知られていない物はいくら高品質でも売れない
2019年12月6日 SNSについて 0
どの分野にも世の中にさほど知られていないが名人・達人は数多くおられる。
もちろん、繊維・衣料品業界にもそういう知られざる名人・達人は数多くおられて、当方の知識など足元にも及ばない。
その一方で、著名な人が驚くほど知識・知見が低いことも珍しくない。
商品やブランドでいえば、品質が高いのに知られていない・売れない物も多いし、品質が低いに結構評価が高い物も珍しくない。
まあ、世の中はそんなものだと割り切って目の前の自分の業務に邁進すればその方が精神衛生上は良い。
しかし、人間はそう簡単に割り切れるものでもないから、そういう知られざる名人・達人の中にはお会いした際に不満を激しく口にする方もおられる。
気持ちはわかるのだが、じゃあ何か対策をしてみてはどうかと思う。
当方に不満をぶつけていても現実は何も好転しない。
6年前から日曜朝の仮面ライダーと戦隊以外のテレビ番組をほとんど観なくなった。
本を読んだり、ネットで記事を読んだりしていたが、昨年あたりからユーチューブでいくつかの動画を見始めるようになった。
それまでにもユーチューブで動画はときどき観ていたが、主に昔のアニメを観たり音楽を聴く程度で、何年も前から世間で話題になっているユーチューバーたちの動画は観たこともなかった。彼らに興味もなかったしね。
本当に偶然、昨年後半くらいからいくつかのユーチューバーの動画を観るようになった。
といっても超有名でタレント化しているようなユーチューバーの動画はいまだに観ていない。
当方が観始めたのは、最初はアニメや特撮のおもちゃのレビュー動画だった。
ヲタファという人のレビュー動画である。おもちゃのレビューとガンプラのレビューがメインのコンテンツで、トークもうまいし、動画編集もうまくて、だいたい15分くらいにおさめていて見やすい。チャンネル登録者数が79万人を越えているからすごいものである。
で、この人の動画を観始めたら、通常のネット広告やネット通販と同様に、「この人の動画もどうですか?」と似たようなジャンルのをユーチューブが提案してくる。
その中の一つにガンプラの作り方とレビューに特化しているクラフタという人のチャンネルがあった。
(動画の一例)
最初何の気なしに観始めた。
どうも動画を始めたばかりでしゃべりも堅い。それでも手短に15分程度にまとめられているので見続けていた。
最初は登録者数がほとんどゼロだったのではないかと記憶している。
ところがだ。今では登録者数が3万人を越えている。おそらく1年も経たないくらいで3万人突破である。
トークもどんどん上達しているし、動画の編集もうまくエンターテイメント性が高まっている。慣れによる上達だろう。
ユーチューブの登録者数3万人といえば、それほど強いインフルエンサーではないのだろうが、それでも3万人なのだからすごいものである。
しかし、ことガンプラ製作の腕ということに関していえば、クラフタ氏はもちろん下手くそではないが、名人・達人と呼ばれるほどでもない。恐らく彼よりも上手く作れる人は掃いて捨てるほどいるだろう。
ヲタファ氏にしても同様で、上手いことは上手いが、ガンプラコンテスト世界大会で優勝する人ほどではないだろう。
ここまで長々と書いてきた。
何が言いたかったのかというと、繊維・衣料品業界と同じだということである。
どんなに名人・達人でも自ら発信しなければ世の中には知られない。しかし、中くらいの腕でも発信し、発信方法を研鑽することで、1年経たずに3万人の登録者数を作り出すことができる。
繊維・衣料品業界で不遇をかこつ名人・達人、不遇をかこっている「高品質ブランド」は発信しているのだろうか?または発信方法を研鑽しているのだろうか?
ヲタファ氏やクラフタ氏の腕が低レベルなら問題外だが、発信の仕方さえ研究すれば達人・名人である必要がない。これは衣料品でも同じではないか。
誰もが納得できる品質であれば、発信の方法で多くのファンは獲得でき、何も超高品質にこだわる必要はないということである。超高品質であっても発信しない、発信方法が不味ければファンは獲得できない。
特に衣料品の工場系ブランドはその視点が大きく欠けている場合が多い。
先日、トップセラースタイルのトークイベントで若い三人のSNSインフルエンサーが登場し、ツイッターとインスタグラムという違いはあれど、それぞれが1年前後という短期間でフォロワー1万人を突破しており、そのノウハウを話していただいた。
三人とも感性やひらめきではなく、理論に沿って投稿を行い、それによって短期間で多数のフォロワーを獲得することができた。
その中でもインスタグラムの艸谷真由さんは、そのノウハウを書籍化しており、非常に理論的で実践しやすい内容となっている。
インスタグラムの発信が上手く行かずにフォロワーが伸び悩んでいる「高品質ブランド」には一読をお勧めする。
繰り返すが、いくら「超高品質」な商品やノウハウであっても、発信しなければ知られない。中級とか中の上くらいでも発信さえ上手ければ短期間で多数のファンを獲得することができる。
知られていないのは存在しないのも同然なのである。
こと、スペック競争や高品質競争に陥りやすい物作り系ブランドは一考してみてはどうか。
そんな艸谷真由さんのインスタグラムノウハウが詰まった本をどうぞ~