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南充浩 オフィシャルブログ

人間万事塞翁が馬?

2013年10月8日 未分類 0

 先日、繊維以外のある産地の話を聞いた。
その産地も各繊維産地と同じく、この20年で倒産・廃業が相次いだのだが、その原因の1つとして、超大手とがっちりと取り組んだ先ほど倒産・廃業したという。

大手と取り組むと、1個当たりの受注金額は安いが、数量が多い。
それも1社では到底さばききれないほどの数量である。
必然的に他社からの小ロットの注文を断り、大手に専念することとなる。

しかし、大手は何年か後には、アジアに自社工場ないし協力工場を確保することになる。
国内工場との契約が終了次第、アジア工場での生産を開始し、国内工場との契約延長は行わない。
これで国内工場は干上がってしまい、倒産・廃業に至るという図式である。

一方、その産地にも残存している企業がある。
これらの企業は、大手からの注文を受けなかったか、受けたとしても極少量に抑えていたかのどちらかの企業である。国内産地が活況を呈しているときにその恩恵は受けなかったものの、大手の動向に左右されずに現在も事業を存続させることができている。

人間万事塞翁が馬といわれるが、何が幸運で何が不運なのかよくわからない。

しかし、繊維業界の構図とまるで同じである。

繊維業界の産地や産地企業も大手とあまりにも密に取り組みすぎて破綻した先がいくつもある。
また破綻しかけて土俵際で踏みとどまった企業もいくつもある。

国内産地には中小・零細企業が多い。
もちろん都市部のアパレル・OEM・小売業にも中小・零細企業は多い。

この中小・零細企業の営業・販売戦略としては、新規顧客獲得よりも既存顧客を優遇する方が正しいのではないか。
量販店のような大手企業なら成長のために毎年大量の新規顧客獲得が必要となる。
携帯電話会社が新規獲得キャンペーンを盛んに行うのもそのためだろう。

しかし、中小・零細企業が大手のような新規顧客獲得のみを重視すれば、既存顧客が離れてしまう。
理想は新規顧客も獲得でき、既存顧客も維持することだがそれはなかなか難しい。

なら、既存顧客を優遇する方が中小・零細企業としては生き残りやすいのではないか。
新規の大手ばかりを優遇せずに、既存顧客の小ロット対応も並立させていれば、先の産地も繊維産地もここまで倒産・廃業が相次ぐことはなかったのではないかと思えてくる。

国内産地の過去の状況を見ると、ますますそういう思いが強くなる。

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