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南充浩 オフィシャルブログ

stayhomeで玩具・娯楽品の需要が伸びた

2020年5月8日 ネット通販 0

新型コロナによる商業施設休業によって、ネット通販が改めて脚光を浴びたのだが、アパレル業界は全般的には期待したほどの恩恵を被っていないといえる。

前回、そのことについて言及した。

アパレルのネット通販が期待されたほどには伸びていない理由

もちろん、伸びている企業やブランドもあるが、「全般的に」見れば業界としては期待されたほどの効果は出ていない。

 

例えばユナイテッドアローズやアダストリアのECは伸びている。

ユニクロ、UA、アダストリア4月度は売上高60~70%近く減 ニトリはリモートワーク特需で4%減に抑え込み

(ユナイテッドアローズは)自社EC売上高は同92.8%増となったが、4月下旬から最大70%引きのセールを開始した効果が大きく、利益率は厳しい。他社ECモールなども含めたEC売り上げ全体は同25.0%増。

(アダストリアは)「EC販売は同20%増」(広報担当者)

 

とある。

しかし、実店舗休業の落ち込みを完全には補えていないのが実情である。

 

で、3月の下旬くらいからAmazonの「欲しいものリスト」で毎日価格をチェックしていたら、あることに気が付いた。

当方の「欲しいものリスト」の半分くらいはガンダムのプラモデルで、あとはスニーカー、それから独立10周年で記念のために買おうと思っていた腕時計しかない。

 

 

当方のガンプラライフに興味のない方もおられるだろうが、もう少し続ける。

Amazonの「欲しいものリスト」に放り込んだガンプラの値段を毎日チェックして、破格に安くなった物を毎月1個か2個買うという生活をこの5年間くらい続けてきた。

どうして1個か2個なのかというと、歯止めが利かなくならないように自分で個数制限を設けたのと、収入に限りがあるため、という2つの理由がある。

買うのも数百円から2000円台くらいまでの定価のHG(ハイグレード)と、1000円台後半~3000円台前半に値下がりしたMG(マスターグレード)に限定した。これくらいなら収入を圧迫することもない。

だいたいが25%~35%オフくらい、中には半額近くまで下がった瞬間に買った物もある。

しかし、そのガンプラが3月下旬くらいから値下がり幅が小さくなったうえに、ちょくちょく品切れするようになった。

4月に入ってからその傾向は顕著であるため、4月にAmazonで買ったガンプラはない。

なぜなら、値下がりしなくなったからだ。そのため、3月下旬からは地元のジョーシンで20%オフからさらにレジにて5%オフ(誕生日クーポン)を使って買っている。これだとだいたい定価の24%オフになるため、Amazonで買うよりも安く買える場合が多い。

で、このときに感じたのが「休業や自粛、自宅勤務が増えてガンプラ需要が伸びているのではないか」ということだった。

価格が下がらないというのは需要が供給を上回っているからである。

 

で、先日この感想を裏付けるかのようなデータが記事化された。お読みになった方も多いと思うがまだの方には一読をお勧めしたい。

 

コロナ影響下で高年齢層が実店舗からECにシフト/巣ごもり消費により娯楽品が伸長【三井住友カード調査】

https://markezine.jp/article/detail/33341

 

今年3月までの調査なのだが、

 

高年齢層(60~70代)の行動がどのように変わったのかを検証した。「ECモール・通販」のシェアにおいて、日常的にECモール・通販を利用しているとされる20~30代よりも、高年齢層における増加幅が大きいことがわかった

 

とある。3月だと60代と70代の50%以上がECモール・通販を利用していることになり、これまで「年寄りはネットを使えないから」という主張は崩れ、年寄りといえども必要に迫られればネットを使うようになるということがわかる。

要は慣れである。無理やりにでも慣れさせれば良い。おまけに新しいことを覚えるのは老化防止にもなる。

 

例えば、重たい飲料の箱詰めなんかは、買う銘柄が決まっていれば今後は年寄りこそネット通販で買うようになるだろう。ビールの24缶セットとか、2リットルペットボトル詰め合わせとか、そんな重たい物は自分で買いに行くよりもネット通販で買って自宅まで運んでもらった方が楽であるということを体験したのではないかと思う。

 

実店舗が休業や営業短縮しているからネットでしか買えないため、ネット通販の利用率が年寄りだけでなく各年代で高まるのは当然だといえる。

しかし、この調査データで見ても、ネット通販の利用でアパレルはあまり恩恵を被っていないことがわかる。

 

4月7日の緊急事態宣言以降、4月8日週の週別業種別傾向では、さらなる在宅勤務増にともなうテレワーク関連消費と呼べる「通信サービス」や「家電量販店」、「ECモール・通販」の伸長だけでなく、「玩具・娯楽品」の伸びが著しく、買い物の質も変化していることがわかる。

世代別の決済金額伸長業種ランキングでも、玩具・娯楽品が全体および20〜40代での伸長率1位(下図の※19)になっている。同業種にはゲーム機・ゲームのダウンロード購入・スマホゲームの課金等も含むため、これまでの必需品中心の消費行動から、外出自粛の長期化も視野に入れた、家中での余剰時間を充実して過ごす目的への消費行動変化の現れでもあると言える。

 

とある。やはり玩具・娯楽品は伸びており、Amazonでガンプラが値下がりしなくなったり、頻繁に品切れになったりするのはこの動きの一環だったといえる。

 

で、ちょっと細かくて見えにくいのだが図6に減少業種というのがあるが、3月の衣服ブランドは前年同月比で55・1%減となっている。

これはECだけでなく実店舗決済も含めた数字であるから、衣服ブランドに関しては実店舗の落ち込みはネット通販でもまったくカバーできていなかったということがわかる。4月のデータはないが、4月はさらに落ち込むのではないかと考えられる。

 

仕事でも娯楽でも構わないのだが、出かけなくなって自宅で活動するとなると、いわゆる「部屋着」「寝間着」的な服やそれと兼用できるような服を着用することが増える。

カチっとしたコートやジャケット、プレスされてクリースのついたスラックスなんてまず着用しない。着用している人は少数派の変態的マニアだけだろう。

となると、その類の衣類をわざわざ買う人はいない。なんなら今着用している部屋着で十分だと考える人も多く、新しい「部屋着」をわざわざ買おうという人も少ないだろうし、部屋着にわざわざ高額品を買おうと思う人も少ないだろう。当方なんてどこぞの安物屋で売られているノーブランドの上下890円のスエットセットで十分である。

 

5月の連休明けから徐々に店舗も営業再開し始めたし、今後は各地の非常事態宣言も徐々に緩和され始めるため、衣服需要も通常に戻り始めると思うが、いわゆる「ファッション衣料」的な商品の需要も含めて、衣服のネット通販需要も容易くは伸びないだろう。

またネット通販が好調なブランドの多くもネット通販の元々の売上高がそれほどは大きくないため、全社売上高をカバーできるほどではないというのは今後も変わらないだろうと考えられる。

今回の休業によって、年配層のネット通販利用は進んだが、彼らの需要はファッション衣料ではなく、消耗品や食品、日用雑貨品などそういう用途に今後も向かい続けるのではないかと思う。

 

 

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