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南充浩 オフィシャルブログ

洋服のネット通販で頻繁に見かけるおかしな表記について

2021年1月15日 ネット通販 0

実は今回が2500本目のブログである。

おめでとうワシ。

次は3000本を目指して続けようと思うのでまたよろしくお付き合いください。

 

 

ネット通販で服を買うことにもすっかり慣れて、定期的にメンズブランドのネット通販をいくつかチェックするようになったが、いくつかのサイト上での表記で気になる点がいくつかある。

まず、一つ目は些細な点だが、「ジャガード」と表記しているサイトが多い点だ。サイトの文面担当者がド素人なのではないかと思っている。しかし、文面をチェックする人もいるだろうから、通常ならそこで修正されるはずである。となると、チェックする人もド素人なのだろうか。

ジャガードではなく、正しくはジャカードである。

日本語のカタカナで書くと、些細過ぎてわかりにくいが、アルファベットで書くと違いがよく分かる。

ジャカードはjacquardとつづる。

「cq」なので、濁音には絶対になり得ない。だから「ジャカード」なのである。

 

ジャカードはジャカード織機で織られた生地をそう呼ぶ。ジャカード織機を開発したのはフランス人のジャカールさんである。フランス語はdを発音しないことが多いから、jacquardとつづってジャカールと読む。それを英語式に発音するとジャカードとなる。

 

 

2つ目は「ダウンジャケット」の意味合いが変わっている(変えられようとしている)点である。

そもそも、ダウンジャケットとは何か?である。

ダウン(羽毛)を詰め込んだ防寒ジャケットのことである。形状やデザインに対する名称ではない。

にもかかわらず、各サイトには「中綿ダウンジャケット」なる珍妙なネーミングの商品が溢れている。文面担当者だけの責任ではないだろう。

商品企画担当者、商品仕入れ担当者(いわゆるバイヤー)の責任も大きいだろう。

なぜなら、そのような名称で発売すると決定するのは、サイトの文面担当者ではないからだ。商品企画担当者か場合によっては経営陣の仕事ということになってしまう。

ダウンジャケットと言えば、多くの人は「あの形状」「あのデザイン」の防寒アウターを思い浮かべる。そしてそれらのサイトは、そのド素人の消費者の認識を利用するかのように、「あの形状」の防寒アウターをすべて「ダウンジャケット」と表記する。中の詰め物の材質にかかわらず。

 

 

 

だから、Yahoo!ショッピングでもAmazonでもZOZOTOWNでも「ダウンジャケット」という単語で検索をすれば、異様に安い2900円前後の「ダウンジャケット」と名付けられた商品がいくつも表示される。

 

たしかに安いダウンジャケットが存在しないわけではない。

冬バーゲン末期には驚くほど値下げされる。例えば、今でいえば、ユニクロのウルトラライトダウンジャケットでも不人気カラーは3990円に値下げされている。また、しまむらでも2200円くらいに値下げされた軽量インナーダウンジャケットが売られている。

また、怪しげな安物屋の店頭にはノーブランドの2000円台のダウンジャケットが並んでいることも珍しくない。

 

だが、通販サイトで検索をした場合、それらの商品は表示されない。

サイトで表示される「2900円くらいのダウンジャケット」の詰め物は羽毛ではなく、ポリエステルである。当方はこの表記を詐欺にも等しいと見ている。

 

なぜなら、先ほども書いたように「ダウンジャケット」とは「形状」を指す言葉ではなく、詰め物がダウン(羽毛)であるという意味だからである。

しかし、多くの消費者のイメージを利用し、優良誤認させるように「形状」を指して「ダウンジャケット」と名付けているのである。

わざとやっているなら優良誤認を目的とした詐欺行為だろうし、わざとやったのでなければ、物知らずの無知の所業である。

 

そして、これをさらにややこしくして混乱を激化させているのが「エアコンダウン」とか「テックダウン」とか「ファイバーダウン」とか言ったネーミングである。

これらの「〇〇ダウン」はすべて代替品に与えられた名称にすぎず、実際は羽毛の代わりにポリエステル繊維の中綿を用いており、そのポリエステル中綿に対する名称として「〇〇ダウン」と名付けたに過ぎない。

ファイバーダウンはダウンではなくポリエステルだし、テックダウンもポリエステルだし、エアコンダウンもポリエステルである。もちろん商品の詳細ページには「詰め物ポリエステル100%」の記載があるので、それを読めば一目瞭然だが、それを読まない人は永遠にわからないというわけである。

 

これと類した事例が「レザー」「本革」である。

同じく、大手サイトで「レザー〇〇(〇〇はアイテム名)」「本革〇〇」と入力して検索すると、ダウンの場合と同じく異様に安い商品が多数表示される。

しかし、その商品の詳細ページに飛んで素材を見てみると「人工皮革」「合成皮革」と書いてある場合がほとんどである。

レザー、本革というのはあくまでも「動物の皮をなめした物」である。それ以外の物は「レザー」でも「本革」でもない。

合成皮革や人工皮革は本革ではない。代替品に過ぎない。

バターとマーガリンは似ているが、別物であるのと同じだ。

 

ブランド側とすれば少しでも売りたいからこういう詐欺に近い表記を行っているのだろうが、これがまた消費者の混乱ばかりでなく、業界をも混乱させることにつながっている。

そして消費者からの信用も失うことにつながっており、自分で自分の首を絞めているといえる。

こんな小ズルい手段に頼るのはいかがなものかと感じる。

 

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FILAのファイバーダウンwwwジャケットをどうぞ~

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