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南充浩 オフィシャルブログ

クラファンは「売れる販路」でも「売れる手段」でもない

2020年10月12日 トレンド 0

DCブームが終わり、バブルが崩壊してアパレル不況になったと言われるが、振り返ると、それでも90年代はほぼ毎年のように、少なくとも2年に1度くらいの割合ではファッションの大ブームが起きていた。

今から思うとファッション産業がまだまだ潤っていた時代だといえる。

2009年のリーマンショック以降は、そういう大ブームというのはあまり見当たらなくなった。

そのため、市場は冷え込み、今春のコロナ休業が一層の追い打ちをかけたといえる。

 

ファッション製品の売り方も昔のように「これがトレンドです」と言ってもあまり響かないし、特定の人気タレントをキャラクターに起用しても効果は限定的である。

それこそ昔のキムタクのように、変な水色のリュックでさえ、キムタクがドラマで使用すれば完売するというような神通力は今のタレントにはない。

 

そうした業界は、今、藁をもすがる思いで、いくつかの事柄に注目している。その中の一つにクラウドファンディングがある。

通称クラファンである。

以前にも書いたように、苦戦する業界は、クラファンが「売れる手段」「売れる販路」の一つだと思っている節がある。

それはクラファン成功の報道によるものだろうと思う。

例えば、オールユアーズが1000万円を集めたこと、豊島がマスクで1億円を集めたこと、などの報道を見聞した人たちは「クラファンなら売れる」と浅はかにも思い込んでいるのだろうと思う。

だが、マクアケでもキャンプファイヤーでも構わないが、ファッションや繊維のクラファンを見てもらいたい。一体どれほど多くのクラファンがあり、その大部分が失敗に終わっているのかを。

埋没してしまうようなクラファンなら確実に失敗してしまうのが今の鉄則である。

楽観視したい人がいるなら、どうぞご勝手にだ。当方の懐は全く痛まない。

 

繊研新聞にもこんなコラムが掲載され、警鐘を鳴らしている。

《視点》CFの陳腐化

https://senken.co.jp/posts/view-201008

 

「最近のクラウドファンディング(CF)サイトは商売気が出てきている」とある経営者が教えてくれた。

 

という書き出しで始まるが、クラファンに商売っ気があるのは今に始まったことではない。(笑)

どうでもいいことだが、CFという略し方は文字数の関係もあるのだろうが、クラファンとは読み取りにくい。サッカーファンならセンターフォワードと読むだろうし、マサ佐藤氏はキャッシュフローと読んでしまう。映像関係者ならコマーシャルフィルムと読むだろう。

最近のクラファンのクラファンらしからぬ特徴は以下のようにまとめられている。

 

オール・オア・ナッシング型よりも手数料が確実にCFサイトに入るオールイン型を勧めてきたり、目標金額を低く設定し、すぐにサクセスできるようにして購入をあおったり。リリース直後は知人、友人に「サクラ」として支援や応募購入してもらい「火種」を作ることを助言するケースも聞いた。

 

成功すれば資金が獲得できるが、到達しなければ資金は手に入らないというものがもともとは多かったが、今は成功しなくても集まった金額を獲得できるというスタイルが増えた。

これはまだ、賛同できる部分もある。

もっと露骨なのが、目標金額を異様に低く設定するやり口である。

もちろん、異様に高く設定するのは愚の骨頂で、身の程を知らないといえる。例えば、某OEMメーカーがマスクをクラファンしたところ、92万円くらい集まったが目標未達に終わった。

理由は目標設定が異様に高く、確か400万円くらいを設定していたと記憶しているが、たかだか4000円のマスクで一体何枚売るつもりだったのだろうと思ってしまうが、4000枚のマスクを1000枚くらい売れば到達できるということから考えると、恐らくは、1000枚がマスクのミニマムロットで、そのミニマムロットを消化するための金額設定だったのではないかと推測できる。

しかし、92万円も集まったというのは立派な実績だと思う。

これとは対照的なのがフリークスストアのクラファンで、目標金額はなんとたったの15万円だった。たしか1万円くらいの商品だからたったの15人に買ってもらえれば到達できてしまう。

社員の友人や知り合いに頼めば楽々到達できる。

名も知れぬ企業や工場がこの金額設定なら、まだわからないではないが、フリークスストほどそこそこの知名度があるブランドにしては目標金額が低すぎると言わねばならない。せめて目標金額は50万円くらいにすべきだっただろう。

サクラを仕込むのはクラファンに限らず昔からアパレル業界外でも頻繁に使われてきた手段なので、言及する必要はないだろう。

 

せっかく日本に根付いてきたCFである。ここで陳腐化させてしまうのはもったいない。

 

という文章で結ばれているが、これはどうだろうか。もうとっくに陳腐化してしまっていると思うのだが。(笑)

以前にも書いたように、業界団体や業界の組合が「売るためのクラファンセミナー」みたいなのを開催するようになっているので、もう陳腐化してしまっているといえる。

しかも彼らはクラファンを「売れる販路」だと見ているわけで、それを聞きに来る人達も「売りたいからクラファン」に興味があるわけである。

だが、クラファンは決して売れる手段、売れる販路ではない。その参加者数の多さと成功率の低さを鑑みれば、通常の市場と同様のレッドオーシャンなのである。

そこが読み取れないような人たちが「容易く売れるという期待感だけ」でクラファンをやったところで、カネの無駄遣いに終わるだろう。

 

 

クラウドファンディングに関するビジネス書のタイトルが御花畑チックで胡散臭いと思うのは当方だけだろうか?

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