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南充浩 オフィシャルブログ

アパレルのAI導入は後出しじゃんけんの方が効果的

2019年8月6日 トレンド 1

先んずれば人を制すと昔から言うが、それも時と場合による。

 

最近は本当に加齢からアルコールに弱くなり、深酒すると記憶が薄ぼんやりしてしまう。逆に酒に酔うのがしんどくなってきたので、飲み会以外、自宅ではほとんど酒を飲まなくなった。

今夏はノンアルコールビールと炭酸水ばかり飲んでいる。

 

で、そういえば先日、また大阪でマサ佐藤氏と飲んだのだが深酒をして記憶が薄ぼんやりしていたのだが、マサ佐藤氏のブログで話していた内容を思い出した。(笑)

 

AIの導入は後だしじゃんけんで大丈夫?

タイトルには「?」が付いているが、内容は「後出しじゃんけんで大丈夫」というものだ。

 

先んずれば人を制す、というが、機械類の導入に関しては後出しじゃんけんで導入するほうが効率的である。

1、後になればなるほど機械の性能はアップする

2、後になればなるほど機械の価格は安くなる

3、後になればなるほど実用事例が貯まっており、検証しやすくなる

という理由である。

 

これが開発なら話は逆で、先んずれば人を制する。

なるべく早く開発して、なるべく早く普及させたメーカーが主導権を握る。

 

しかし、アパレル業界は機械やソフトの開発をする業界ではなく、それらを導入する業界だから、先んじてもそれほど効果がない。

反対に、価格が高い・性能が低い・実用事例がほとんどない、と悪いことだらけである。

 

自動車でもパソコンでもスマホでもテレビでもすべて同じで、後になればなるほど性能はアップして価格は安くなる。

1990年頃のパソコンは、性能は今よりも著しく低いが、価格は今よりも高かった。ノートパソコンなんてなかったから、デスクトップで20万~30万円くらいしていた。

ウインドウズもMac.osもなかったから、フロッピーディスクを何枚も読み込んで稼働させなくてはならなかったし、何か作業するにも一々ナンタラ言語を打ち込まねばならず、はっきり言って、何が便利なのかさっぱりわからなかった。

当時、大量にパソコンを導入した企業は、それなりに効果はあったのだろうが、コストに対してどれほどの効果があったのかは極めて疑問を感じる。

 

今だと、そんなナンタラ言語なんて知らなくてもパソコンを使うことができる。おまけに価格も安い。

となると、2000年以降にパソコンを導入した方がお得だということになるし、当方はその方がお得だったと思っている。

 

インターネットやEメールの導入もしかりではないかと思う。

当方はそういえば、無理をして自宅に2001年頃にインターネットを導入してしまったが、よくよく考えてみれば2005年以降に導入した方が料金や性能的にお得だった。

特に当方は開発者でも何でもなく、単なる消費者に過ぎないから、余計にそうである。

 

で、ブログの内容に戻ると、打つ手なしで袋小路に迷い込んだ感のあるアパレル業界は、AIに頼ろうとしている。はっきり言ってアパレル業界お得意の他力本願でしかないのだが。

それに付け込んだ詐欺的なAI業者も跳梁跋扈しており、現在の業界は、アホなアパレルが詐欺業者の養分になるという様相を呈している。

 

アパレルは特に、需要予測AIに過大な期待を寄せているが、需要予測AIが絶大な効果を発揮した事例はいまだにない。

現時点でのAIは膨大なデータを読み込んでそれをまとめることには適している。

 

そういえば、先日の日曜夜9時からのドラマ「ノーサイド・ゲーム」でも主演の大泉洋がそう解説していた。

だから、膨大なデータを読み込んでのトレンド類型化や、膨大な過去データを読み込んでの天候予測などには効果があると思うが、需要予測は不確定な消費者心理や消費者行動を予測せねばならないから、現時点で成果が上がっていない。

ある大手アパレルは、1億円もの資金で需要予測AIを導入したものの、成果がないのでやめてしまったという。

 

反対に需要予測が適している分野もある。

例えば、牛乳や食パンや米などのベーシックな食材や、必ず買い替え需要が巡ってくるワーキングユニフォームなどである。

Aという人は牛乳を5日間で消費するから、6日目に牛乳を買いに来る

とか

このワーキングユニフォームは半年で傷むから、半年ごとに買い替え需要がある

とか

そういう具合だが、通常のカジュアル衣料品はそうではない。

 

要らないなと思っていても、500円に値下がりしているからTシャツを買ってしまうこともあるし、すごく欲しいけど価格や保管場所を考慮して買わない場合もある。

また、ずっとウールのチェスターコートを買ってきた人がいろいろな要因でチェスターコートを買わなくなることもある。

 

こうした需要予測は現時点でのAIでは無理がある。だからAIによる需要予測は成功していない。

 

アパレル企業はAI開発業者ではなく、使う方だから、無理をして現時点で導入する必要はさらさらない。アナログ度合いが高ければ高いほど、導入するのは今でない方が良い。

他社に導入させ、AIの性能がアップして価格が下がるまで待てば良い。

 

それこそパソコンやPOSレジのように。90年代前半のPOSより今のPOSの方が性能が良くて価格も安い。

 

実はアパレルは、AIを今、導入せずともアナログに分析をすることで効果が上がる分野ばかりである。AI導入はそれをやり切ってからでも遅くはないのではないか。

 

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 comment
  • 通りすがりのオッサン より: 2019/11/22(金) 12:16 PM

    日経ビジネス電子版の記事で、サイゼリアが電子決済に対応しないのは後出しジャンケンで決済用機材を効率良く安く(出来ればタダで)導入しようという思惑があるからだ、というような内容を社長さんが答えていて面白かったです。

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