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南充浩 オフィシャルブログ

「ジャストサイズ」という幻

2019年10月18日 トレンド 0

先日、1万円の臨時収入があったので、思い切って「高いスニーカー」を買ってみることにした。

ここ数年、スニーカー類ばかり履いていたが、買っていたスニーカーはアディダスやプーマ、リーボックの値下がり品ばかりだった。だいたいがスニーカーのステップか、スポーツタカハシで2800~3900円に値下がりしたスニーカーを買ってきた。

別段それで何も困ったことはないのだが、寄る年波には勝てず、最近は足の疲れが以前よりも気になってきたので、クッション性の良い物を買おうと思った。

そういえば、2年くらい前にアダストリアのドットエスティで7560円に値下がりしていたナイキのエアマックスインビガープリントというのを買った。

当方初のナイキ、当方初のエアマックスシリーズだった。

サイズが27・5センチしか残っていなかったので、試しに買ってみた。

履いてみるとクッション性は良くて、足裏の疲れがだいぶとましだった。が、長時間履いていると、サイズが少し小さいのか、足指の先が痛くなってしまう。

恐らく、ベストサイズは28センチだったのではないかと思ったが、すでに2年が経過しており、今更返品するわけにもいかない。2時間とか3時間履くくらいなら問題ないから短時間用として活用していた。

そんなわけで、今度は28・0センチのエアマックスシリーズを買おうと思った。

 

店に行って片っ端から試着するのも良いのだろうが、はっきり言うと、靴屋で片っ端から試着するには相当な心臓の強さが要る。服だと、かかってあるものを無造作に取って羽織ることも可能だが、靴の場合、試着は必ず店員を呼ばねばできない。それを何足も繰り返して「下調べに来ただけでした」とはなかなかに言いづらい。当方の心臓はそこまで強くない。

 

なのでAmazonやらYahoo!ショッピングでだいぶと検索を繰り返した。恐らく延べ時間としては20時間くらいは使ったのではないかと思う。

説明書きやサイズ表を見ながら、あとはレビューから類推しながら、エアマックスフレア50というスニーカーの28センチを9880円でAmazonでポチった。

 

 

 

 

実はもう1000円安く同じ物が別の出店者から売られていたのだが、こちらは台湾の業者で返品無料のマークが書いていなかった。そのため安全料という意味から返品無料の9880円の方の出店者から購入した。

 

送られてきた物を試着してみると、予想通りに28センチでぴったりだった。

 

しかし、それにしてもサイズ書きのフォーマットが出店者や商品によってバラバラで随分とヒヤヒヤした。靴は服よりもサイズが厳密で0・5センチ小さければ足入れすることすらできない場合がある。

服は例外を除けば、1センチや2センチ小さくても着ることはできる。

試着不可能なネット通販で買う場合、靴の方が服よりもハードルが高いと感じる。

 

靴こそ、一時期話題にだけはなった計測システムが完備されれば便利だと思う。

ZOZOマットは一体どうなったんだろうと思うが、アメリカにはもっと優れた足の計測システムが存在するという。

 

で、ちょっと前置きが長くなったがここからが本題である。

一時期、自己採寸のZOZOSUITが随分と話題沸騰した。まだ配布される前から大変な騒ぎぶりで、「ZOZOが世界を制覇する」とか「既製服は死んだ」とか騒いでいる人がたくさんいたが、あの人たちは全員、ZOZOのPB撤退の発表以降どこでどうしているのだろうかと思う。

 

たしかに、靴にせよ服にせよ、試着できない通販という業態において、自分が着用できるかどうかサイズがわかっていれば随分と買い物のハードルは下がる。

一番避けたいのが小さすぎて着用できないということである。大きすぎる場合、だらしなかったり着用感が今一つだったりするが、着用できなくはない。それよりも小さすぎて着用できないことの方が最悪である。

 

だから自分の身体のサイズを正しく把握できれば、サイトのサイズ表を見ただけであらかた着用可能かどうかわかるようになる。

そのために必要だと思われたのが「ジャストサイズ」なのだろう。

 

しかし、自分のサイズを把握したところで必ずしも「ジャストサイズ」が良いというわけではないのが、靴は別として、特に衣服の場合である。

 

 

一例を挙げると、ダボダボだろうが、それが傍から見てかっこよければそれを選択する方がファッションといえる場合もある。

ファッションは主観か客観かという議論はあるが、当方は主観のみで似合わない服を着るよりは、他人から評価される服を選ぶ。人それぞれの考え方はあるだろうが、個人的には主観のみの着用をして往年の志茂田景樹のようにはなりたくはない。

 

で、今春からジーユーの商品を良く買うようになった。ユニクロの本体ラインは正直なところ、デザインがベーシックすぎて飽きてしまう。去年セーターを買ったなら、破損するまでそれで十分で、まさかセーターを毎年買い足して全色集めようなどとはさらさら思わない。

だから、ユニクロで買うのはユニクロUなどのコラボラインが中心になる。

ジーユーはベーシックではない商品があるから、そちらの値下がり品を買うことが増えた。

今春からジーユーの商品はかなりオーバーサイズである。当方でも十分にMサイズが着られるほどだ。

 

当方よりもスマートな若い人たちだとものすごくダボダボではないかと思う。しかし、スマートな若い人たちからすると「そのダボダボさがイイ」ということになる。

彼らだと今のジーユーのSサイズですら大きめだと思うが、あえてLサイズやXLサイズを着る。これなどは到底「ジャストサイズ」などではない。それでも彼らはそれがカッコいいと思っているし、傍から見ていてそれが似合っている者もいる。(もちろん、似合ってない者もいる)

ジャストサイズが一概にカッコイイとは言えない。

カッコよさというのは、服のデザインによっても、その人の体格・骨格・顔の大きさなどによっても変わる。

 

当方はガッチリした体型だがあいにくと顔も大きい。金持ちになっていつの日か骨を削って小顔になりたいと思っているのだが、残念ながら未だそのままである。

今年のジーユーの商品だとMサイズを選んでいれば90%間違いはないのだが、先日、ジーユーで防風フィルムを貼ったボアフリースのブルゾンを試着してみた。

Mサイズが恐らくは「ジャストサイズ」なのだろうが、試着して鏡を見てみると、ボアフリースというボリュームある生地、肩が落ち気味なルーズなシルエット、おまけに当方のガッチリ体型と顔のデカさが相まって、単にモサっとしたスタイルのオッサンに見える。まあ、もともとモサっとしているのだが。

個人的には大きめのアームホールがさらにモサっと感を加速させているのだと思って、Sサイズを試着してみた。なんとSサイズでも楽々と着られる。おまけにモサっとした袖の太さが少し細くなって、Mサイズの着用時よりはシュっとして見える。

買うならSサイズを買おうと思った。

 

逆に華奢な体型の若い人ならLサイズを買ってダボダボに着るのもカッコイイのではないかと思う。

 

結局のところ、小さすぎて着用できないというのは論外だとしても、「ジャストサイズ」なる物は特にカジュアルにおいては無いに等しいといえる。とりわけ、オーバーサイズがこれだけマス化すると何が「ジャストサイズ」なのかがわからなくなる。

逆に「ジャストサイズ」の方が、今一つカッコよくないという場合だってある。

 

本来は身体のサイズが正しく把握できたとして、「ジャストサイズ」とやらが絶対的に良いというわけではなく、似合うサイズ感・似合うシルエットがわかることがもっとも必要なのではないかと思う。

不発に終わったZOZOSUITはもとより、今の各計測システムではそこまでは示唆できないのではないだろうか。バーチャル試着システムなどもあるが、なかなかにサイズ感・シルエットまで提案することは難しそうだ。

いずれは技術の進歩によってそれが可能になると思うのだが、技術は一足飛びに進歩できない。コツコツと開発・改良を積み重ねるほかない。

 

ジャストサイズではなく、似合うサイズ感・似合うシルエット、こちらの方がはるかに重要だということを改めて認識した次第だ。

 

 

ナイキエアマックスフレア50をどうぞ~

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