MENU

南充浩 オフィシャルブログ

今のジーユーの商品は商社を使ったOEM生産の成功例

2019年9月30日 お買い得品 0

毎年のこととはいえ、北海道や東北、一部地域を除いては9月も暑い。

関西はとくに9月は夏である。関西の秋は10月半ば以降に始まる。

 

店頭には秋物が並んでいて、目には楽しいが、体感気温的には秋物を買っても当方はすぐには着られない。先物買いをするほどのファッショニスタではない。

長袖を着始めるのが毎年10月半ば以降なので、あと2週間は半袖生活が続く。

 

毎年、この時期に半袖Tシャツの投げ売り品を買い足していたが、今年は買う気にはならない。

目ぼしい商品はすでに8月末までに買ってしまっているのと、服が増えすぎて収納場所に困っているからである。

かと言って、セーター類やコート類は買う気にはならないから、夏物の投げ売り品や晩夏物の値下げ品を物色している。

 

そんな中、今春夏で、もっともコスパが高いのはジーユーだと思った。

とくに「大型店アイテム」はコスパが高い。

 

消費増税前に駆け込み買い物をしようかと思ったが、990円(税抜き)の服が、1069円から1089円(税込み)に変わるだけなので、駆け込む必要もないと思ってしまった。

久しぶりにジーユーの大型店、いつも外国人でごった返している心斎橋店を覗いてみた。

個人的には常に閑散としている心斎橋オーパ店の方が好きだが、どうも最近は客数に合わせたのか、商品量が減っている。

 

で、心斎橋店でまとめ買いをしてしまった。

クレイジーパターンのオックスフォードボタンダウンシャツ1290円と、990円のズボン3本で、合計税込み4600円だった。

 

ジーユーの商品はデザイン的に面白い物が多いが、素材品質でいえば、当たり外れがあった。メンズだと当方の見たところ、半々とかそれくらいだろうかと感じる。

それが近年は当たりの確率が高まって来ていて、とくに今春夏物は当たりの確率が高かった。

ユニクロの素材品質は低価格ブランドの中では突出していて、下手くそな百貨店向けアパレルをも越えているが、商品のデザインはベーシックで、何枚も持っていたら飽きてしまう。その飽きをユニクロUやアンダーソンなどのデザイナーズコラボでカバーしているのではないかと思う。

ユニクロで最近買う商品は、セーター類以外は、ほとんどがデザイナーズコラボの値下げ品である。

 

で、今回買ったのは、クレイジーパターンの無地オックスフォードボタンダウンシャツで、定価1490円が期間限定で1290円になっていた。

人気商品なのかなかなか値下がりしないし、したとしても200円程度である。

ユニクロとジーユーのアプリの「店舗在庫検索機能」は便利で、どの店に残っているかがわかる。

ほとんどの店で売り切れていたが心斎橋店に残っていると出たので、行ってみた。

 

ストライプ柄と無地のクレイジーパターンが欲しかったが完売したのか見つけられず、もう一方で欲しかった無地が残っていた。

 

黒×紺×オリーブグリーンという組み合わせで、定価1490円にしては綿100%のオックスフォード生地が分厚い。一時期は綿花価格の高騰でペラペラなオックスフォード生地が増えて(2012~2015年ごろ)、ユニクロでさえだいぶと薄くなっていた。最近はほぼ戻ってはいるが、厚手生地が世間的に好まれないのか、はたまた原料コストの削減なのか、昔(2010年以前)に比べるとユニクロのオックスフォード生地でさえ幾分薄めなままである。

 

そうした中で、1490円でこれだけの厚さがあるのはなかなかスゴイことだと思う。

クレイジーパターンは色や柄の合わせ方でひどくうるさくなるが、この商品もストライプも非常に万人が似合いやすく、それでいてインパクトのあるまとめ方がされていて、手掛けたデザイナーのセンスが良いのではないかと思う。

 

 

 

ただ、無地にもう1色あるのだがそちらは完売していて、色合わせがネイビー・グリーン・エンジという変な色合わせで、こちらの方が完売していたのはちょっと解せない。よほど生産数量が少なかったのだろうか。

クレイジーパターンは1色ではなく、複数の色柄を使うので、生地の効率としては悪い。廃棄する部分が増える。だから、よほど計算しないと単なるコスト高な商品になってしまうが、ジーユーの商品の場合、ネイビーとオリーブとエンジは無地オックスフォードシャツで展開しているので、そちらの生地と共通である。

ここで効率化できている。

黒は商品としては見当たらないが、ストライプ版にも使われていることから、この商品同士で共通化しているから、まだ効率化できている。

ストライプ柄は恐らくは業界に広く流通している「在り生地」を取り寄せていると考えられる。

 

デザイン的にインパクトを持たせつつ、生地コストを下げる効率化がなされており、これを企画した人間は本当に優秀だといえる。

 

 

で、ズボンは大型店アイテムを1本買った。もう2本は普通のカットソーイージーパンツと、デニムワイドテイパードパンツである。

この大型店アイテムのパンツもなかなかすごい商品である。

定価1990円が990円に値下がりしていた。大型店向けのペインターイージーアンクルパンツで、色は生成り・ヒッコリーストライプ・デニムの3色がある。

加工の入ったデニムは別に欲しくなく、本当はヒッコリーストライプが欲しかったが売り切れていた。

そこで、生成りを手にとって見た。

 

 

 

真っ白でもなく、ベージュでもない。ちょっとクリーム色がかったオフホワイトという感じである。

生地は分厚い。ところどころネップが入っていて、本格的なアメカジ調に見える。

生地はどうだろうか、触った感じだと13オンス前後はあるのではないかと感じる。

この生地を使って1990円という定価もすごいし、990円に値下げするのもすごい。

このコスパはちょっと他のブランドでは勝てないと思う。

形はモデル着用写真を見ると、裾までストレートで太く見えるが、実際は先細りのテイパードがかかっていて、今風のワイドテイパードパンツである。加工デニムよりむしろ生成りの方が着回ししやすいのではないかと思う。

 

 

大型店アイテムではないが、デニムワイドテイパードイージーアンクルパンツ(名前長っ)もなかなかのクオリティである。よほど売れなかったのか、心斎橋店にはうなるほど並んでいる。

濃紺ワンウォッシュと少しウォッシュをかけた2色だが、本当は当方はワンウォッシュ濃紺が好みである。しかし、よく考えてみれば手持ちに濃紺のパンツが多いので、今回はウォッシュの方を選んだ。990円だし、もし失敗しても諦めがつく。

心斎橋店の店頭在庫状況を見ると、ワンウォッシュの方が大量に残っていて、ウォッシュの方はそれよりは少し少ない感じである。

 

デニム生地は綿100%で、触感では12オンスか12・5オンスくらいな感じがする。

ゆったりしていて、先細りのテイパードシルエットでこれも今風である。

 

 

 

通常の5ポケットジーンズではなく、スラックスとしてデザインされており、前ポケットは斜めになっていて、後ポケットは左側にはボタンがある。

驚くのは後ろポケットは左右ともに玉縁仕様になっていて、これだけでも通常のブランドだと縫製工賃が高くなるため、とてもではないが1990円で発売はできない。

 

 

同じファーストリテイリングのSPAといっても、ユニクロは染色や縫製工場まで「匠」が入り込んで、コントロール・監修するという方式だが、ジーユーは生地や縫製の手配は商社が行うという方式で、だいぶと異なる。

ユニクロ方式は理想的とはいえるが、それこそユニクロの数量があって初めて、成り立つ。

国内8500億円、海外も合わせて1兆円を越える大量の生産数量があって初めて機能する。ジーユーも2000数百億円のビッグブランドに成長したが、ユニクロと比べると5分の1程度でしかない。当然生産数量も少ない。

とはいえ、他の日本ブランドに比べると格段の生産数量があるから、商社が介在したOEM方式としてはもっとも効率的で品質の良い商品が作りやすい。

 

今春夏のジーユー商品は商社を介在させたOEM方式の一つの完成形だといえるのではないか。商品価格の安さと商品品質の良さが両立できている。(もちろん、品質を言い出せばキリがないから、この1990円という価格帯では突出しているという話である)

 

もし、変な色気を出して、ジーユーをユニクロ方式の生産に切り替えた場合、かなり悲観的な未来が待っているといえる。

 

 

 

プレミアがついて定価より高くなったジーユーのリュックをどうぞ~

この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ