MENU

南充浩 オフィシャルブログ

ユニクロ商品の製造年と投入シーズンを見分ける方法

2020年3月2日 お買い得品 0

ユニクロかジーユーで販売員のアルバイトをしたことがある人ならほとんど誰でもが知っているが、一般的にはあまり知られていないと感じることがある。

それは、ユニクロにもジーユーにも共通で各商品には「年番号」と「季節番号」が決められているということである。

今回は、販売員としてアルバイトしていたという学生に教えてもらい、今のファーストリテイリングの社員にも再確認した「年番号」と「季節番号」の見分け方について書いてみる。

まあ、「そんなもん知っとるわ」という人がいたら、時間の無駄なので読む必要はない。

 

手持ちのユニクロの値札で見てみる。

この画像でいうと、サイズ「M」の上に数字の羅列がある。

341-419551-08-004-000(94-01)

と書いてある。

 

 

 

一番わかりやすいのは( )の中の数字である。

01は工場番号らしいので、外野が類推することは難しい。同じ中国製でも番号が異なるので、本当に工場ごとの番号のようだ。同じ中国でA工場なら01、B工場なら02という具合になっているらしい。

問題はこの「94」である。

9は2019年、4は冬を表している。

以前、某アパレルの在庫処分の話に同行したことがあったが、そのアパレルは帳簿上だと12年前の在庫が残っていることになっているらしい。こういう在庫の残し方をしていると、西暦の最末尾の数字だけで管理はできないが、ユニクロとジーユーではそういうことはないので西暦の最末尾の数字9種類だけで事足りる。

2010なら0、2011なら1、2019年なら9となり、2020年だとまた0に戻る。

で季節番号は4つ。

1が春

2が夏

3が秋

4が冬

である。

ユニクロは大きく分けて1年を4シーズンで管理しているということがわかる。あとは細かく品番や型番で管理しているのだろうが、外野からはそこまでの読み取り方は分からない。

この読み方さえわかれば、ユニクロの値下げ商品が西暦何年の何シーズンに作られた物か分かるようになる。

 

昔買った990円に値下げされたピンク色のリネンブレンドのカーディガンの値札が残っていたが、これだと「81」なので2018年の春品番だということがわかる。

 

 

ちなみにこのとき、たしかピンク色が大量に残っていて、ピンク色だけ他色よりも安く990円にまで値下げされていたことを記憶している。

 

昨年春に買ったユニクロUの白いブロードシャツの値札が残っていたが、これは「91」なので2019年春品番だということがわかる。

 

 

 

 

 

ちなみに1290円の値札シールが貼られているが、これも990円に値下がりしていて、シールが貼り忘れられていたことを記憶している。

 

という具合で製造年と季節がどの商品を見てもわかるようになっている。

昨年夏に買った感動セットアップのパンツの値札である。

これだと「92」なので2019年夏品番だということがわかる。

 

 

 

 

 

最近、アパレル業界では在庫問題が喧しい。大量廃棄がどうのこうのという話を端緒として、不良在庫削減の論法が百家争鳴の呈をなしている。

で、その中には「定番品を何年間も売り続ければ不良在庫を値下げして売らなくても良い」というものがあり、ワークマンは2~5年くらい同じ商品を売るのでそれに当たるが、ユニクロもそうだという論調がある。

しかし、状況証拠だけで考えてみてもそれは当てはまらないということがこの番号を見てもわかる。

なぜなら、何年間も同じ商品を売り続けるのであれば「年番号」と「季節番号」は要らないということになる。まったくの不要ではないだろうが、それは「とりあえず書いているだけ」ということになるし、この値札のように値下げする必要はないということになる。あまり値下げしないというのはまさにワークマンの売り方そのものである。

だが、現実的にユニクロは、この値札を見てもらえばわかるように季節の終わりには値下げ販売している。短ければ3カ月、長くても春夏・秋冬のくくりで考えても6カ月で最終的に値下げされて処分される。

お分かりだろうか?

 

ユニクロには「定番」とされる商品がいくつかある。エアリズム、ヒートテック、フリース、ウルトラライトダウン、スエット、スエットパーカーなどである。

しかし、そのどれもが短ければ3カ月、長くても6カ月後には値下げ販売して処分される。

今の時期なら例えばスエットフルジップパーカがある。毎年の定番で、春と秋の重点商品の一つである。

 

今春に入荷した物は、週末値引きを除いては定価2990円で売られている。だが、昨年秋に入荷した物は1990円かそれ以下に値下げして販売されている。

赤とか黄色とかグリーンみたいな「色物」ならわからないではないが、黒とか紺とかグレーみたいなベーシックカラーも残っていれば値引き処分されている。

それは店頭を少し丁寧に見れば誰でもわかることである。

ではどうして同じベーシックカラーのスエットフルジップパーカなのに値下げされてない物と値下げされた物の二種類があるのかというと、それは昨年秋冬に入荷した物と、今年春に入荷した物の差でしかない。

ということは、ユニクロの理想としては3カ月で売り切るであり、長くても6カ月後には売り切りたいということになる。

 

とは言っても、季節性に売れ行きが大きく左右される商材もある。

エアリズム、ヒートテック、ウルトラライトダウンなどなどである。

これらの品番もだいたいは6カ月後には値下げ処分されている。そして昨年物なんかは激しく値下げして売られている。

例えば、昨年11月ごろに老衰激しい老父に買い与えた極暖のももひきである。

定価1500円が500円に値下げされて売られていたので4枚まとめ買いした。迷彩柄だが、老衰した老父は病院以外でズボンを脱ぐこともないし、構わないだろうと考えた。

で、この極暖は「74」と書かれているので、2017年冬品番だということがわかるが、2年落ちの商品は3分の1にまで値下げされて売られているということが分かる。

 

 

 

まあ、よく2年も売れ残っていたと感心するほかないが(笑)、500円に値下げされるとすぐになくなった。

 

ということは、迷彩柄という部分は定番と言い難いが、どうせ外でズボンを脱ぐ男なんてそれほどいないことを考えると何柄であっても構わないということになるし、外でズボンを脱がないと割り切れば、これとても「定番品」と言えなくもないが、2年後には3分の1の価格に値下げされて投げ売られるということの証明といえる。

 

また「定番品だから同じ物」という考え方もユニクロも含めて無印良品でも当てはまらない部分もある。

定番品と言いつつも、毎シーズン新商品として投入されており、どこかに細かいマイナーチェンジが施されている。

例えば、スエットフルジップパーカだが、10年くらい前に買った物はフロントファスナーがダブルジップ(取っ手が上下二つある)だったが、昨年春に買った物はシングルジップ(取っ手が一つしかない)に変更されていた。

 

 

 

 

 

この変更は利便性を高めるというよりは、ダブルジップという高額な副資材ではなく、比較的安価なシングルジップに換えることで製造コストを抑えたと考えられる。また、ユニクロUのフルジップパーカがダブルジップだったので、それとの住み分けが狙いだとも考えられる。

理由はともあれ、定番と言えどマイナーチェンジが施されているということになり、同じ物をずっと売り続けているということにはならない。

ダブルジップの商品タグには「91」と書かれてあり、シングルの昨年春に買った物には「83」が書かれてあった。ということは、ダブルジップは2009年春商品、シングルは2018年秋商品ということになり、両方とも値下げされて買った。特にシングルは昨年春に値下げ品を買っているので、やはり遅くとも6カ月後には値下げ販売されるということである。

以上のことから考えても、ユニクロは定番品といえど、6カ月後には値下げしてでも売り切るということを理想としているということがわかるし、定番品もマイナーチェンジしているということがわかる。

 

不振のアパレルがユニクロのやり方を取り入れるべきだとすると、販売期間を設定してその期間内に売り切るという制度設計ではないかと思う。6カ月後に値下げすれば確実に売り切れるだろうという生産数量・品番数・型数・価格設定を厳密に精査することが求められるということになる。

 

 

 

そんなユニクロのコーディネイト本をどうぞ~ とりあえず3枚重ねるとイイらしい。知らんけど(大阪のおばちゃん風味で)

この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ