MENU

南充浩 オフィシャルブログ

バーチャルの方がファッションを売りやすいかもよ?

2020年12月23日 ファッションテック 0

今回は前回の続きみたいな内容である。

洋服を実店舗で買いたいという人が大きく減らない理由 – 南充浩 オフィシャルブログ (minamimitsuhiro.info)

 

11月と書いたが、正確には11月末か12月上旬だったと思うが、愛用しているドットエスティで「ニコアンド」のユーロミリタリーブルゾンを70%オフの3234円で購入した。

で、このブルゾン、3234円で購入したことを考えると機能的には素晴らしい。定価の10000円強なら絶対に買わないが。

ポケットが少ないことを除くと、軽くて暖かい。スタンドカラーの首裏はフリースが貼られていて、暖かいだけでなく、首の脂による汚れも目立ちにくい。

この軽さと保温性はチープなダウンジャケットよりも上ではないかとすら思える。

しかし、全体的にビッグシルエットになっており、身幅はおろか、アームホールも大きく、ちょうど80年代の防寒ブルゾンのようなシルエットになっている。

 

 

 

これを小顔で華奢な体格の若者が着ると「ああ、ビッグシルエットだな」ということになるが、当方のような顔が大きくて首が短くて肩幅が広いオッサンが着ると「単にゴツイオッサン」「工事現場に向かうオッサン」みたいにしか見えない。

服のターゲットとすると50歳のゴツイオッサンではないだろうから、ブランド側の責任ではない。ひとえに着用者の容姿・体格が悪いのである。

 

で、これと同じことは多くの人が感じられているのではないかと思う。

モデルさんが着ていたらカッコイイのに自分が着たらカッコ悪いという現象である。理由は簡単である。着用者のルックスがモデルさんに遠く及ばないからである。

顔が大きくて首が短く、肩幅がガッチリしている人は男女ともに着ぶくれしやすい。

ボンレスハムみたいなモコモコのダウンジャケットはミシュランマンになってしまう。ダウンベストは別で、袖がない分まだスマートに見える。

あと、毛足の長いファーリーフリース、シープフリースの類も危険だ。だいたいが熊や猪の類に見える。

90年代後半のヒップホッパーのような、ダボダボトップスにダボダボズボンの腰穿きもダメだ。単に太っている人にしか見えない。

 

個人的には、毛足の長いボアフリースも着てみたいと思うが、他人から熊とか猪とかマタギとか思われるのは嫌なので着用しないようにしている。

要するに、好きな服と似合う服が異なっているという場合は、当方も含めて相当数存在しているということである。

 

だから、今でも6割~8割の人は試着ができる実店舗で服を買うのである。

もしくは一度試着した服をネットで買うのである。

 

こういう体験を何度かすると、実物の洋服を買うことのリスクを感じてくる。

一方、このブログでも以前に書いたことがあるが、最近はゲーム内のキャラクターに着せる服の市場規模というのがバカにならないほど増える傾向にある。

 

「本来のファッションの楽しみ方」はゲーム内にある? – 南充浩 オフィシャルブログ (minamimitsuhiro.info)

 

2019年3月28日に書いている。

この時はフォートナイトや荒野行動でゲーム内のキャラクターに着せる服が売れているという話題だった。

記事内での引用を再引用すると、荒野行動では日本で308億円分のゲーム内ファッションが売れたとのことである。

 

最初この話題を聞いたときに意味がわからなかった。

キャラクターに服を買い与えてもまったく強くならないそうなのだ。

我々、中高年世代は学生時代にドラゴンクエストやファイナルファンタジーなどのロールプレイングゲームを多くの人がやっている。

これらのゲーム内でも服(鎧も含む)を買うということがある。しかし、これは防御力や攻撃力、魔法力などを高めるためである。要するに強い鎧や服を買えば、自分のキャラクターが強くなる。

強くなるために装備を買うわけで、非常に目的がわかりやすい。

 

今のフォートナイトや荒野行動は別に服を買っても買わなくても強さは変わらない。しかもドラゴンクエストやファイナルファンタジーとは異なり、実際の現金を払うわけである。

一体何のために大切な現金を支払うのか、生まれついての貧乏性な自分には想像もつかない。

 

そういえば、今年の春にもこんな報道があった。

『あつまれ どうぶつの森』なぜ世界的ファッションブランド参入? 拡張しつづける“マイデザイン”機能の可能性|Real Sound|リアルサウンド テック

世界的ファッションブランドMarc Jacobs (マーク・ジェイコブス)とValentino(ヴァレンティノ)は5月上旬、『あつまれ どうぶつの森』の世界で着用できるファッションアイテムのダウンロードコードを、それぞれの公式SNSで公開した。

とのことで、たぶん、マークジェイコブスとヴァレンティノの服を着せても何のパワーアップにもならないだろう。

ちなみに、自分は「あつまれ どうぶつの森」をプレイしていないし、今後する気もない。

 

しかし、実物の洋服には「似合う・似合わない」が厳然として存在することを痛感すると、少しだけだが、何の得にもならないキャラクターに洋服を買い与えることの意味が理解できる。

ゲームのキャラクターには「似合う・似合わない」はほぼ存在しない。似合わなければ顔や体型を変えれば済む話である。また「暑い・寒い」とか、「動きやすい・動きにくい」という制約も存在しない。

雪原にタンクトップ1枚で立たせてもキャラクターは「寒いやんけ」とは言わないし、砂漠のステージにドーベルマン刑事よろしく、革ジャンを着せて立たせても「汗が止まらん」とも言わない。

完全に自分の理想像を実現することができる。

 

そういう点を考えると、ファッション産業は実物の服を売ることばかりではなく、ゲームなどのデジタルキャラクターへの洋服販売ビジネスを本格的に考えるべきではないかと思う。

「洋服は自由だ」「ファッションは自由だ」と言ってみたところで、様々な制約が存在するため、どうにもならないということは分かってはいるが不満を溜めている人もいるだろう。そういう人はバーチャルキャラクターに自分の理想とする服を着せて楽しむという行動をとることも、もっと増えるのではないかと思う。

 

それにしてもつくづく竹野内豊のような容姿に生まれたかったと思う。肉体を持っている喜びもあるのだろう(自分はあまり感じないが)が、肉体があるが故の制約というものも多く、そこから逃れることはできない。

もしかしたら、ゲームキャラクターに服を着せることの方が、自分が着るよりもストレスフリーで楽しいのではないかと思う。

 

 

真夏でも革ジャンを着ているドーベルマン刑事の全巻セットをどうぞ~

この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ