心斎橋筋商店街は今後ドラッグストア街ではなくなるだろう
2020年5月11日 売り場探訪 0
今回は、当たるも八卦当たらぬも八卦みたいな内容になるので、どうでもよいと言われればどうでもよい内容である。
5月7日から営業再開する店が増えた。
個人的にはそれは理解できることだし、止まっていても仕方がないので徐々に動かすべきだと思っている。
都心の大型商業施設や大型百貨店はまだ休業したままだが、都心でも路面店はぼちぼちと営業を再開している。
心斎橋筋商店街でいうと、ユニクロとジーユーは5月7日から営業を再開した。
5月8日に心斎橋筋商店街を覗いてみた。
この2店は入り口で、店員が入店客全員の体温を測り、37度5分以上の熱のある人は入店できないというチェックを行っていた。
平日昼間なのでこのチェックもやりやすいのだろうが、ちょっとでも来店客数が増えるとかなり時間が取られるのではないかと思う。
一部店舗で営業が再開されたものの、逆に閉店している店舗数は増えている印象だった。
理由は、ドラッグストアの何割かがインバウンド客の激減によって5月1日から「当分の間」休業しているためである。
ちょうど5月7日から徐々に営業再開が始まるのとは逆に、心斎橋筋商店街に過剰出店されていたドラッグストアの何割かが5月から休業に入ってしまった。
この逆転現象にはちょっと興味をひかれた。
また心斎橋筋商店街のラインナップが今後大きく変化するのではないかと思う。
2000年頃の心斎橋筋商店街は厳しい状態だった。ちょうどそのころに商店街組合に取材することがあった。
2000年にそごうが経営破綻し、心斎橋店を閉店したことに加えて、90年代後半から近隣の南船場、その後、堀江地区がファッションスポットとして注目されたため、2000年頃の商店街は店舗誘致に苦労をしていた。
当時の取材では「ゲームセンターの出店が増えそうなのだが、あまり増えすぎないようにしたい」と商店街側が語っていたことを記憶している。
南船場、少し遅れて堀江地区には、あちこちにファッションブランドの路面店がオープンしており、「広いエリアを回遊することがオシャレ」という雰囲気が消費者にはあったように感じる。
しかし、その後、そういうムードは徐々にしぼみ、2000年代後半には心斎橋筋商店街に出店するファッションブランドや専門店が増えた。
2010年以降は、外資ファストファッションブームも手伝って、ZARAやH&Mなどの外資ファストファッションの大型店の出店や国内低価格ブランド、一部の有名セレクトショップの出店が続き、すっかりファッション街として復活?したような印象を強くした。
南船場や堀江は広いエリアに店が点在するという形だったが、商店街は一直線上に店が集積している。消費者の回遊はどちらが効率的で利便性が高いかというと、商店街である。2000年代後半からは、明らかにその利便性・高効率性が消費者に好まれたため、心斎橋筋商店街回帰につながったのではないかと感じる。
2010年頃からは外国人観光客が増え、心斎橋筋商店街はさらに賑わった。
ピーク時だと、日本人より外国人の方が確実に多かったのではないかと思う。
その外国人観光客、とくに中国人・韓国人に狙いを定めて、服屋が減り徐々にドラッグストアが増え始め、気が付くと今度はドラッグストア街へと変貌していた。
これがコロナショック直前までの心斎橋筋商店街だった。
インバウンドによる化粧品・コスメ・サプリの爆買いはいつか終わるといわれながら、コロナショックが起きるまで続いていた。
それがコロナショックで唐突に終わった。
新型コロナの感染拡大が一段落すればまたインバウンドで賑わうのではないかと思う人もいるだろうが、インバウンドは当分は戻らないと思われる。
一足早く収束したといわれる中国、韓国でも5月に入って第二派の感染拡大の兆候がある。
新型コロナ 中国吉林省 一部を高リスク地区に指定して警戒
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200511/k10012424511000.html
韓国 ナイトクラブの集団感染 家族など54人感染確認
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200510/k10012424141000.html
このため、ワクチンや特効薬が完成するまで、海外旅行・海外出張はどこの国も大幅に制限が続くと考えられる。もちろん我が国も。
それまでインバウンドは元の水準には戻らないだろうし、ワクチンや特効薬が完成した後も戻るかどうかは不透明である。
そうなると、インバウンド客を目当てに過剰に増えすぎたドラッグストアの何割かはこのまま撤退せざるを得ないから、心斎橋筋商店街に空き店舗が増える。
家賃が今後引き下げられるのかどうかはわからないが、引き下げられない場合は空き店舗を埋めることはできなくなるのではないだろうか。
同じドラッグストアと言っても、郊外やインバウンドとは関係のない地域だと店舗数はそこまで増えていないし、コロナショックによってマスクや消毒液、衛生用品などの需要の高まりで逆に賑わっている。心斎橋筋商店街のドラッグストアが閉店しているのは、明らかに過剰出店による店舗数過多と、インバウンド需要で成り立っていたためである。
今後、ドラッグストアの何割かが閉店し心斎橋筋商店街から撤退に追い込まれることになるだろうが、その後、今度はどのような店がその跡地を埋めるのだろうか。服屋も幾分かは増えるのではないかと思うが、すべてを埋めるほどではないと思う。不動産業界に精通していない当方にはちょっとそれらしき答えは見いだせない。ただ、確実に言えることは心斎橋筋商店街はドラッグストア街ではなくなるだろうということであり、心斎橋筋商店街はまた変貌するだろうということだけである。