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南充浩 オフィシャルブログ

直営店展開の遅れも敗因の一つ

2013年4月9日 未分類 0

 先日のビッグジョンの経営再建を見るにつけても国内の大手ジーンズアパレルの苦戦の原因の一つに直営店展開が遅れたということも挙げられる。

ボブソンは昨年11月に新会社となって復活したとはいうものの、一度倒産している。
エドウインは経営再建問題に揺れたままである。

外資だが、リーバイ・ストラウス・ジャパンは売上高100億円を割り込んで赤字決算が続いている。

いわゆるナショナルブランドと呼ばれたジーンズ専業アパレルは総崩れである。

これらナショナルブランドはつい数年前まで直営店と呼べるのはアウトレットショップしか持っていなかった。
旧ボブソンはアウトレットモールに子供服ブランド「オシュコシュビゴッシュ」の定価品ショップを出店するという変則的な取り組みを続けていたが、大人向けはアウトレットショップのみだった。

皮肉なことに旧ボブソンの子供服部門がピーチフォートとして生き残れたのは、子供服直営店「オシュコシュビゴッシュ」のおかげだった。

エドウインは直営店路面店展開を開始していたが、2013年4月現在、日暮里店以外は撤退している。
イオン柏とイオン浦和美園には各々「エドウイン バイ アメリカヤ」として直営店がある。

リーバイスもFCでリーバイスストアを展開しているが、一進一退の状況が続いている。

その他のブランドも過去に何度か直営店に取り組んでいるが結果的には失敗している。

ジーンズナショナルブランドはジーンズを基調に、チノパン、カーゴミリタリーパンツ、ワークパンツなどを企画製造・販売している。
自社のボトムスに合わせたトップス類を企画するとGジャン、ネルシャツ、ワークシャツ、Tシャツ、スエットなどが中心となってしまう。
トータルショップを展開するには、ジーンズやカジュアルパンツを基調としながらもトータルコーディネイトの提案が不可欠となるが、これまでのナショナルブランドのトップス類ではトータルコーディネイトは組み立てられない。

となると、他社製品を仕入れてトータルコーディネイトやオケージョン提案をしなければいけないことになるが、これには店頭で販売するためのマーチャンダイジングが必要となる。
いつ、どの時期にどんな商品を誰に売るのか?ということを考えながら店頭での商品計画を組み立てなくてはならない。

ジーンズナショナルブランドは卸売り型のビジネスを長らく行ってきたため、店頭でのマーチャンダイジングを行う人間がいない。いないものは育てるか外部から連れてくるかのどちらかしかない。
個人的には現有のジーンズナショナルブランドの内部スタッフが自社内に店頭マーチャンダイジングを行えるスタッフを育てられるとは到底思えない。
なぜなら、自分が持ち合わせていないスキルを他人に教えることは極めて難しいからである。

外部から連れてくるといっても冒険である。
上手くいくかもしれないが、上手くいかない可能性もかなりある。
その人と会社との相性もあるだろう。
極端に言えば、博打を打つのとあまり変わらない。

企業が上手く回っている際にはこんな博打をあえてする必要はないと普通の経営者なら考える。
かといって、企業が傾き始めるとさらに博打を打ちにくくなる。
悪循環である。

外部から10数年間、ジーンズナショナルブランド各社を眺めていて、そういう状況だったと感じている。

トータルコーディネイトが難しければ思い切って単品ショップにすれば良かったのだが、そこも踏み切れなかった。なぜならカジュアルパンツ専門店という業態は極めて売上高の伸びが見込みにくい。
消費者はトップスよりもボトムスを買う頻度の方が概して低いからである。
かつて旧ドゥニームがジーンズのみの京都店をオープンしたが失敗してトータルアイテム化に方向転換した。その京都店も今はないのだが。

カジュアルパンツ小型専門店というニッチなマーケットを掘り下げたのは「ビースリー」を展開するバリュープランニングだ。ナショナルブランドの中には、数年前に「第二の『ビースリー』を狙え」と号令をかけた幹部がいたという噂を耳にしたことがあるが、時すでに遅しである。
ニッチなマーケットは「ビースリー」がすでに占有しており、同じ業態で他社が分け前にあずかれるほどのパイはない。

反対にメーカーが専門SPA化して生き残ったのが、東京シャツだろう。
もちろん2900円・3900円という買いやすい価格帯もあっただろうが、シャツの小型専門ショップをチェーン化している。東京シャツの「シャツ工房」には高付加価値というブランド力はないが、少しお洒落なデイリーユースなイメージが定着している。
旧来のシャツ専門アパレルでSPA化に成功したのは東京シャツだけである。

想像してみるに、この専門業態に特化するという手法を決断した経営者は相当に肝が据わっていたのだろう。
なかなか恐ろしくてできることではない。

とくに単品卸売りで150億~450億円もの莫大な売上高を稼げていたかつてのナショナルブランドからすればそこまでのリスクを取る必要はなかった。
常識的な経営者ならそう考えても当然だろう。

しかし、その決断が道の分かれ目だったとも感じる。

単品卸売りのナショナルブランドは今後は15億円~25億円程度の売上規模で活動するのが適正規模だと思われる。
いくら伸びても50億円くらいまでだろう。

その辺りを目標設定にして心機一転がんばってもらいたいと思う。

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