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南充浩 オフィシャルブログ

同質化が進むと「有名ブランド」と「低価格品」の二極化がさらに進む

2021年2月15日 商品比較 0

以前、あべのハルカスウイング館がグランドオープンした際、内覧会に参加した。

あれから、ウイング館のテナントラインナップもすっかり変わって、キャンドゥが入店していたり、まるまるギフトサロンになっていたりする。

内覧会当時、ヤングレディースのフロアを見て回ったが、どのブランドも白いトップス&ボーダー柄トップス、スキニージーンズという打ち出しで、どれも同じに見えた。

同行していた業界紙記者も「どれも同じに見えてしまう」とこぼしていたことを記憶している。

 

そうなると、取材するにしても買うにしてもその判断基準は「看板」「値段」しかなくなってしまう。

似たような物がズラっと並んでいる。見た目はほとんど区別ができないとなると、ブランド名か物の値段かしか判断基準がなくなる。

例えば、有名なブランドだから取材してみる・買ってみるということになるし、安いから買ってみるということになる。

それが究極まで行き着けば、カジュアルやビジカジはユニクロとジーユーで十分ということになってしまう。もしくは一部のファッショニスタが「イタリアの〇〇ブランドしか勝たん!」と言っているような事態になる。

その結果、有名ブランドか低価格ブランドかの二極化ということになる。

二極化するからさらに同質化するのか、同質化するからさらに二極化が進むのかは卵と鶏のような関係でどちらが原因なのかは判然としないが、負の連鎖を断ち切るためには同質化を避ける必要があるのではないかと思う。

 

当方の加齢が進み衣料品への好奇心や期待感が低まっているから、過剰に同質化しているように見えてしまうのかもしれないが、長引くアパレル不況によって各ブランドとも「置きにいった安全パイ」企画が増えていることは間違いないのではないかと思う。

 

先日、SNSで知り合った元大手MDで現在はOEM会社を経営する40代半ばの方と初めてお会いした。

関西出身ということと、年代が比較的近しいことから共感することが多かったのだが、当方と違って日々洋服作りやその販売に携わってきたその人でさえ「新卒入社した20年前と比べると同質化した商品や店構えが増えすぎて判別しにくくなった」と話していた。

当方が入社した90年代前半やその人が入社した90年代後半は、バブル崩壊による不景気が襲来していたが、まだ現在よりは挑戦的な商品や店作りが多かった。

全盛期だったワールドの「オゾック」の店作りや商品デザインは本当にある意味でぶっ飛んでいたし、そこから派生した「インディヴィ」もテイストは違えど明らかに違っていた。

メンズでも一般アパレルがかなりとがった商品を販売していて、ジョイックスコーポレーションが当時展開していた「SO」なんていうブランドは、どこで誰が着るのかわからないようなアルミホイールみたいな銀色のジャケットを販売していた。

 

当方が長年かかわったジーンズだって、基本的には売れ筋集中で、ストレッチタイトシルエットかテイパード一辺倒だ。色は濃紺か薄くまで落としたウォッシュか、あとはクラッシュ加工(ダメージ加工とも)。

ちなみにクラッシュ加工は本来は加工賃が高くなって販売価格が上昇してしまうが、工夫次第ではユニクロが3990円で発売できてしまうという状況にあり、差別化要因ではなくなっている。

玄人から見ると、ユニクロのクラッシュ加工は工賃が上がりすぎないように破る部位を工夫しているとのことだが、大衆から見れば、手の込んだクラッシュ加工もユニクロのクラッシュ加工も同じように見えてしまう。それでいて値段が3倍とか5倍違うなら、こだわったマニアではない限りユニクロの3990円を買うだろう。

定価3990円が1290円に値下がりして買ったユニクロのクラッシュ加工を施したウルトラストレッチスキニージーンズ

 

 

 

 

2000年頃、カラージーンズブームが一時的に来たことがある。

ビンテージジーンズブームが一服して、もう「インディゴブルーには飽き飽きした」ということだったのだろう。当時の売れ筋は「赤」だったと記憶しているが、オレンジや黄色、パープルなどの明るい色が人気だった。

しかし、売れ筋集中はこの当時も変わらないから、あっという間に店頭は各ブランドの赤・オレンジ・黄色のカラージーンズで埋め尽くされることになってしまった。

そんな中、旧ボブソンは「紫外線を浴びるとその期間だけ色が変色するカラージーンズ」というのを発売した。

3色展開くらいで発売したと記憶しているが、例えば、水色のカラージーンズが屋外に出ると紫外線でオレンジ色に変色し、屋内に入るとまた水色に戻るというジーンズだった。

この特性から「カメレオンジーンズ」というネーミングだったと記憶している。

 

正直言って、この変色に何の意味があるのかと首を傾げたし、逆にコーディネイトしにくいやろとも思った。

しかし、面白さは感じた。

結果的にカメレオンジーンズは売れず、旧ボブソンの企業寿命を縮めた一端になったのではないかと今では思っているが、こういう面白い提案は今あまり見かけない。

それこそ「見せ球」としてMD設計をきちんと行い、売れなくても影響のない程度の生産数量に抑えていれば企業やブランドの起爆剤になったのではないかと思う。

もちろん、言うは易く行うは難しで、この「売れなくても影響の出ない程度の生産数量」というのが難問中の難問だが、当方が業界で唯一信頼を置くMDコンサルタントのマサ佐藤氏あたりに相談されれば、何らかの解決策が見いだせるのでははないかと思う。

しかし、こういう「見せ球」を企画しないと、「全集中・売れ筋の呼吸」では同質化が進み「有名ブランド」か「低価格ブランド」しか売れないという二極化がますます進んでしまう。

 

 

ノーブランドの2980円のダメージ加工ジーンズをどうぞ~

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