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南充浩 オフィシャルブログ

地方小型百貨店は外商と贈答ギフトに特化すればどうか?

2020年1月29日 百貨店 0

少し前に

徳島県が日本初の「百貨店ゼロ県」に 行き場失う上顧客

という記事が掲載された。

 

「ふーん、そうなんだ~」という感想である。

 

個人的な生活スタイルでいうと、この10年間は百貨店で買い物をしたことがない。あるとすると、大丸梅田店に入店しているユニクロ(1月31日閉店)や近鉄百貨店あべのハルカス本店のウイング館に入店している無印良品くらいである。

母方の実家は裕福なので、法事やら葬儀やらの際に、百貨店商品券をおさがりとしてくれるが、それを使って大丸のユニクロ、近鉄の無印良品で値下げ品を買うくらいである。

 

もちろん、そうではないという人もおられるだろうが、百貨店で頻繁に物を買うという生活スタイルは馴染みがない。特に洋服は。あるとすれば食品だろうか。食品なら贈答としても使えるし、実際に贈答として食品を買ったことはある。

 

記事には

低迷を続けたそごう徳島店は、外商などによる上顧客の売上高に占める比率が4割に達する。若い世代を中心とした一般客の百貨店離れの裏返しとして、相対的に上顧客の比率が高まった。百貨店でしか販売されていない衣食住の商品も少なくない。

上質なアパレルやバッグ、シューズ、宝飾・時計、美術などの品ぞろえではSCよりも百貨店に分があるし、中元・歳暮やギフトは百貨店の包装紙がありがたがられる。富裕層や所得に余裕のある中高年やシニアたちの百貨店支持率は依然として高い。

とあるが、前半部分はそうなのだろうが、後半部分は果たしてそうだろうか?疑問しか感じない。

たしかに当方のような貧乏人には外商のことは利用したことがないし、利用した知り合いもいないから理解できない。

バッグや靴、宝飾、美術など、とくに宝飾、美術は百貨店ならではの販売物だろう。そこの需要はたしかにある。しかしアパレルはどうだろうか。

そこまで百貨店で買いたいという人は少数派ではないかと思う。

百貨店議論の際、メディアや業界人は伊勢丹新宿店や阪急うめだ本店のような都心の大型店を想像しているのではないかと感じる。いろいろと問題はあるが、伊勢丹新宿や阪急うめだを筆頭とする都心大型店は、たしかにファッションの品ぞろえは豊富で、とくに高級ブランドはよくそろっているから、それなりの需要はあるし顧客もいるだろう。

 

しかし、この徳島や先日、破産した山形の大沼などの地方店はそうではないだろう。

関西だって近郊には小型地方店がある。

阪急千里店とか、京阪百貨店枚方店とか、近鉄百貨店生駒店とかその他もろもろ。

それらの小型店のアパレルの品ぞろえはそんなに良くない。面積が狭いし、売上高も低いから珍しいブランドなんて入っていない。どれもこれも陳腐化したブランドばかりである。

そんな店でわざわざ「アパレルを買いたい」という「上顧客」が多数存在するとは到底思えない。

 

そして今回、徳島に続いて、山形も百貨店が無くなった。大沼が破産したからだ。

 

山形県唯一の百貨店「大沼」を運営する(株)大沼が破産申請

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200127-00010000-biz_shoko-bus_all

 

地域に根ざした百貨店として地盤を形成。1993年2月期には売上高196億6219万円をあげていた。しかし、郊外型の大型店舗の台頭や人口減少、消費低迷、隣接の仙台市内の店舗との競合などから業績が悪化し、2001年2月期の売上高は143億6736万円まで低下し、赤字へ転落した。人員削減を含め経費圧縮など立て直しを進めたが、業績悪化に歯止めが掛からない状況が続いた。

 

とある。

いろいろと同情的な公式コメントを見かけるが、実際にはアパレル関連では大したブランドが入っていなかったと推察されるし、そのような声も聴く。

こと洋服に関しては、地方小型店はどれもそれほどの集客力もないし、顧客も残っていないのではないかと思う。それなら都心の大型百貨店に行くだろう。そちらの方が格段に品ぞろえが豊富だからだ。

 

それゆえに、例えば先ほどのWWDの記事にあるように、

通常、百貨店が閉店した場合、同じ地域にある別の百貨店が上顧客の受け皿になるのだが、今回は全く前例のないケースになる。中高年やシニアを中心とした上顧客が県境を越えて高松三越や高知大丸に行ったり、明石海峡大橋を渡って関西に向かったり、ECに移行したりすることも考えにくい。

その他にも百貨店が1店しかない県はいくつもある。その多くはジリジリと客離れが進みながらも「地域から百貨店の灯を消さない」という使命感で踏みとどまっている。

という論調は疑問しか感じないし、当方からは単なるポジショントークではないかと感じられる。

多分、人間は必要に迫られればいくら老人でもネット通販での購入を覚える。覚えられない人はもう生存競争に負けたとしか言いようがない。この世には環境に適応できずに滅びる生物は数多くいる。

必要が無くなった物を「灯を消さない」とがんばる必要はないし、がんばったところで回復する見込みもない。

 

個人的には地方小型百貨店に向けて「ファッションの上顧客ガー」と論陣を張ったところで意味がないし、地方小型百貨店の売上高は絶対に回復しない。

それよりも本当に外商や贈答ギフトに需要があるなら、規模をめちゃくちゃ縮小特化して外商サロンの出張所みたいな施設を作ってみてはどうか。

それこそ顧客化できていれば、それなりの売上高は稼げるだろうし、チョロっとだけ陳腐な洋服ブランドを並べる必要もない。

たしかにこんな当方でも年寄りやエライ人に贈答する際には、同じ食品でもイオンやイズミヤやローソンの包装紙よりも百貨店の包装紙を選ぶ。だったら、それに特化した外商サロンやギフトサロンにしてしまえば良いのではないかと思うがどうだろうか。

 

 

そんな「日本の百貨店史」をどうぞ~

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