クラウドファンディングは無策では絶対に成功できない
2019年7月16日 トレンド 0
アパレル業界、繊維業界は極度に「流行り物ツール」に弱い。
考えもなしに飛びつく。
知っているだけでもこの20年間それの繰り返しだ。
数年前から、インターネット通販が注目されている。しかし、実際のところはアパレル各社のネット売上高はそれほど大きなものではなく、今のところ、単独ブランドとしてはユニクロの850億円強が断トツの1位である。
しかし、メディアが「インターネット通販が好調」と報じれば、考えも知見もなしにそれに飛びつこうとする。
2005年前後のインターネット通販興隆期なら、大した工夫もなく、開始すれば先行者メリットとしてそれなりに売れた。夢展望の成功なんてその典型だと当方は見ている。
だが、これだけインターネット通販サイトが乱立すれば、無策では売れなくなるのは当たり前のことだが、それが理解できない業者が多数存在する。
インターネット通販でいえば、「ZOZOに出店すれば必ず売れる」といまだに信じているアホなアパレル企業も多数ある。
ZOZOTOWNとて、すでに1000を越えるブランドが出店している。超有名ブランドなら後出しじゃんけんで出店してもそれなりに集客は可能だろうが、無名ブランドが今更後発で出店したところで無策のままなら1000ブランドに埋もれるだけであることは、普通に考えればわかる。
そして、今、アパレルのみならず、繊維の製造加工業者がダボハゼ的に飛びつこうとしている・すでに飛びついている、のがクラウドファンディングだ。
近年、クラウドファンディングで注目を集めた新興ブランドがいくつか現れた。また、まったく無名の製造加工業者がクラウドファンディングでそれなりの資金を集めたこともあった。
こうした状況を見ると、三つ子の魂百までの繊維の製造加工業者としては不治の病であるダボハゼ病を発病させずにはいられなくなる。
クラウドファンディングで有名なサイトといえば、マクアケ、キャンプファイアーあたりだろう。
試しにマクアケ、キャンプファイアーのサイトを見てもらいたいと思うが、「ファッション」というジャンルに絞っただけでも一体いくつのプロジェクトが立ち上がっているのか。
https://www.makuake.com/discover/categories/fashion/1/
https://camp-fire.jp/projects/category/fashion
そして、達成しているプロジェクトもあれば、目標金額にまったく遠く及ばないプロジェクトも少なくないことがわかる。
これがクラウドファンディングの現実である。
例えば、繊維業界・経済メディアではネットを通じて知名度だけはそこそこに高い某業者があるが、日経新聞が主催しているクラウドファンディング「未来ショッピング」に4月に挑戦して、たった3人の賛同しか集まらずにあえなくプロジェクトを失敗に終わらせている。
某繊維工場への見学ツアーをクラウドファンディングしていたのだが、内容がビミョーだから失敗しても当然だろうと思う。逆によくこんなプロジェクトをクラウドファンディングしたなと呆れる。
しかし、ここからわかることは、そこそこにネットでは知名度が高い業者でさえ、クラウドファンディングは失敗に終わることがあるということである。
また、狙いは悪くないし、世の中のためにもなりそうなプロジェクトがたった数人の出資で終わってしまうなんてことは日常茶飯事である。
こんなところに、無策のままに製造加工業者が飛び込んで成功すると思っているのだろうか。(笑)
しかも、先日はこんな笑い話のようなこともあった。
パソコンのEメールすら扱えない業者が「クラウドファンディングは儲かるらしいからやるべき」などと言っているのである。
クラウドファンディングやる前にパソコンのEメールを練習しとけよwwwww
先日、セメントプロデュースデザインの金谷勉社長と、オールユアーズの商品企画開発を一手に担う原康人さんの初顔合わせをセッティングした。
オールユアーズといえば、一度のクラウドファンディングで1800万円を集めたことで一躍知名度を高めた。そして、原さんは全国各地の繊維製造加工業者に強いため、最近では「クラウドファンディングをやりたい」という製造加工業者からの相談が後を絶たないという。
一方のセメントプロデュースデザインは、衣料品は手掛けないものの、雑貨を中心としたプロダクトデザインを工場と開発しており、最近では行政からの指導依頼も多い。
やはりこちらにも工場や行政からの「クラウドファンディングをやりたい」という相談が相次いでいるという。
両者は「これだけプロジェクトが乱立している中で、無策でポンとアップしたところで絶対に資金は集まらない」と言い切る。まあ、極めて当然の知見である。
そして、口をそろえるのが
多くの工場や下手をすると行政もクラウドファンディングすることが目的となってしまっている。クラウドファンディングは手段にすぎない
という点である。
アパレルや繊維の製造加工業者に限らず、遅れている業者はすべからく手段を目的化してしまう。
その結果ますます傷口を広げることになる。
例えば、クラウドファンディングで成功したが、その後、さっぱり鳴かず飛ばずで終わっている繊維業者を当方はいくつも見ている。
どうしてそうなるかというと、クラウドファンディングをやること、目標金額を集めることが「目的化」してしまっているからだ。
しかし、本来はクラウドファンディングは単なる手段に過ぎず、資金を集め、知名度を高めて次のステップに上らねばならない。
そこが理解できていないとクラウドファンディングは単なるお祭り騒ぎで終わり、半年後には元の木阿弥になっている。そんな業者は数多くある。
とは言っても、ダボハゼ病はアパレルも含めた繊維業界の宿病みたいなものだから、今後も考えなしに飛びついては死屍累々となることは続くのだろうと思う。ルイルイは太川陽介だけにしておいてもらいたいものである。
ずっと、このブログの「問い合わせ」欄が機能していなかったらしい。何人かから連絡がきたので修正をしました。
正常に稼働するようになったので問い合わせがあればそちらからお願いします。
もし、動きがまだ悪いようなら直接 minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp までご連絡ください。