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南充浩 オフィシャルブログ

日本でD2Cブランドが渇望されない理由 ~高品質の割安品が国内に溢れているから~

2020年10月13日 トレンド 1

少し前にこのブログで告知したZOOMでの無料トークを10月10日に無事終了した。

事前のお申込みは100人くらいからいただき、当日実際にアクセスしていただいたのは60人強だった。残りの30数人どこ行った?(笑)

というのは冗談で、急な用事が入った方もおられるだろうし、どうしても都合が合わなくなった方もおられるだろう。

ほとんどODM丸投げ状態で、もーりーさんとよしきさんに組み立ててもらった次第である。(笑)

20人くらいにあらかじめいただいた質問についてもいくつかピックアップして自分なりの返答をさせてもらった。

その中の一つに「D2Cブランドは今後日本でも主流になりますか?」という内容があって、これにももちろんお答えさせていただいたのだが、今回はこれについてまとめてみる。

 

いくつか、その手の本も読んでみたし、報道なんかも一応はほとんど目を通しているが、個人的にはこのD2Cがいまだによく分からない。

1、直販型である

2、小規模である

3、ネット通販主体である

というこの3つの特徴を兼ね備えている必要があるのではないかと思う。

 

しかし、実際に現在の日本市場で流通しているD2Cと名乗るブランド群を見ると、共通しているのは「ネット通販主体」という点しかない。

大きく崩れ出しているのは、1の直販型であることという点である。

きちんとした製造関係者から再三疑問が呈されているが、韓国の東大門市場や中国の広州市場から買い付けてきた物をそのまま売っているという自称D2Cブランドが最早珍しくない。

どこが直販型なのだろうか。ブランド自体が仕入れ業者だし、中間業者である。まったくもって笑わせてくれる。

 

国内のアパレル市場を見ると、一握りの大手勝ち組と、大多数の小規模業者の二極化が今後さらに進むのではないかと思う。

ただし、世の中には永遠不変は存在しないから、今の大手勝ち組も10年後・20年後には落ちぶれてしまっているかもしれない。

小規模業者がさらに増えるという意味合いにおいては、D2Cが主流になるという言い方もできるのではないかと思う。

 

しかし、個人的にはアメリカでエバーレーンや眼鏡のワービーパーカーが盛り上がっていると伝えられるほどには、国内でD2Cと呼ばれるブランドは大きな市場にはならないのではないかと思っている。

自分も含めた日本人にはD2Cブランドのメリットが極めてわかりにくい。

D2C関係の本を読むと決まってこう説明されている。

 

直販型にすることで割安で高品質の商品を提供できる

 

と。

 

では、当方も含めた日本人が今、割安で高品質の商品が手に入らなくてすごく困っているか?というと答えは圧倒的にNOだろう。少なくとも当方はこの点に関してはまったく困っていない。

 

衣料品でいえば、ユニクロ、ジーユー、無印良品、ハニーズ、ワークマンなどが犇めいている。

眼鏡でいえば、ジンズ、ゾフ、オンデーズがどんどんと新規店舗を増やしている。

雑貨でいえば、ダイソー、セリア、キャンドゥなどの100均がどこにでもある。

 

ネットでときどき流れてくるが、日本の100均とアメリカの100均では店の出来栄え、商品の品質どれを取ってもまったく雲泥の差、月とすっぽんである。もちろん日本の100均が圧勝である。

眼鏡でいえば、ジンズ、ゾフ、オンデーズに行けば標準の近視・乱視レンズで良ければ無料で、フレーム込み5900円くらいからある。

となると、「高品質で割安の商品」はすでに市場にどの分野も溢れているといえる。

わざわざ、ネットの新興ブランドを買う必要性がほとんど日本人には感じられない。衣料品も同様である。

ユニクロ、ジーユーはいうに及ばず、ワークマンを初めとするワーキングユニフォームも同様だ。最近、欧米のワーキングブランドのライセンス生産を国内で展開するケースが増えている。

それらを見ていると商品に関しては「まあ、こんな物か」という感想なのだが、現地の本物の商品を見せてもらうとけっこう酷い場合がある。

現地から輸入したのではあまりに品質が低くすぎて日本では売れないだろうと思う。それでいて、価格はそれなりに安いが激安ではない。

ジーユーやワークマンの定価程度である。だったら、同じ価格の作業着ならワークマンや、たまゆらで誰だって買うだろう。

割安で高品質商品が日常的に溢れているから、当方も含めた日本人にはD2Cブランドというのがあまり呑み込めないし、実際的に必要性に乏しいのだろうと思う。

D2Cブランドの欧米での注目ぶりを見ると、当方は逆に、欧米の商品の二極化を痛切に感じる。

要するに、欧米にも高品質品はあるが、それらは概して割高、高額品だということが言えるだろう。一方、もちろん低価格品もあるが、それらはほぼ粗悪品だということが言えるだろう。

だから、「高品質で割安」なD2Cへの注目度が高いということになる。ZARAやH&M、GAPなどの低価格SPAが欧米で生まれ、欧米を中心に巨大化したというのは、まともな低価格衣料という物がそれまで欧米にはなかったからではないかと思う。日本人の目からすると、ZARAもH&MもGAPもファッション性・デザイン性はともかくとして、品質はそれほど高いとは感じられないが、欧米のこれまでの低価格品というのはもっと粗悪だったということだろう。

いろいろと障壁はあるだろうが、割安で高品質の日本ブランド商品は海外でもっと戦えるのではないかと思うのだが。

 

 

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 comment
  • kimgonw より: 2020/10/13(火) 10:57 AM

    今度はD2C ですか!
    現実を直視できない業界ですね というか 新しいものが好きというべきですかね
    おっしゃるとおり D2Cでないと困る人は少数であり ビジネスにならないですよ
    アパレル業界って 仮説もの立て方が緩いし 検証も希望が多く含まれているように思います
    だって 素敵な服誰だって着たいじゃないですか!
    いい商品なのに 買ってくれないのは 見る目がないお客が悪い
    とかね(笑)
    ずいぶん昔にSPAがもてはやされ 業界も学校の右に習えだったように記憶しますが
    今度はD2Cがもてはやされるのかな?
    アパレル界今日も反省の色なし ですね(古)

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