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南充浩 オフィシャルブログ

「妥協できる」低価格代替品が増えた

2020年11月19日 お買い得品 0

洋服の良し悪しというのは結構主観も入るから、最終的には「僕はいいとは思わない」で終わってしまう。

あと、ラベルやイメージによって左右されることも多いから「ユニクロは粗悪に見える」と思えば、本人の中ではそれが正解になる。

ノートパソコンなら、安物はCPUの性能が低く、高額品は高性能品が使われている場合が多い。価格差は如実に機体スペックや使い心地に反映される。

サクサク動くとか、画面をたくさん開いても稼働速度が落ちないとか、そういうことである。

 

しかし、洋服はそうではない。標準的な水準をクリアしているなら、低価格品と高額品ですごく着心地が変わるということはあまりない。

スポーツや作業服などの機能性を重視した服ならそういう違いはわかりやすい。

あのメーカーの商品は価格が高いけど吸水速乾性がすごくいいとか、そういう点では通常のカジュアルやビジネス服よりもわかりやすい。

だから、日本では高機能性服が売れやすいのだろうと思う。どんな人にでもその効力がわかりやすい。

 

「高品質素材をナンタラカンタラして、ナンタラカンタラの熟練の職人のステッチがどうのこうのして」みたいな服は違いが分からない人も多い。もちろん、自分もその一人である。

ジル・サンダーのシャツとユニクロの2990円のシャツを比較するとか、ジル・サンダーのシャツと+Jのシャツを比較するというブログがいくつかあり、それはそれなりに面白いが、定価88000円のジル・サンダーのシャツと、2990円のユニクロシャツ、4990円とか3990円の+Jのシャツを比べると、なるほど違いはある。

しかし、許容できない、もしくは妥協できないほどの差があるかといわれると、個人的にはNOである。自分は妥協できる。

そりゃ、古色蒼然とした老舗の低価格カジュアルメーカーの商品で「これはちょっと妥協できない」と思う物はあるが、イオンモールに軒を連ねているような低価格ブランドならユニクロに限らず妥協できる商品は多い。

 

そして、洋服のやっかいなところは、着て似合うかどうかということにもある。

パソコンでもガンプラでもテレビでも「物」として完成されていればそれでいいが、洋服の場合は、身に着ける物だから「似合う似合わない」「高見えするかしないか」という問題が発生する。

ハッキリいえば、体型がすらりとしていて、容貌が整っていることが、洋服が似合う絶対条件である。

残念な体型で、残念な容貌ならどんなに高額なブランドを着ても、それほどカッコヨクは見えない。

2016年の有名な記事がある。当方はここに書かれていることは100%正しいと思う。

 

「ファッションは顔が全てということが分かる8枚の画像」

http://netgeek.biz/archives/84388

 

これがあるためにストレートに「高い服=かっこいい」とはならない。服自体はかっこいいけど・・・・ということになる。

 

ちょっと前置きが長くなってしまったが、そんなわけで洋服はカジュアル、ビジネスともに「低価格でも妥協できる」商品が増えたことが洋服の販売価格の低下の一つだといえる。

メンズのビジネススタイルでは2000年頃から客単価が低下してきたと言われている。要するにスーツ、ワイシャツ、ネクタイなどの客単価が低下してきた。

理由の一つには、恐らくツープライススーツストアの出現ということがある。

99年にオンリーが業界初のツープライススーツストア「ザ・スーパースーツストア」を開業。翌年青山商事が「ザ・スーツカンパニー」を開業した。(ツープライスは定冠詞が好きなのか?)

その後、はるやまの「パーフェクトスーツファクトリー」コナカの「スーツセレクト」なども追随した。アオキは「スーツダイレクト」を開業したが途中でミックス業態の「オリヒカ」に変更して今に至る。

初期ロットでは「???」というような商品もあったが、2005年頃までにはすっかりと各社とも「妥協可能」な商品で充実するようになった。

 

以前にも書いたが、まだ独身だった94年に「あぶない刑事」みたいな黒いスーツをロードサイドの青山とはるやまに買いに行った。

その時、青山もはるやまも「黒は略礼服しかありません」という返事だった。どちらかで買えたら3万円くらいの出費で済んだだろう。

しかし、無い物は無い。諦めて、ファッションビルへと出かけた。下火になっていたとはいえ、まだDCブランドはそれなりに元気があった(ように見えた)。

10万円のスーツなんていうのがその当時はまだ珍しくなかった。

余談だが、93~2000年ぐらいまでのメンズクラブというファッション雑誌は、毎年春になると「新入社員のワードローブ」みたいな特集があり、「初出社のときに着るスーツはこれ」とか「初ボーナスで買うスーツはこれ」という感じで商品が紹介されていたが、そのいずれもがだいたい8万~15万円くらいで、「マジか。これ1着買ったら俺の初月給ほとんどなくなるねんけど?」と背筋に冷たい物が走ったことを昨日のことのように覚えている。

そんな中、ファッションビルでは1万円でも安く買おうと10ブランドくらい廻って価格比較をしたが、一番安かったのがアトリエサブの黒いスーツで、定価8万円が冬のバーゲンで6万円になっていて、これを買った。

今ではジーユーの上下7000円のセットアップを着ている人間が、当時は6万円のスーツを買ったわけである。

これはアトリエサブというブランドが好きだったわけでもないし、DCブランドが好きだったわけでもない。低価格代替品が無かったから、それを高値で買わざるを得なかっただけのことである。

たまにネクタイをする際、当方はニットタイを締める。カジュアルでも使いやすい。しかし、ニットタイなんてツープライス出現以前は、めちゃくちゃいわくありげな店の高額品しか存在していなかった。だいたい6000~1万円台半ばが相場だった。しかし、ツープライスでは2990円で販売されるようになった。

くっきりしたロンドンストライプ柄・キャンディーストライプ柄のワイシャツなんかもそうだ。95年当時脚を棒にして青山、はるやま、スリーエムを探し回ったが売ってない。結局、アメリカ村にあったスキャパで1万円くらいのキャンディーストライプ柄のワイシャツを買った。

だが、ツープライスなら2990円で売っているし、ユニクロの最終処分値下げでは990円になる。

17年くらい前にスーパースーツストアで買ったストライプ柄シャツ

 

2016年に1290円に値下がりした時にかったユニクロのストライプ柄シャツ

 

 

 

 

これら全て、ジル・サンダーシャツとの比較よろしく、厳密に比較すれば違いはあるが、妥協できないレベルかというとそうではない。2900円くらいで立派に妥協できるレベルである。少なくとも当方は8万円出すなら2900円で妥協した方がいいと思う人間である。

 

だから、低価格代替品とかユニクロに対して恨み言を言っても無駄であり、自己満足でしかない。高値で売りたいなら低価格代替品では真似できない物低価格代替品には無い物を提案するしかない。また「物」そのものが大きく変わらないなら「高くても欲しい」と思わせるストーリーや仕掛けが必要である。

それなくして低価格代替品の「ここが悪い」と言ったところで、少々直線的に作られていようが、少々縫製の始末が杜撰だろうが、妥協できない水準ではない。

そんなわけで、個人的には今後も低価格代替品を最終処分値下げで買いたいと思う。

 

 

ザ・スーツカンパニーのスーツをどうぞ~

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