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南充浩 オフィシャルブログ

不可解なテレビCM

2013年4月15日 未分類 0

 毎週日曜日は朝7時半に起床する。
よほどのひどい二日酔いでもない限り欠かしたことがない。
今年は7時半から「獣電戦隊キョウリュウジャー」を見て、8時から「仮面ライダーウィザード」を見る。
よく、「息子さんと見ておられるんですか?」と尋ねられるが、筆者が一人で見ているだけである。

ほとんどテレビというものを見ない生活にすっかり慣れてしまったので、1週間のうちでテレビを見るのは日曜日くらいである。

日曜日は早朝6時半放映の「聖闘士星矢Ω」を録画したものを見なくてはならないし、夕方5時から「宇宙戦艦ヤマト2199」も見なくてはならない。
1週間のうち、日曜日のこの4本しかテレビ番組を見ない。

それはさておき。

14日の日曜日にそのテレビを見ていると、9時前だろうか、チャイナファッションフェアのテレビCMが流れてきて驚いた。
チャイナファッションフェア(CFF)は中国国内のアパレル製造業が日本企業に向けて売り込むための展示商談会である。毎年春に大阪、秋に東京で開催されている。

今月16~18日にちょうど大阪でCFFが開催される。
そのためのテレビCMだということは理解できる。
しかし、業界向け展示商談会のテレビCMを流すというのは日本ではあまり見かけたことがない。
ほとんど意味がないからだ。

そもそもテレビの情報番組でも業界向け展示商談会が放送されるのは極めてまれだ。
とくに衣料品や雑貨などの展示会では東京ギフトショーくらいではないか。一度だけインターナショナルファッションフェア(IFF)がリポートされているのを見たがその程度だ。

通常の業界向け展示商談会が何故テレビで放送されないかというと、一般消費者が入場できないからである。
そのため、いくら主催者側が取材案内をしても体よく断られてしまう。

東京ギフトショーが取材されることが多いのは、出展社数が2424社・来場者数が延べ約20万人(2013年2月開催結果)と、出展社数・来場者数ともに他の追随を許さないほど多いからである。
テレビ局側からすれば「こんなに大規模な展示商談会なら業界向けといえども取材しても良いかな~」というところである。
テレビ局は一般消費者向けかどうかに極度にこだわる。

実はこれは雑誌や新聞も同じである。
ファッション雑誌に業者向け展示商談会のリリースをいくら送付してもほとんど掲載されない。
なぜなら「一般消費者が入場できないから」である。
新聞だと業界紙や地元紙には掲載されるが全国紙にはほとんど掲載されない。
もちろん「一般消費者が入場できない」からである。

産地素材展などの実行委員を務めていらっしゃる産地のおじさんが
「どうやったら一般紙とかファッション雑誌に掲載されるのだろう?」と悩んでおられるが、イベントの内容自体を業者向け展示商談会から一般消費者向けの展示即売会にでも変えない限り可能性は低い。
もしくは東京ギフトショーほどの規模まで拡大してしまうかである。

ただし、地元一般紙とか地元放送局はその限りではない。業者向け商談会でも取材に来てくれることもある。

さて、以上のような状況を念頭においてもう一度CFFがテレビCMを流すことを考えると、極めて異例であると言わざるを得ない。
取材とテレビCMを同一視するわけではないが、CMを流すということは一般消費者も念頭に入れた行動だと考えるのが自然である。
通常、国内のイベントなら一般消費者の入場できない業者向け商談会はテレビCMなど流さない。

その理由として、まずテレビCMは雑誌や新聞の広告掲載よりもはるかに料金設定が高い。
時間帯や頻度にもよるが、経験上の記憶だと2週間流すだけで3000万円ほど必要だった。
今は当時よりもディスカウントされているかもしれないが、それでも100万円や200万円程度ではないだろう。

次によしんば広告料金は捻出したとしても、そのCMを見た一般消費者に会場に多数来られても意味がない。
出展社としても日本人の一般消費者に多数来場されてもまったくビジネスにはならないし、主催者側としても一般消費者には入口でお帰りを願うことになる。
来場した一般消費者も入口で入場禁止されるのは気の毒である。
三方良しならぬ三方損である。

テレビCMを流すということは一般消費者が多数来場してしまう可能性があるということである。

以上のような理由をもってCFFのテレビCM放送にはほとんど意味を見いだせない。

こうした感想について、「中国では業者向け展示会もCMを流す風習があるからそうしたのではないか?」という意見をいただいた。なるほどこれはありえる。
また「表面からは見えない副次的な効果を狙っているのかもしれない」とおっしゃる方もいた。
これもあるかもしれない。ただ、筆者としては副次的な効果はさっぱり見えないし、思いあたりもしないのだけれど。

今回のテレビCM放送で一番美味しい思いをしたのは、広告代理店とテレビ局であろう。
彼らの懐を潤わせる効果だけは十分だったはずだ。
仮に2000万円程度の放送料だとすると、そのうちの2割程度(400万円)は手数料として広告代理店に入る。
コマーシャルフィルムも一から製作したようなので、製作費も別途必要となり広告代理店の収入になる。
製作費というくらいだから製作原価に代理店の利益がプラスされる。
代理店としては製作費の利益と広告手数料がダブルで収入となる。

結局、筆者には、主催者が広告代理店の口車に乗せられたとしか見えないのである。

いずれにせよ今回のテレビCMは不可解だった。

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