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南充浩 オフィシャルブログ

秋冬の気温は高めが標準になる

2019年12月9日 トレンド 1

人間の暑い・寒いという感じ方には結構個人差がある。

若い頃から暑いのが苦手でどちらかというと寒い方がまだマシだった。そんな当方でも、昔の冬は寒くて辛かったという記憶がある。

今年の秋冬は史上でも稀に見る高気温だそうで、10月、11月についてはそのように報道されているし、当方の体感温度も同様である。

10月の半ばまで暑いのはもうお約束だが、今年は10月末も暖かかったし、11月に入ってからも寒い日がほとんどなく、20度を越える日も珍しくなかった。

12月に入ってからも高気温が続いており、一昨日の金曜日から昨日の日曜日まで久しぶりにヒヤっとすると感じたが、今日からまた高気温に戻り、大阪の最高気温は15~18度だというから台湾並みだといえる。

東京とて同様で、16~18度という気温の日が多い。

 

こうなってくると、防寒アウターは売れない。

ファッションは体感気温ではないという意見もあるが、防寒アウターはいくらステイタス性があろうが、そのブランドがブームだろうが、暑いと着用しない・できない。

8月にカナダグースを買った人は、北海道や東北、北陸を除いては着用機会がいまだにないだろう。

15~18度という高気温でダウンジャケットや中綿ジャケットなどの防寒アウターは薄手の物以外必要ない。とくに厚手の物は今のところ着る機会もない。

そうなると、業界通じて厚手の防寒アウターの売れ行きは不振なようで、ユニクロなんかは投入後間もないユニクロUとアンダーソンのダウンジャケットを含む防寒アウター類とウールのセーター類を一気に値下げしている。

他ブランドはそこまで見切っていないが、単なる我慢比べであり、年末年始に気温が下がらない場合は正月バーゲンで投げ売ることになる。

 

週間天気予報によると、12月21日ごろから大阪は最高気温が11度とか10度くらいになるようだが、10度を下回らないと「猛烈に寒い」とは言えない。

湿度や風速にもよるが、最高気温10度くらいならセーターの重ね着と薄手中綿ブルゾンくらいで凌げてしまう。厚手ダウンを着用できるのは最高気温が10度を下回ってからである。

 

 

先日、ある肌着メーカーにお邪魔をした。

そうすると、今秋は高気温で保温肌着の売れ行きが伸び悩んでいるという。当然だろうと思う。

しかし、12月に入って少し寒い日が出てきたので数量が動き出したとのことだ。

とはいえ、このメーカーが持っている情報でも「ダウンなどの防寒アウターの動きは総じて鈍い」というから、表面化していないだけで防寒アウターの苦戦は相当なものではないかと考えられる。

気温が少し下がると、保温肌着の動きが伸びるというのは、今年の12月程度の冷え込みなら防寒アウターを着用するのではなく、保温肌着をプラスして過ごす人が多いからだと考えられる。

 

薄手アウター(薄手中綿アウター)+セーター+保温肌着

 

というような組み合わせなのだろうと思う。そしてこの程度の気温ならそれで十分で、当方だと15分もその服装で歩けば少し汗ばむくらいである。

 

こうなると、秋冬の商品計画を業界全体が見直す必要があるのではないかという話になる。

 

11月小売り商況 気温高く冬物振るわず 見直すべき冬のMD

https://senken.co.jp/posts/retailbusiness-conditions-191205

 

11月のファッション小売り商況(速報値、既存店売上高ベース)は、百貨店、専門店ともに平年よりも気温が高かった影響で、冬物の動きが悪く、前年同月実績を下回る企業が多かった。

 

過去3年間の東京に限定して着目すると、平均気温は、下旬に入っても高めに推移した。最高気温は、20度を超えた日が9回と3年間で最も多く、下旬まで20度前後で推移した。

 

とある。当方が子供のころなら、11月末で最高気温が20度もあるなんてことは想像もできなかった。

そして、この高気温は今年だけのことではない。

 

最低気温は上旬で見ると前年の方が高く推移しており、下旬も前年並みだった。

 

とある。

要するに前年の方が最低気温は高いということで、2018年の秋冬も暖かかったし、2017年も年末まで暖かかった。

記憶に新しいのは2018年の1月と2月が歴史的冷え込みだったことだが、それは珍しいことであり、珍しいからこそ「歴史的」と表現されるわけである。あれほどの寒波は何年かに1度しか来ない。

2017年も年末まで暖かく、12月20日ごろに高湿度も手伝って6月並みに蒸し暑い日があった。さすがにこの日だけでそれは終わったが、その後もさほど寒すぎるということもなく、年末大掃除が捗ったことを記憶している。

2018年は1月・2月は寒波が襲来したが、秋以降は暖かく、これまた年末大掃除が捗った。

2019年は1月・2月に歴史的寒波は来ずに終わった。2018年1月の大寒波がまた来ると思って防寒アウターの供給量を増やしたメーカーや店はここで大きな損失を計上しているが、何度もいうように「歴史的」なものが何度も来るはずがない。むしろ、来ないことの方が標準的で確率が高いということであり、確率の高い方に合わせるのがビジネスである。

某コンサルタントのように「次の年に寒波が来ないなんて予想できない」なんて泣き言を言うのは、論理的思考を捨てているだけでしかない。

 

当方がこの業界に入った20年前から暖冬化は言われていて、ずっとMD見直し論が流れていたが、今までほとんど実行されなかった。

しかし、10年前より暖かい秋冬が増えているから商品計画は見直す必要がある。

今、ダウンジャケットを含む防寒アウターなんてプロパー販売できる期間は1ヶ月ほどしかない。

 

元々は10月21日に防寒アウターを含む冬物が立ち上がるというスケジュールで今もそうなっているブランドは多い。20年前なら、11月からは気温が低下したし、プレセールを行わなくとも12月はクリスマス商戦でほぼ定価で売れた。

値下げするのは正月バーゲンからだったからたっぷり2か月間は定価で販売できた。

しかし、今はどうか。11月20日過ぎにはブラックフライデーが開催される。このため、定価で販売する期間はきっかり1か月間しかない。おまけに10月と11月は最高気温20度以上の日が続いてとてもじゃないが厚手の防寒アウターは着用できない。

実際にやっと動き始めるのは12月の寒波が来てからということになるが、その時にはすでにプレセールが始まってしまっている。

 

薄手から中肉中綿アウターは必要だろうが、厚手ダウンや厚手中綿アウターは北海道・東北・北陸を除く日本で本当に必要なのだろうか?

北国と一部の内陸部向け以外は厚手防寒アウター類の供給量は大幅に減らした方が良いのではないかと思うがどうだろうか。

 

 

薄手で買いやすい価格のタイオンのインナーダウンをどうぞ~

 comment
  • しがない小売り屋のオジサン より: 2019/12/14(土) 6:16 PM

    毎回楽しく読んでいます。南さんのいつもいつも違う内容のコメントに「本当にそうだよな~」といつも感心しております。
    私はアパレルの小売りを複数経営しています。南さんの言われるとおり、ホンっとうに昨今、秋冬物が売れなくなりました。もちろん暖冬が一番の原因かと思います。服屋ってこれまでの「夏赤字、春トントン、秋冬で黒字」って図式が、秋冬が赤字とは言えないまでも、トントン程度に下がってしまったようです。これじゃあ年間では赤字ですよね。TVで予報士が、暖冬や季節外れの…と聞くだけでイヤな思いをしてる毎日です。あ~大寒波が2週間くらいやって来ないかな。今年も決算が恐ろしいです。

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