
フォーエバー21の日本撤退はミニマリストとはまったく関係ない
2019年9月27日 考察 0
経営危機にあるフォーエバー21は世界の不採算店をどんどんと閉鎖しており、今度は香港からの撤退が発表された。
フォーエバー21 香港からも撤退
https://senken.co.jp/posts/forever21-hong-kong-190927
現地紙の報道によればフォーエバー21が香港から撤退した。今春に中国大陸と台湾での販売も既に終了している。
とのことで、
中国のホームページで確認したところ、アジアでは日本、韓国、インドでの販売が現時点で継続されている。
とあるが、日本も10月末で撤退するので、アジアで残るのは韓国とインドだけということになる。
この2か国であとどれくらい営業を続けるのかはまったくわからないが、韓国は今後経済がどんどん悪化する兆候が見られているため、早晩撤退に追い込まれることになるのではないかと思う。
すでに今年春には中国と台湾から撤退している。
フォーエバー21の撤退を巡る議論においては、基本的にはフォーエバー21が世界的に苦戦しており、米国本国でも破産申請の危機にあるほど経営が悪化しているということを前提とせねば正しい議論はできない。
日本の若者ガーとか日本の風土ガーなんていうのは単なる居酒屋談義に過ぎない。
的外れな議論としての代表はこれだ。
服もミニマリストが主流に ~フォーエバー21撤退の理由~
https://news.yahoo.co.jp/byline/yonezawaizumi/20190926-00144193/
ピントが外れすぎて笑えて来る。
前半部分はマシだが、中盤以降は疑問しかない。
さらに現在は服を所有することが敬遠される時代だ。『服を買うなら、捨てなさい』『フランス人は10着しか服を持たない』『クローゼットがはちきれそうなのに着る服がない!』。
ベストセラーにはいかに少ない服でシンプルなおしゃれをするかを書いた本が並んでいる。なるべくモノを持たないミニマリストがもてはやされる昨今、服を買うことよりも服を捨てることが流行していると言っても過言ではない。
とあるが、ミニマリストが増えたからフォーエバー21が日本から撤退したというのはまったくの空想でしかない。なぜなら中国も台湾も香港も撤退しているからだ。ということは中国も台湾も香港もミニマリストが主流となっているということになる。
そもそもミニマリストが日本では主流なのだろうか?
なら、どうしてジーユーは2009年から2019年までの10年間で売上高を4倍にも増やし、2200億円を突破しようとしているのか。
どうして国内ユニクロは8500億円を売り上げているのだろうか。
またこの10年間で売り上げ規模を拡大した低価格ブランドは山ほどある。タイムセール連発のストライプインターナショナルとか、地味なコーエンとか、出資者が二転三転してゴタついたウィゴーとか。
不振傾向にあるしまむらだって5000億円規模を維持しているし、中国から撤退したハニーズも500億円規模を維持している。
また同じ外資低価格ブランドでも、一時期の勢いはなくなったもののZARAは690億円くらい、H&Mは500億円台の売り上げ規模で踏みとどまっている。
ミニマリストが増えたという主張はおかしすぎると言わねばならない。
そもそもフランス人が10着しか服を持ってないという主張さえ本当かどうか疑わしい。当方はまったく信じていない。
なぜバブルのころほど服が売れなくなったか?
それはほとんどの人がすでに多くの服を持っているからである。高い服が売れなくなったのは、国内百貨店向けブランドの不振による商品デザインの保守化と、低価格ブランド商品の見た目の向上である。
似たような物が安く買えるなら多くの人はそちらで買う。
いい物を長く使う「ていねいなくらし」もブームになる中で、ファストファッションの負の側面にようやく人々が気づき始めたのだろう。
フォーエバー21が撤退を余儀なくされたのは、ファストファッションからスローファッションへと今、ファッションが転換期を迎えているからなのではないだろうか
ともあるが、「ていねいなくらし」なる物がそこまで大ブームだろうか。スローファッションとは何を指しているのだろうか?企画から店頭投入まで1年以上を使うユニクロのことだろうか?
個人的にはスーパー万代で半額に値下がりした弁当で毎日過ごしてもまったく苦にはならない。
この手のフワっとした論説にはまったく価値がない。
フォーエバー21が日本撤退を余儀なくされたのは昨日挙げたが、要は一言でまとめるなら「売れなかったから」で、それは日本だけでなく、中国でも台湾でも香港でも売れなかったということで、ミニマリストもスローファッションも関係ない。だったら中国も台湾も香港もスローファッションということになる。
またフォーエバー21は知名度だけは高いものの、国内に現存する店舗数はわずか14店舗であり、ピーク時でも20店舗ほどしかなかった。100店舗あるZARAの足元にも及ばない。
低価格ファッションであるフォーエバー21が売上高を稼ぐためには多売するしかない。グッチなどの高価格ラグジュアリーブランドとは収益構造が異なる。高単価で利益率が高いブランドは10店舗とか20店舗で売上高も利益も稼ぐことができる。また店舗数の少なさがブランド価値をさらに高めるという側面もある。
だが低価格ブランドは客単価が低いから、売上高を稼ぐためには多店舗展開する必要がある。
しまむらみたいに2000店舗も必要かどうか疑問だが、しまむらの出店数がそれを如実に示している。すくなくともZARAのように100店舗、最低でも40~50店舗くらいは必要になる。
結局はブームがピークのときでさえ、その出店規模を実現できなかったというところがフォーエバー21の敗因であり、限界だったといえる。
店舗数だけでいえば、14店舗なんていうのは地域のローカル小規模チェーン店レベルでしかない。その手のチェーン店の倒産・廃業・撤退なんていうのは驚くほどのことではない。
フォーエバー21の撤退は同社の世界的不振による一環で、それ以上でもそれ以下でもない。中国でも台湾でも香港でも日本でも売れなかったということは商品企画のミスマッチ、マーチャンダイジングの精度の低さ、の表れでしかない。
イシキタカイ系が志向する生活スタイルはマスではないし、マスには今後も決してならない。
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