現状から乖離しているのでは?
2013年3月7日 未分類 0
海外のコレクションの歴史を調べていた。
パリコレクションやミラノコレクションなどの歴史である。
いろいろと読んでいると、パリコレクションも昔はオートクチュールがメインだったらしい。
それが戦後の経済成長の過程でプレタポルテ(既製服)がメインとなっていったとある。
国内のファッション専門学校は厳しい状況にある。
大阪府内のファッション専門学校全校合あわせた総生徒数は「2000人前後ではないか」と某専門学校の理事長が指摘されたことがある。
大阪府内合計で2000人しかいないということは、ファッション専門学校生はかなり希少性の高いクラスタに属しているといえるだろう。
ファッション専門学校苦戦の大きな要因の一つに「就職先がない」というものがある。
SPA化の進むアパレル企業各社は、店頭販売員は大量に必要だが、本社内での企画・デザインにはそれほど人員を必要としていない。
ひどい場合は外部に企画もデザインもパターンも丸投げしてお終いとなる。
ファッション専門学校生の就職先が決まらない理由の一つには、そういうアパレル企業各社の体質の問題もある。
しかし、ファッション専門学校側にも問題は大いにあるだろう。
ファッション専門学校の花形はデザイン関係の学科である。
授業内容はいまだにオートクチュールを基本に据えている学校もかなり多い。
けれどもパリコレクションですら1点物のオートクチュールよりもプレタポルテの方がメインになって久しい。
これだけでも現状と授業内容にミスマッチがあると言わねばならない。
オートクチュールの技術伝承を否定するわけではないが、それがメインとなる教育内容がいまだに続いているのはいかがなものかと思う。
また別の独立系のデザイナーからはこんな意見を聞いたことがある。
「フリーランスになったときに真っ先に欲しかったノウハウは資金繰りや営業手法、マーケティングや販促広報だった。いわゆる『ビジネス』論を重点的に教えてくれるファッション専門学校は当時なかった」
という。
現在は各専門学校もビジネス科を設けているが、十分な内容かというと疑問を感じる。
専門学校の教員陣は、学校を卒業して外部で働かずに教員になった「生え抜き組」と、外部企業で功成り名を遂げたリタイア組の年配者であることが多い。(もちろん例外もある。あくまでもそういう傾向が強いということ)
となると、その教員陣で現状に即したビジネス論を教えられるかというと、首を傾げなくてはならないだろう。
また、一度も就職したことのない高校を卒業したばかりの学生たちが「資金繰りが云々」とか「●●の法則」などの内容に対して興味を持ちにくい部分もあるだろう。
筆者が高校を卒業したばかりの頃は、経営とか営業なんてまったく興味がなかった。
現状のアパレル企業の体質に何から何までフィットさせる必要はないと思うが、旧態以前としたオートクチュール偏重のクリエイト重視と、現状と離れたビジネス論という授業内容では卒業生の就職率が高まることはない。
この辺りをかなりシビアに見直さない限りは、ファッション専門学校への進学者は増える見込みはないだろう。