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南充浩 オフィシャルブログ

ワークマンへの過剰賛美はミスリードを引き起こす可能性があると思う

2020年8月18日 メディア 1

近年では数少ない衣料品の成長企業の一つであるワークマン。

当然ながらメディアへの登場回数も多い。しかし、このところワークマンへの過剰な賛美が増えすぎていると感じる。

実態を越えての過剰な賛美は、それを読んだ読者や他の企業の経営陣をミスリードしてしまうことになり、百害あって一利なしだとワークマンに限らず、常々考えている。

 

例えば、この記事である。

店舗数でユニクロ超えも山手線内に店はゼロ。「競争せずに勝つ」ワークマンの凄みに迫る

https://ddnavi.com/review/655759/a/

 

ハッキリ言って「店舗数でユニクロ越え」の何がすごいのかさっぱりわからない。そんなことがすごいのだったら、ファッションセンターしまむらはワークマン以上にすごいということになる。

しまむらの店舗数はユニクロよりもワークマンよりも圧倒的に多い。

ワークマンは2020年3月期決算では、店舗数868店舗になったと発表している。

一方、ユニクロの国内店舗は2020年7月末で直営店766店舗、FC店46店舗となっており、合計は812店である。

 

しかし、店舗数の多さは何の凄さにもならない。

資本力があれば、実店舗の出店はいくらでもできる。特に採算度外視すれば、いくらでも店舗数は増やせるし、それによる増収も可能である。

ただし、儲からないと事業は継続できない。

 

ワークマンの2020年3月期の売上高は923億円である。一方のユニクロの2019年8月期のユニクロの国内売上高は8729億円である。

ワークマンの売上高はユニクロの国内売上高の9分の1程度しかない。

店舗数が100店舗近く多くて売上高が9分の1程度しかないということは1店舗あたりの売上高が小さいということである。

1店舗あたりだと平均の年間売上高は1億円強ということになる。

ユニクロは、平均年間売上高は1店舗あたり10億円強ということになる。

 

ユニクロの方が、ワークマンよりも1店舗当たりの売上高は10倍高い。ということは、ユニクロの店舗は非常に高効率で売れているということになるし、ワークマンの各店舗は非常に効率の悪い売り方をしているということになる。

おわかりだろうか。

ちなみにファッションセンターしまむらは、しまむら業態だけで1400店舗以上ある。

店舗数の多さがすごさなら、しまむらが一番すごいということになる。

 

あと、話は逸れるが、この「競争せずに勝てる云々」というのも眉唾である。この手の表現は個人的には嫌いである。

例えば、AppleがスマートフォンであるiPhoneを初めて発売した時、それはたしかに「競争せずに勝つ」だっただろう。タッチパネル式のスマホというのはその時点では広まっていなかったから。

かなり昔、ソニーのWalkmanが発売されたときも恐らく同様だっただろうと思う。録音機能のない再生専用の持ち運び式のテープレコーダーなんていうのはその時点では市場になかったからだ。

 

「競争せずに勝つ」というのはこれくらいの全く新しい商材やサービスの時のみに通用するのではないかと思う。

 

ワークマンは作業服ショップとして競争して生き残ってきたわけだし、低価格機能服というジャンルで競争して勝ち抜いてきつつあるわけだから何を言っているのかと思う。

ZOZOTOWN創業者も「競争せずに勝つ」なんていうインタビュー記事があったが、衣料品のネット通販というのはZOZOTOWNよりも以前からマガシークなどが存在したわけで、ZOZOTOWNが創始したわけではない。その先行業者との「競争」に勝ち抜いてきて大企業になったのだから、一体何を言っているのかと思う。

 

そして、コンサルタントやメディアがほとんど触れないのが、ワークマンのフランチャイズ店の異様な多さである。

国内のユニクロは先ほど紹介したように46店舗のフランチャイズ店がある。フランチャイズ比率は5・6%程度である。

フランチャイズ店というのは、昔から大手アパレルにある手法で、本社や支社の無い地域に、そこの有力専門店と契約してフランチャイズ化するという手法である。昔、ワールドのいくつかのブランドのフランチャイズを北海道で運営している専門店チェーンの人に会ったことがある。

 

しかし、ワークマンのフランチャイズ比率は実に96%を越えている。

2020年3月期決算によると、フランチャイズ店は834店、直営店は34店舗で合計868店舗だと記されている。フランチャイズ比率は96・08%である。

コンビニや携帯ショップはこのフランチャイズ手法がよく使われているが、逆に社会問題化している。

フランチャイズにすると、各店舗の経営権はフランチャイズオーナーになるので、そこで雇用する社員やアルバイターの人件費などはすべてフランチャイズ店持ちとなる。そのため、本社は人件費などを節約できる。また商品在庫も基本的・原則的にはフランチャイズ店が持つことになるため、本社は納品してしまえば在庫をかなり削減できる。

もちろん、納品した物の死筋商品も発生して、フランチャイズ店で滞留在庫になることもあるだろうから、それに対する何らかの支援はあるのだろうが、基本的・原則的には、フランチャイズに納品すれば本社の手からは離れるため、在庫リスクも軽減される。本社にとっては。

 

このフランチャイズ形式と直営店主体の形式を同じ土俵で計ることはあまり意味がないのではないかと思う。

ワークマンの好調は確かに光るが、この96%を越えるフランチャイズ体制についての深堀がないワークマン賛美は、却って消費者と業界をミスリードしてしまう可能性が高くて危険を感じる。

 

 

そんなワークマン本をどうぞ~

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 comment
  • 常連 より: 2020/08/18(火) 10:51 PM

    ワークマン賞賛記事が多いのは確かですが、今の日本で期待できるアパレル企業が他に少ないということです

    国内アパレル時価総額1位は当然ファストリですが、2位はワークマン
    これからも伸びる企業だと投資家たちが判断しているのは間違いありません
    (ちなみに3位はしまむら、4位はワコール、5位はアダストリア)

    売上はワークマンよりも大きい某百貨店アパレルや某紳士服チェーンの時価総額が低いのは、それだけ誰もそれらの将来に期待していないということになります

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