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南充浩 オフィシャルブログ

三陽商会の今期での営業黒字化はかなり難しいのでは?

2019年8月2日 企業研究 0

三陽商会の2020年2月期第二四半期連結決算が発表された。

業界紙では結構好意的な報道があるが、実際はそれほど楽観視できないのではないかと思う。

 

売上高 297億3500万円(対前期比1・6%増)

営業損失 8億6300万円

経常損失 8億2700万円

純損失 6億600万円

 

と赤字が継続している。

しかも、2018年12月期第二四半期連結と比べると、営業赤字額は5600万円拡大している。(2018年12月期第二四半期の営業赤字は8億700万円)

 

それと三陽商会の連結決算は今回、決算期を変更したため、14か月分の変則決算となる。

2か月間多いため、売上高は増加しやすくなるため、注意する必要がある。

 

決算内容で重要なのは純利益や経常利益よりも本業の儲けを示す「営業利益」であることは、マサ佐藤さんや有名コンサルタントの河合拓さんの指摘する通りである。

何が楽観視できないのかというと、三陽商会は、2020年2月期決算で、営業損益を6億円の黒字転換させるという目標を据え置いているからである。

中間期で8億6300万円の営業赤字であるにもかかわらず、通期で6億円の黒字にするということは、残り8か月間で14億円の営業利益を稼がなくてはならない。

いくら、アパレルは秋冬物の客単価が高くなり、利益を稼ぎやすいと言っても、上半期に8億6300万円もの営業赤字を計上した会社が、下半期で14億円もの営業黒字をたたき出せるとはとても思えない。

よほどの神業が必要で、それこそかつて、この会社が大ヒットさせたアムラーによるバーバリーブルーレーベル規模の大ヒットが必要となるが、現在の既存ブランドラインナップを見ても、これから始まる新ブランドの構想を聞いても、そこまでの期待はできないと感じる。

 

「映画を見ながら服の購入が可能、三陽商会から新ブランド「キャスト:」がデビュー」

https://www.fashionsnap.com/article/2019-07-31/cast-sanyo/

三陽商会は、20代後半〜30代前半の女性がターゲットの新ブランド「キャスト:(CAST:)」を立ち上げた。実店舗での展開に加えて、オンライン上で公開する映画作品から商品が購入できる日本初のシネマコマース型のマーケティング手法を導入。

 

という内容のブランドだが、どうだろうか、当方は女性心理はよくわからないし、エンタメにはさっぱり興味がないので、この手法にまったくピンと来ない。

この自主製作映画がよほど面白くて話題作になれば話は別だが、そうでない場合、わざわざ時間を割いて映画を見るだろうか。当方なら絶対に見ない。

個人的には、これは「コト」販売を重視しすぎたあまりの奇手ではないかと感じてしまう。

 

たしかに現在、飽和している洋服も含めて「モノ」その物だけでは売れにくい。だから10年くらい前から、アパレルも含めた物販は「コト販売」「コト重視」を模索してきた。

映画を見ることが主体となって、そこに登場するキャラクターの服が買えるというのは、この「コト販売」を重視しすぎたものではないかと思う。

発想としては面白く、試してみる価値はあると思うが、5分~15分程度のショートストーリー映画なら、見てみようかという人の数はそれなりに期待できるかもしれないが、ブランドのサイトに行くと、トップにある動画は約30分もある。

はっきり言うと、この長さでは「ちょっと試しに見てみようか」とはとても思えない。

よほどに暇で暇でどうしようもなければ見てみようかと思うが、普段仕事で忙しい20代~30代の女性がこれを「試しに見てみよう」と思うのだろうか。

 

また、オーダースーツブランド「STORY&THE STUDY」も新たに立ち上げるが、正直に言うと、周回遅れに感じる。

すでにオンワード樫山の「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」が顧客を獲得しており、それ以外にもグローバルスタイルやオンリー、コナカの「ディファレンス」など競合が犇めいている。後発ブランドがおいそれと割って入れるとは思えない。

また価格面でも5万円前後を想定しているようで、先行ブランドに比べると割高感がある。

さらにいえば、売上高を伸ばしている「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」でさえ、現状まだ黒字化できておらず赤字状態にあると、業界内部では言われており、低価格オーダースーツでの採算化の難しさが伺い知れる。

 

 「うちは工場直営なので、中間業者がいらないため、他社より安く作れる」

 

という三陽商会側のコメントがダイヤモンドオンラインの記事に掲載されているが、それならカシヤマ・ザ・スマートテイラーだって自社工場である。前提条件は競合他社とて同じで三陽商会が特段に優れた生産構造を持っているとはいえない。

 

三陽商会としては既存ブランドで大幅な積み上げは望めないから、新施策や新ブランドを立ち上げることで、成長軌道に乗ろうと考えることは正しいとは思う。しかし、そのどれもが大ヒットするようには感じられない。

映画が主体となる新ブランド「キャスト」は、企画の面白さは感じられるが、企画のための企画、机上の空論企画に感じられ、ターゲットのF1女性に響くとはちょっと思えない。

オーダースーツに関しては、先行各社が犇めく中で、特段に抜きんでたものは感じられないし、周回遅れ感が濃厚に漂っている。

それこそ、三陽商会は4P戦略やSWOT分析などの基本的なマーケティングの手法を使って、もう一度自社の強みを洗い出してみてはどうだろうか。

現状から言えば、一発逆転が可能な飛び道具は存在しないということを再確認すべきではないかと思う。

 

 

 

そんな三陽商会のクレストブリッジの商品をどうぞ~

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