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南充浩 オフィシャルブログ

モノだけでは低価格ブランドと区別ができなくなってきた

2019年7月12日 トレンド 0

いつもなんやかんやと不平不満を書いているくせに、それなりに洋服を買っている。

もちろん値下げ品ばかりである。まともに定価で買ったのはユニクロ×エンジニアドガーメンツのポロシャツ3枚くらいではないかと思う。

そういう意味では洋服が好きなのだろうと思う。

断っておくと、著名なファッション好きの方々とは比べ物にならないことは承知している。何百万円とか何千万円とかをどれほど金持ちになっても服に費やすことはしない。

990円とか590円に下がっている服があって、デザインや生地が気に入れば買う程度の好きさでしかない。

 

で、そんな当方から見ると、低価格ブランドと中価格帯ブランドの商品はますます見分けがつかなくなってきていると感じる。

とくに当方がいう「中価格帯ブランド」とは百貨店やファッションビルにテナント出店しているようなブランドのことである。

 

百貨店・ファッションビルブランドは昔ほど特徴のある商品デザインをしているわけではないし、低価格ブランドはデザインだけではなく、使用素材までファッションビルブランドと変わらなくなっている。

ユニクロ、ジーユーは資本力の大きさで素材品質も向上させているし、ファッションビルブランドは利益確保のために素材品質を低下させている場合が多い。

 

ちょっとこの商品の画像を見てもらいたい。

どこのブランドの商品かわかるだろうか?

今、各ブランドの店頭で等しく並んでいるアロハシャツである。

 

 

 

 

 

 

答えはユニクロである。

これはオンライン専用の商品なので店頭では見かけないが、こうやって画像だけ見ると、どこのブランドの商品なのかわからないだろう。

例えば「これ、ナノ・ユニバースの商品だよ」と言われても疑わないだろう。

定価2990円で現在は1990円に値下がりしている。しかし、侮るなかれ、すでに完売しているサイズや柄もある。アロハシャツというのは柄が派手だから、どこのブランドかわかりやすいが、これだとユニクロとはわからない。しかもオンライン専用商品なので店頭では並んでいない。

すでに完売しているサイズ、柄も多いから、これだけで少なくとも何万枚かは売れていると考えられる。

 

 

これはどのブランドなのかお分かりだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

答えはウィゴーである。

定価は2990円だがこれも1990円に値下げされている

これもまたどこのブランドなのか見ただけではわからないだろう。

 

こうなると、特定のブランドの特定の柄に強いコダワリがある少数の人間以外は、わざわざ高いアロハを買おうと思うだろうか。当方なら思わない。

何ならAmazonで1000円に値下げされているアロハシャツでも構わないくらいだ。そういえば、ヒョウ柄のポリエステルシャツが199円に値下げされているのを見つけたので、今度試しにAmazonで買ってみようかと思っている。(笑)

 

 

しかし、店頭で見るとやっぱり差はある。

ユニクロのアロハは現物を触れないので何ともいえないが、ウィゴーのアロハは店頭で見ると、生地が薄い。打ち込みが甘いと言った方が良いのだろうか。

昨年買ったユニクロUの無地開襟シャツは、同じようなレーヨン混素材だったが、やっぱり打ち込みが強かった。要するに糸の密度が高かったということで、それだけたくさん糸を使っているから本来なら生地値は高くなる。

 

アパレルの人は洋服が好きすぎてここでよく間違うのだが、モノとしては当然、昨年のユニクロUの方がウィゴーのアロハシャツよりも良いということになる。

だから「良い物は売れて当たり前」と考えがちになる。

だが、大衆はそこまでクオリティを重視していないし、クオリティの上下する基準もわかっていないし、そこにコダワリもあまり持っていない。

ウィゴーのアロハが990円に値下がりしたなら、1000円安いからそちらを買うという人が珍しくない。

 

品質が一定水準に達していることは当然だが、過剰に「品質のみ」を追求したところで服は売れない。色・柄・デザイン・シルエット・着こなし提案、などトータルにそろって初めて売れる。

ウィゴーの画像のアロハだと、生地の薄さは気になるが、ただ、色・柄・デザインなどはこれで十分だと当方は思う。990円に値下がりしたなら、当方はウィゴーのアロハを買うだろう。

 

国内の物作り系のブランドがなかなか売れにくいのは価格の高さもさることながら、「品質のみ」を追求しすぎている点にあるのではないかと思う。

服の評価はそれ以外の点が多いのだから、そちらにも目を向けないと絶対に売れない。

もちろん、そういうことが好きなマニア層は存在するから、どうしてもそういうことだけを追求したければ、少数のマニアに向けた売り方をすべきである。

 

逆に中途半端な中価格帯ブランドはどうやって生き残るつもりなのだろうと、ユニクロやウィゴーのアロハシャツを見ていて強く思う。

最早、商品の見た目だけではまったく遜色は無くなってきている。品質だって大きく変わらない。そうなると、安いブランドの方が売れやすくなるのは当たり前である。

となると、今必要なことは「ブランド」としての個性をより強く打ち出し(決してチンドン屋の衣装みたいな奇抜な服を作れということではない)、ブランドとしてのイメージを際立たせるしか手はないだろう。

日本のアパレル業界はそこが苦手な企業が多いのだが、それができない企業は大資本の低価格ブランドに飲み込まれるだけだと思う。

 

 

 

ウィゴーのアロハシャツをどうぞ~

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