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南充浩 オフィシャルブログ

外資低価格ブランドが日本から撤退する理由は国内低価格ブランドに負けたから

2019年11月27日 企業研究 0

フォーエバー21の経営破綻による日本撤退と、アメリカンイーグルの日本撤退によって、2008年ぐらいから世間を沸かせた外資SPAブランドがほとんど日本市場から消えたことになる。

主なブランドで残っているのはGAP、ZARA、H&Mの巨大ブランドのみだ。もちろん、ZARAのインディテックスがやっている別ブランドのベルシュカや、GAPの別ブランドであるバナナリパブリックは残っているが、店舗数は知れている。いつ撤退しても誰も不思議に思わない。

これ以前に撤退した外資SPAブランドはトップショップ、オールドネイビー、韓国のイーランドなどがある。

撤退はしていないが、鳴かず飛ばずのアバクロもある。当方はアバクロが日本から撤退しても何ら驚かない。

 

日本人は欧米ブランドに弱いと言われるが、果たしてそうだろうか?もちろん、ラグジュアリーブランドには弱いが、中価格帯以下のゾーンではさほどに弱くない。逆にシビアに使い勝手とコスパを選定していると感じる。

撤退したブランドには規模の大小はあったが、いずれも使い勝手が悪く、日本国内で代替品を探すことが容易だった。

いわば「代わりはなんぼでもある」という状態である。

代わりのあるブランドの出身が欧米だからといって、それに盲従するほどの甘さは日本人にはない。欧米で流行れば、自動的に日本でも流行るというのはちょっと日本人と日本市場を舐めすぎだろう。

そう主張する人の会社が売上高22億円前後で成長が止まってしまっているのはどうしたわけだろうか?(笑)

 

それはさておき。

 

撤退した外資SPAブランドで最も国内展開が大規模だったのがオールドネイビーだろう。

オールドネイビーの売れなかった理由は、国内ではGAPで代替できたからだ。

オールドネイビーはGAPの廉価版として知られる。テイストもベーシックアメカジが中心でメンズなんかだと似たようなシャツが目につく。キッズはGAPよりもかわいかったという人もいるが、そんなピンポイントの需要だけではグローバルブランドが目指すような売上高は作れない。

しかし、何度もこのブログで書いたように、日本国内ではGAPは定価こそ高いが、最終的には驚くほどの安値で投げ売りする。

1000円未満に値下がる服も珍しくない。

そんな状態で、「GAPの定価より安いですよ」なんていうブランドが上陸する意味があるのだろうか。

テイストが全く違えば問題ないが、テイストはほとんど一緒なのである。だったら、GAPの値下がり品を買う。

オールドネイビーが売れなかった理由は「GAPの値下がり品で代替できるから」である。

 

トップショップはフランチャイズ運営だったようで、運営会社に問題があったとされる。しかし、2018年には中国からも撤退しているから、フランチャイズ運営会社だけの問題でもないだろう。

 

また、韓国のイーランドは、画像を見る限りにおいては店作りと商品品質のレベルが低すぎた。いくら安くてもあれでは売れない。イオンの平場の投げ売りセールの方がマシである。

 

アバクロはGAP同様に定価設定が高すぎるのと、日本人の嗜好に合った店作りができていないことが敗因だろう。においのキツイ店とか、よく分からない半裸の白人モデルの販売員とか、まったく意味不明で売れるはずもない。

 

フォーエバー21の敗因は本国の経営破綻だろう。というか日本市場云々ではなく、本国の経営が杜撰すぎたといえ、日本よりも先に中国から撤退しているから、よほどに売れなかったのだろうと思う。

アメリカンイーグルの敗因は前回書いた通りである。

 

ちなみにトップショップは9店舗ほど、フォーエバーは20店舗ほど、アメリカンイーグルは30店舗ほどしかないので、メディアが騒ぐ割には売り上げ規模は大きくないし、国内のアパレル市場に与える影響も大きくない。はっきり言ってこのくらいの規模なら「あってもなくても同じ」でしかない。

 

多くのメディアやアパレル業界人が指摘しないが、これらの外資SPAが日本に根付かない理由の一つとして、国内の低価格SPAブランドが強いからだと考えられる。

決して、どこぞのサステナビリティーガーが主張するような「大量生産ブランドがそっぽを向かれたから」ではない。国内市場でいえば、フォーエバーもアメリカンイーグルもたった20~30店舗ほどしかない小規模ブランドなのである。トップショップは10店未満、イーランドは数店だから町の個人経営のブティック並みの規模でしかない。

 

大量生産ブランドが飽きられていないことはジーユーのこの10年間の急成長を見ればわかる。またユニクロの国内売上高の伸びは鈍化したが、8500億円からまだジワジワと伸びている。そして2008年からの10年間で、アダストリアや、タイムセール連発のストライプインターナショナル、中高生向けブランドのウィゴーなどの低価格ブランドはそれぞれ成長しているし、しまむらも不振と言われながらも5000億円規模を維持している。

 

これらの低価格国内ブランドがひしめきあっているから、そこで生息できる外資ブランドは、ZARA、H&M、GAPくらいしかないというのが実情ではないのか。

 

アパレルではなく、雑貨に目を移しても、フライングタイガーの一時期の勢いはまったくなくなったし、逆にダイソーやセリア、キャンドゥ、スリーコインズのような国内低価格雑貨ブランドの勢いは止まらない。

 

どこの国の出身のブランドだろうが、代替可能で使い勝手の悪いブランドは淘汰されるのみだから、今後も施策を間違えた外資ブランドの撤退は続くだろう。

 

 

そんなアメリカンイーグルの並行輸入シャツをどうぞ~

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