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南充浩 オフィシャルブログ

しまむらに復調の兆しは見えない

2019年7月30日 メディア 0

どの分野にしても、メディアや識者にはポジショントークが多い。

もちろん、繊維・衣料品業界もポジショントークで溢れている。

例えば、この記事。

しまむら 復調まで「もう少し」 短納期商品増やす

https://senken.co.jp/posts/shimamura-190723

 

7月23日に掲載されている記事だが、復調までもう少しとはとても思えない。

実際に、しまむらの7月度の売上速報を見てみよう。

既存店売上高 17・5%減

全店売上高 16・8%減

客数 15・9%減

客単価 1・0%減

と絶不調に終わっている。

ちなみにこれが今年だけならまだ救いはあるが、2018年度の7月売上速報では

既存店売上高 11・2%減

全店売上高 9・0%減

客数 5・6%減

客単価 3・6%減

に終わっているから、既存店売上高でいえば、昨年11%減した数値のさらに、今年は17%減なのだからどれほど悪いかかがわかる。

復調の気配もないというのが正解である。

仮に一昨年の既存店売上高を100とすると、昨年の既存店売上高は89、今年はそれに17・5%減だから73・4にしかならない。

一昨年からすると実に27%減である。

復調どころか、さらに悪化する兆しがあるといえる。

今年7月度の売上高が振るわなかったのは、明らかに大幅な客数減である。

客単価は1%減だからほとんど昨年と変わっていない。

そして、しまむらの客数と客単価は既存店ベースではなく「全店ベース」なので、新店を含んだ全店で客数が16%も低下しているのは相当に客数が減ったと考えられ、既存店の中には20%以上の客数が減っている店もあると考えられる。何せ、昨年よりも店舗数は増えているのだから、それでも客数が減るというのは相当に悪化しているといえる。

 

しかし、アパレル業界やメディアは「しまむら危機」はあまり報じない。ユニクロならたった数%減少しただけで「ユニクロ危機」が報じされるのに(笑)。

どうもアパレル業界には「ユニクロ憎し」で「しまむら贔屓」の人が少なからずいるように感じられるが、当方は彼らがしまむらの何に魅力を感じているのか皆目理解できない。

商品力も大したことがなければ、成長戦略も今のところ無い。一体何を評価しているのだろうか?単なるユニクロへの反発だけで持ち上げているならまったくの無意味だと感じる。

 

さて、先ほどの記事だが、しまむらの復調施策として、

 

短納期化が進んで復調したカテゴリーが徐々に広がってきた。過剰な低価格からも離れ、客単価を引き上げながら店頭在庫を抑えている。

 

とあるが、これも実際に効果があるのかどうか疑わしい。

要するに

1、短納期化

2、客単価引き上げ

の二つが柱となっているが、しまむら経営陣は本当にこれが効果的だと考えているのだろうか。

 

まず、短納期化について考えてみようか。

しまむらは元々はユニクロやGAPと比べて短納期化が売りの店だった。これをさらに短納期化するということだが、そんな神業が本当に可能なのだろうか。当方には疑わしく感じられる。

ZARA並みの高速回転で新型を投入するのだとしても、しまむらの現在の1店当たりの投入量はZARAよりもはるかに多いから、ターミナルに立地しないしまむらがそんなに短期間でそれを売りさばくことは至難の業だろう。

恐らく却って在庫が積み上がることになるはずである。

売り切り御免と言われているZARAとて、日本国内では何年間分の在庫量か知らないが、某バッタ屋に昨年30万枚を売却したとその筋では噂されている。

しまむらがZARA以上に小ロットで売り切れるとはとても考えられない。

また、しまむらにはそれほどのシステムは存在していない。

 

次に客単価引き上げである。

これを本当に実施すれば、しまむらは致命的な傷を負うのではないかと思う。

例えば、今年7月の売上速報を見てもらえばわかるように、しまむらが苦しんでいるのは客単価の低下ではなく、客数減なのである。

客数が減少しているということは、しまむらの人気がなくなっているということに他ならない。

客足が店から遠のいている現状で客単価を引き上げれば、既存の客はさらに離れる。

 

低価格ブランドで買っている人は、「安い物」が好きなのである。高い物を買いたいわけではない。もちろん、中には併用する人もいるだろうが、そういう人も、しまむらに対して「高価格・高品質品」は求めていないと考えた方が間違いが少ないだろう。

やっぱり「お買い得品」を求める層が固定客だと考えるべきではないか。

今、客単価を引き上げれば、客はさらにユニクロやジーユー、ウィゴーあたりに流れるだろう。

 

これが仮に「中価格ショップ」として定評のあるブランドなら価格を1000円や2000円引き上げたところで影響は軽微だろうが、低価格ショップとして定評があったしまむらが価格を引き上げることは、さらなる客離れを起こすだろう。

ブランドイメージを変えるなら、もっと中長期的な取り組みをするべきだろう。目先の客数減を客単価の引き上げで食い止めるという手法は、低価格ブランドにとっては有害でしかない。

 

安物屋だったユニクロが、ファッション化に取り組み始めたのが2004年であり、+Jを開始したのが2009年である。

2004年から数えて15年、+J開始から数えても10年が過ぎようとしている。

ブランドイメージを変えるにはこれくらいの年数は必要だということになる。

 

足元の天候に懸念はあるが、着実に成長性を取り戻そうとしている。

 

と先ほどの記事にはあるが、外野から眺めている分においては、しまむらの成長性はさっぱり見えてこないのだが。

 

 

 

そんなしまむらのロゴ入りTシャツをどうぞ~ 定価より高くなってるけど

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