般的な日本人だと思われるので「日本人が考えた」「日本人がプロデュースした」という部分が付加価値になるのではないかと思う。

 

恐らく、ジーンズに限らず、洋服・靴などの洋装品全ては「メイドイン〇〇(国名)」が最大の付加価値だったという時代はもう終わったのではないかと感じている。そこには工場を巡る環境の変化もある。

 

人を教えることは自分の勉強にもなるというが、今回も無料で(笑)アドバイスをしているうちにそういう考えに思い至って、却って自分に有益だったと思っている次第である。

 

 

そんなビッグジョンのコンプリートフリーをどうぞ~

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