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南充浩 オフィシャルブログ

子供服の市場規模が大きくなりにくい理由

2020年9月30日 企業研究 0

前回、久し振りに子供服業界について書いたが、実はそれまですっかりと子供服のことを忘れていた。

 

デイリーユースの子供服が低価格化するのは当然

 

 

 

正確に言うと、覚えてはいたが、興味もかかわりもないのでほとんどスルーしていたというところである。

子供服業界の価格下落は、可処分所得の減少とか、子供の人口が減っているとか、そういう理由はあるが、やっぱり根本的には「2年間しか使えず、しょっちゅう汚すような服に高い金は払いたくない」というものだろうと思う。

 

自分も含めた多くの人にとって、子供服はあまり強い興味の対象にはならない。なぜなら「利用しよう」という気にはならないからだ。だから、今度どれほどの空前の好景気が訪れたとしても市場規模はあまり拡大しないだろうと思う。

特に独身で未婚の若い人にとっては、ほとんど気にしたこともないだろうと思う。かつての自分がそうだった。未婚の独身の若者が興味を持つとするなら、小さい弟や妹がいるか、甥か姪が生まれたか、のどちらかの場合だけだろう。

自分も学生時代に子供服に興味を持ったことは皆無だった。縁のない物にわざわざ興味を持つ人はあまりいない。

 

自分も含めて多くの人は、自分に子供ができて初めて子供服に接点を持つ。平均的に子供を持つ年齢というと例外を除けばだいたいが、20代後半以降になる。

多くの人が子供服を「自分事」としてとらえるようになるのはそれがきっかけだろう。

 

で、話を前回のブログに戻すと、元子供服業界の方と酒を飲みながら雑談をしていたがのだが、その際、「西松屋・しまむら・ユニクロが子供服でも猛威を振るっている」という内容以外に、もう一つ、「子供服業界は年配の人が多く、広く世間に知られるような新興ブランドがあまり勃興しない」という話になった。

 

小規模・零細で息長く活動し続けている子供服メーカーは今でもけっこうある。この20何年間の間に倒産したり廃業したりしたメーカーもあったが、細く長く続いているメーカーも多い。体感的にはメンズやレディース分野よりも多いのではないかと感じる。

自分がまだ20代後半の駆け出し業界紙記者だったころ、子供服も担当していた。その頃に知り合った小規模・零細の子供服メーカーの経営者たちは当然自分よりも年上で、当時すでに40歳オーバーだった。

この20何年間の間に不幸にして亡くなられた方もいたし、倒産や廃業された方もいたが、それでもあの当時の人たちは何人も細く長く活動を続けている。

当方が50歳になったのだから、あの当時の人たちは若くても60歳。下手をすると70歳オーバーである。

メンズやレディース分野ならほぼ引退されているだろう。

ところが子供服業界では現役が珍しくない。

これはなぜだろう?という話になった。

 

その理由の一つとしては、若い人が新規参入をあまりしないからではないか、ということが考えられる。

もちろん、ゼロではないが、メンズやレディースに比べると極端にその比率は低いのではないだろうか。10代後半とか20代前半で「子供服業界」を第1志望に選ぶ人はあまりいないとこれまでの経験上感じる。

どうしてかというと、先に述べた通りで、独身未婚で子供のいない若い人は子供服に興味を持ち辛いからである。

自分と関係のない物に人はあまり興味や関心を抱かない。学生時代に職種は別として衣料品業界を志す人のほとんどは、メンズかレディースに向かう。これは極めて当然だ。

自分が着られる服、友達や恋人に着てもらえる服、憧れのタレントが着ている服、そんなものが彼らの原動力の一つになっているためだ。

子供服に興味を持つのは、甥や姪が生まれたり、自分の子供が生まれたりしてからがほとんどだろう。

 

必然的に子供服業界に参入するのは、早くても20代半ば以上ということになる。

そして、これが、子供服業界においては、世間的に広く知られるような新興ブランドが生まれにくい理由の一つだろうとも考えられる。

そもそも多くの人は子供服に興味を持っていない上に、メンズやレディースと違って、バリバリの若手が起業するということもほとんどない。

起業するとしても30代・40代がほとんどということになる。

 

そして、これは自分も含めた中高年層は、子育てが終わったとたんに子供服への関心を失う。

当方なんてまさにそれである。自分の子供が小学校を卒業してしまうと、子供服を買うことももうなくなる。そうなると子供服業界で仕事をしていなければ、まったく縁のない生活に戻ってしまう。縁のない物に興味を持ちづづける人はかなり珍しい。

子育てが終わった中高年層が次に子供服に興味を持つとするなら、孫が生まれたときだろう。

孫は一人とは限らないから、何人か生まれたとして、それでも子供服が必要な期間は10年間くらいだろう。それ以降は孫も子供服を着なくなってしまう。

だからこそ、子供服の市場規模というのは、今までからもそれほど大きくなかったし、今後も拡大することはあり得ないだろうと考えられる。

 

そんなわけで、昔お世話になった子供服業界の年上の方々と、たま~にお会いすると、何となく懐かしい気持ちになる。

今回はとりとめのない雑感ということで。

 

そんなわけでミキハウスの出産祝いをどうぞ~

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