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南充浩 オフィシャルブログ

大丸心斎橋店本館の内見会に参加した感想

2019年9月24日 売り場探訪 0

先日、9月20日に大丸心斎橋店本館がリニューアルオープンした。

 

意外に早かったなと思ったが実は工事期間は4年くらいだったらしく、ジジイになると月日の流れるのは本当に早いものだと実感する。

若い頃は、商業施設オープンはけっこう足を運んだし、フリーランスになってすぐのころにも足を運んだが、5年くらい前からそういう熱意はなくなり、別に内見会で見る必要もなく、オープンしてから1ヶ月くらい過ぎてから行った方がオープン景気も薄らいでいて効果的だと思うようになった。

当方が特にそう思うようになったのは、やはりJR大阪三越伊勢丹がきっかけだろう。

オープン内見会はすごい集客だったが、そこから3か月後くらいにはすでに「予算割れしているしい」とのうわさが流れてきた。

見に行ってみるとオープン当日のあの人ごみが嘘のように閑散としていた。

オープンから数日、数週間後までは確実に「オープン景気」という好景気がある。これがない商業施設や店舗は早晩すぐに立ち枯れする。

逆にオープン景気があってもJR大阪三越伊勢丹のようにダメになる場合も珍しくない。

まあ、そんな理由で今回は大丸心斎橋店の内見会には行かないつもりだった。第一呼ばれてもいないし、それを書く媒体もない。(笑)

趣味で見るならオープン後に見れば済む。

 

と思っていたら、急にファッションスナップドットコムからの依頼があって、行くことになってしまった。付き合いは長いけど依頼は珍しい(笑)。どうしたんだろうか?

 

https://www.fashionsnap.com/article/2019-09-19/daimaru-shinsaibashi-renewal/

 

これが記事である。

 

感想はここに書かれて通りしかない。

まず、特徴としては通常の「消化仕入れ型」百貨店ではなく、 売り場全体の65%は、定期賃貸借契約(定借)によるテナントで構成されており、いわば、ファッションビルやショッピングモールと同じである。

テナント率が65%ということは、当たり前のことだが、通常の百貨店部分は35%しかないということになる。

百貨店部分を大きく削減したといえる。

 

これに対しての賛否両論はさまざまあるだろう。

これからスタートする事業なので結果はわからない。賛否いずれも正しい部分がある。

しかし、個人的には従来型百貨店が一部店舗を除いて苦戦しているなら、やり方をガラリと変えるのは悪いことではないと思う。

従来のやり方で効果が出ないならやり方を変える方が効率的で論理的だと考える。

逆に効果の出ない旧来のやり方に固執するのは愚の骨頂でしかないと思う。効果が出るならとっくの昔に出ているはずである。

 

 

 

 

このテナント方式はギンザシックスを前例としている。

ギンザシックスが大成功だったかどうかは評価の分かれるところだが、少なくとも失敗でないことは確実である。

しかし、成功かどうかは微妙で、なぜなら売上高が600億円台だが、これは近隣の銀座三越などもそれくらいなので、銀座という立地はそれくらいは最低限稼げるといえる。

逆に閉店直前の銀座松坂屋の100億円程度の売上高が異常に低すぎた。

だから成功というよりは回復ではないかと当方は見ている。

 

で、今回の大丸心斎橋店は、2階・3階は恒例のラグジュアリーブランドの集積でこのあたりはほとんどテナントではないかと推測される。

また、9階には大丸梅田店と同様にポケモンセンターがあり、週刊少年ジャンプのキャラクターグッズを扱う「ジャンプショップ」もある。この辺りもテナント化の効果だろう。

 

ラグジュアリー以外のファッションフロアは大幅に圧縮されていると感じる。

レディースが2フロア、メンズが1フロア、キッズが0・5フロアしかない。衣料品業界の方からするとこれも批判があるかもしれないが、服ばかり集積しても売れないのだから、削減するのは当然だと当方は考える。

 

7階はビューティー&コスメ、キッズ、レディースフォーマルというフロアだが、東京ソワールやレリアンなどのブランドと、ミキハウスやファミリアが並んでいるのは、祖母と孫という客を取り込みたかったのではないかと勝手に想像している。

 

7階を見てもわかるように、1フロアに異なるテイストのブランドを並べているというのも今回の特徴だといえる。

 

例えば、4階のファッションカルチャーのフロアだと、「セオリー(Theory)」や「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」「ポール・スミス(Paul Smith)」といった百貨店御用達ブランドや、「デンハム(DENHAM)」「ディーゼル(DIESEL)」など高価格帯のカジュアルブランドだけではなく、ヨガウェアを展開する「ルルレモン(Lululemon)」まで並んでいる。

 

各フロアによく似たテイストのブランド群を集積したオーソドックスな作りの近鉄百貨店あべのハルカス本店とは対照的なブランド配置だといえるが、これも試してみても悪くはないと思う。

ただ、ルルレモンは4階フロアのけっこう端っこの方にあって見つけにくいので、集客は難しいのではないかと感じるがどうだろうか。

食品のフロアは地下1階と地下2階の2フロアで、地下2階はフードホールがある。フードホールって何ぞやというと、ショッピングセンターのフードコートの高級版だと思えばいい。

地下2階で買った料理をテイクアウトしてそこで食べる場所である。

 

集客が容易に見込めやすい食品を増やしたことは効果的だと考えられるし、フードホールを設置することで客の滞在時間も長くなりやすい。

 

そんなわけで、個人的な感想を言うなら、随分と新しい取り組みの姿勢が見える店舗ではないかと思う。

もし、この方式で売上高が稼げるのであれば、今後これに倣う百貨店が続出するのではないだろうか。

 

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