何の不思議もない
2013年8月29日 未分類 0
お盆のころに、タレントの若槻千夏さんが自身も創設に加わったブランド「WC」から離れるとの報道があり、一般メディアで大きな話題となった。
しかし、業界に与える影響はほとんどないに等しい。
数年後、大きな影響を与える人物として業界に復帰されるかもしれないがそれは確定した未来ではない。
そういう可能性が無きにしも非ずという話である。
メディアでは「何故?」という論調が目立ったように感じたのだが筆者が効き及ぶ範囲では、かつては好調だったが、今春夏の売れ行きは芳しくなかったと聞いている。
かつて6店舗あったが、すでに3店舗は撤退しており、8月30日で名古屋近鉄パッセ店も閉鎖となる。
実店舗は2店舗、それとネット通販のZOZOTOWNへの出店のみとなる。
売れ行きが堅調なら6店舗中の4店舗を閉鎖する必要はなかっただろう。
WCブランドは、ウィゴーの傘下である。
そして、一時期やや苦戦傾向だったウィゴーがWCとは反比例する形で今春夏は商況を盛り返している。
有名コンサルタントの小島健輔さんもブログで言及するほどの盛況ぶりである。
ウィゴーとスピンズに注目
http://www.apalog.com/kojima/archive/1202
本体の業績が盛り返せば、不調となった上に会社の経営方針にそぐわない枝葉ブランドは縮小ないし廃止となるのは、経営的には当然の流れだろう。
また、昨年秋の東京コレクションにデビューしたが、経営側は費用対効果を考えると昨年秋のみでコレクション出展をやめたがったが、若槻さん本人は続けての出展を望んでおり、その部分でも方針が異なったとも耳にしている。
東京コレクションでショーを開くためには最低でも1000万円は必要になる。
だから、ブランドの年間売上高が3000万円程度しかない若手デザイナーブランドは毎回どこから資金を工面して東京コレクションでショーを行っているのかと不思議でならない。
WCの昨年秋の東京コレクションには1000万円を遥かに越える費用がかかったと耳にしている。
若槻さんは今年1月からデザイナーではなく、ブランドアドバイザーに地位が変わっており、それに伴って有名カジュアルブランドからデザイナーを招聘したが、この新デザイナーもすでに退任している。
今後しばらく、このブランドが再成長することは難しいのではないだろうか。
ちなみにWCという商標はウィゴー側に残り、クマタンのキャラクターの版権は若槻さんが所有することになるといわれている。
自分の名前をブランド名として使えなくなるというのは何だか奇妙な感じだが、ブランドビジネスでは決して珍しいことではない。
かつて「ジル・サンダー」も企業買収されたことによって、ジル・サンダー氏のいないブランド展開が長らく続いた。
だからこそユニクロもジル・サンダー氏との契約ラインの商標を「+J」としたわけである。
以上のような状況を考慮すると、今回の事態となったことは何の不思議もない。