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南充浩 オフィシャルブログ

ワークマンがネット通販と実店舗店頭で品ぞろえが大きく異なる理由

2020年11月10日 ネット通販 5

某人気ファッションブロガーが

 

ワークマンさんにこの場を借りてちょっとモノ申したいんですが・・・ワークマンのアイテムって店頭に置いているものと通販で扱っているものにものすごく差があるんですね。
私は基本的に店頭で見て「これいいな」と思ったものを買ってきてご紹介しているのですが、オンラインストアで取り扱っていないものが多く商品リンクを貼れないことが多々ある。「通販では取り扱いはしていません」とお伝えしないといけない。

 

と書いていた。

まあ、要約すると、ネット通販と実店舗の店頭では品ぞろえが全然違う場合が多いということである。

今回は、推測も交えながらその理由を説明したい。

 

ユニクロ、ジーユー、無印、しまむらならこれを一致させることは比較的容易い。

超大型店とそうでない小型店の品ぞろえは当然異なるが、それもサイトに明記していれば済む話である。

「〇〇店は超大型店」「〇〇店は小型店」と明記し、「この商品は超大型店のみです」と書けば済む。

実際にそのようにして処理されている。

 

しかし、ワークマンは現状ではこれができない。なぜか。

ワークマンの店舗網は95%前後がフランチャイズ店だからである。前期のフランチャイズ比率は96・1%だったが、2021年3月期第二四半期決算では94・8%にわずかに低下している。

低下していてもフランチャイズ店比率が94・8%もあるなら、「ほとんどがフランチャイズ店しかない」と言っても言い過ぎではない。

経済系メディア、業界紙はなぜこれに対して考察しないのか不思議でならない。決算説明資料にも誇らしげに「フランチャイズ比率94・8%」とデカデカと掲載しているのに。

 

 

メディアがよくやる、お得意の「忖度」としか思えない。

 

個人的にはあまりにも高すぎるフランチャイズ比率はいずれ、重大なウィークポイントに転じると見ているのだが、それはさておき。

 

製造関係者から、ほんの1ヶ月ほど前にこんな噂が流れてきた。

「ワークマンは直営のネット通販と、フランチャイズの実店舗とで在庫をどのように持つかについて、内部では異論がある」

というような意味合いである。

要するに直営であるネット通販と、各フランチャイズ店の在庫の持ち方をどうするのかという議論が内部では起きているという噂である。

 

ワークマンが各フランチャイズ店の在庫をどのように把握・管理しているのか、そこは情報がないからここからは推論になる。

ネット通販は直営なので本部が在庫を抱えていると考えるのが普通である。

毎シーズンの目玉新商品などは意欲的に掲載できる。

 

一方、フランチャイズ店の在庫は、基本的にフランチャイズ店の買い取りだから、フランチャイズ各店の店頭は当然のことながら品ぞろえはある程度バラつく。

例えば、南店はイージスジャケットを完売したのに、佐藤店はイージスの白を5枚残している、また田中店はイージスの黄色を2枚残している、という具合に当然なる。

で、当たり前の話だが、シーズンごとの新商品も必ず全型がフランチャイズに入荷される(実質的にはフランチャイズ店が買い取り仕入れする)とも限らない。各店の在庫の減り具合によって、バラつきが出るのも当たり前である。

 

ほとんどがフランチャイズ店であるコンビニだって、各店舗によって品ぞろえが異なっている。また、在庫処分の値引き品も各店によって異なっている。

フランチャイズばかりのワークマンも当然同様だと考えられる。これに異論のある人はいないだろう。いるとしたらよほどにビジネスを知らない人である。

 

だから、ネット通販と各店の品ぞろえが全く異なるのである。

というか、品ぞろえが異なって当然である。

 

しかし、直営店ならこのバラつきはある程度は緩和できる。なぜなら店舗間移動という在庫処分方法があるからだ。A店ではまったく売れない商品があっても、B店ではそれが飛ぶように売れている場合がある。そうした場合、A店からB店へその商品を全部送ってしまうのである。そうするとA店は死筋がなくなり、B店は売れ筋が追加されるから両方ともハッピーになる。

だが、フランチャイズしかないワークマンではこの店舗間移動ができない。なぜなら、各店の在庫は各店オーナーが買い取った物だからである。だからワークマン本部はそんな指示も出せないし、出したところで実行できるはずもない。

 

 

当方は、ワークマンが各フランチャイズの在庫をどのように、どこまで把握・管理しているのかという情報を持ち合わせていない。

ただ、店頭や状況証拠をを合わせて考えると、あまり正確には把握・管理していないのではないかと当方は考える。

割合に正確に把握しているのであれば、本部から「〇〇と××という商品は必ず店頭に出してください。ネット通販掲載商品なので完売していたら追加補充を発注してください」と連絡するはずである。

かなりの割合で実店舗との品ぞろえが違うのであるなら、こういう連絡はなされていない可能性が高い。仮にもし、本部が連絡していたとするなら、フランチャイズ店の多くが本部の要請を無視していると考えられ、これはこれでフランチャイズへの管理体制が問題視されるべきである。

 

だからワークマンさん是非。このご時世インフルエンサーを巻き込むめにもオンラインとオフラインの品揃えをユニクロのようにほぼ同じにしてもらえると、非常に紹介しやすくありがたいです。

 

と人気ブロガーは提案しているが、はっきり言ってこの提案は無駄である。

なぜなら、各フランチャイズ店の在庫を本部がある程度正確に把握・管理するというのは、ワークマンの今の体制の根幹を変えてしまうからである。

基本的にワークマンはフランチャイズへ商品を納入した時点で売り上げが立ってしまう。早い話が、フランチャイズ店への卸売りに近い形態である。これが今のワークマンという会社の根幹であり、この体制によって、メディアが称賛する「絶好調」が維持されているわけである。

これを崩すと、確かにネット通販とフランチャイズ店頭の品ぞろえがある程度は一致するかもしれないが、絶好調を維持できるかどうかはわからない。個人的には今の絶好調は崩れると見ているのだが。(笑)

たかだかインフルエンサーの活動を支援するために、体制の根幹を揺るがすようなことは今の段階ではしないだろうと思う。

 

だが、今後さらに売上高が増えてフランチャイズ店舗数も増えれば、いずれはこの問題にも着手せざるを得なくなるだろうと思う。

 

経済メディアや業界メディアにも問いたいのだが、95%のフランチャイズ店舗網という体制が本当に効果的だといえるのなら、なぜユニクロや無印良品、しまむら、ハニーズ、アダストリアなどの各有力チェーン店はフランチャイズ体制を強化しないのか?逆になぜ直営店強化に取り組んでいるのか?

そんなに効果的なら各企業がこぞってフランチャイズ制を取り入れるのではないか?

そこに対して口をつぐんだままでワークマンを称賛し続けるのはミスリードを誘うだけではないか。

 

 

ワークウェアメーカー、バートルの防寒ジャケットをどうぞ~

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 comment
  • ハマオ より: 2020/11/10(火) 10:29 AM

    私はまだSc内店舗はメディアで
    しか見たことがないですが
    ロードサイド店舗は倉庫で買い物いている感覚です。

    通路にパッキンは出しっぱない
    ひどいところだどパッキンの上があいていてそこからお客様が勝手にレジに持って行く感じです。

    本部は納品したら売上なので後はオーナーのリスクで在庫誤差はかぶってという感じですね

    確かに商品
    ワークマンでは製品というらしいですが
    素晴らしいものが多いですが
    小売り お客様視点はゼロに近いですね

    川下というより川上寄りの川中というポジションですね。

    従来の職人相手のビジネスは継続できそうですがファッション系は後一年間位でピークアウトしていきそうですが
    特にワークマン女子は400店舗も行けるとは全く思いませんが

  • hkbくぼち より: 2020/11/11(水) 7:04 AM

    コメントに思わず笑うほど。ウチの近所の店も全く同じ。でも見切り品が目立たないのは何故でしょう。ホントに全て売れてしまうとは思えないから。先週シュプリーム帽子、ノースフェイスパーカ、スニーカー、バンズの全身ブラックのお兄ちゃんが黒のあったかパンツを買っていて微笑んでしまいました。そういう買い方をするのがワークマンでの買い方ですよね。いつまでも発見のあるお店でいて欲しいです。

  • とおる より: 2020/11/11(水) 5:57 PM

    ワークマンは、もともと一般人向け出なく、建設現場や工場などの作業員向けの作業服や小道具を売っている。どちらかというと、個人での購入者が少なく、業者が購入している。工場や建設現場は、郊外にあり、そのような場所に配置している。ワンオペで営業しているところが多く、人件費が安く住んでいる。店舗もコンビニくらいの広さで、駐車場を含めても土地代が非常に安いところに配置している。そのため、1店舗あたりの経費は非常に安くすんでいる。これが、一般的なワークマンの店舗である。
    作業服の製作ノウハウを一般服向けにデザインを変えて販売しようとしている。こちらは、ユニクロなどと競合することに奈留だろう。
    ワークマン全体とユニクロを比べるのはお門違いであり、素人が書いている記事としかいえない。工場や建設現場はよほどのことが無い限り、無くなることは無い。安定した収入が得ることができる。しかし、一般人向けは、競合がある。
    このようにファッションしかしらないド素人がかいても何の役にも立たない。

    • とおりすがりのオッサン より: 2020/11/12(木) 11:01 AM

      いや、今の服飾産業の業界がワークマンをユニクロの対抗であるかのような記事かいてて、ワークマン自体も一般人向け(しかも女性メイン)の業態を拡充させようって話になってることについて、南さんは書いてるんすよw

  • ハマオ より: 2020/11/12(木) 1:50 PM

    ワークマンは従来の顧客がいるので今までのやり方でもそれなりにやって行けるでしょうが
    プラスは今までとは全く別の市場に参入して来ているので新たな価値を創造して行かないとたち行かなくなると思います。

    記事で観ましたが専務が「うちは初回に大量発注して買い換え需要で何年もかけて消化していく」と言われてましたが
    今参入しているマーケットでは翌年同じ商品ではたちまち不良在庫です。

    ファッションとはアップデートとサムシングニューが必要だと思いますが
    ユニクロや無印の売り場には必ずそういったPoPが商品の横に解りやすく有ります。

    インフルエンサーを使って新しいお客様を開拓して行くとも言われてましたがそちらより
    お客様視点に立った改善が必要かと思います。

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