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南充浩 オフィシャルブログ

嗜好品としての要素がない商品は売れない

2019年6月11日 考察 0

洋服店に限らず、日々新しい店が各地でオープンしている。

ほとんどの新店舗はどれもそれなりに外観・内装ともにオシャレである。昭和40年代みたいなボロい外観・内装の店はない。

古民家や長屋を改装したりという場合もあるが、それとてある程度の内装はリニューアルされており、レトロモダンみたいな雰囲気にまとめられている。

いまどき、ブラスチックのテーブルとパイプ椅子を設置する店などない。

 

これを指して「ファッション化」という。

しかし、この「ファッション化」を「ファッションとしてランクアップさせた」と誤解している人が業界には多くいる。

例えば「低価格ブランドもファッション化している」という文節があったとして、本来の意味は、昭和50年代のダイエーの洋服平場みたいな「モサっ」としたものではなく、低価格店の外観・内装・什器ともにそれなりに平均的に美しくなって売り場そのものの見映えが良くなっているという意味なのだが、これを「低価格品がファッションになった」と誤解する人がおり、そのたびに「低価格品は必需品、ワシらはファッション品」という謎の定型文が登場することになる。

 

とはいえ、先日のユニクロ×エンジニアドガーメンツポロシャツの爆発的な売れ行きを見ると、十分にユニクロも「ファッション」となっているといえるのだが。(笑)

 

低価格品に食われっぱなしの百貨店出店ブランドを含めた中級価格帯のブランドだが、98年のユニクロフリースブームからこの20年間、何かの呪文のように「低価格品は必需品、ワシらはファッション」と唱え続けてきたわけだが、この負け惜しみ?を続ける限り、絶対に売れることはないだろうと思う。

 

先日、なかなか良い考え方が書かれたブログを拝読した。

若い頃に当方も百貨店のメンズ服についていろいろと教えていただいた生地雅之さんのブログである。

https://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/ochi/d801336a-4ab6-49b5-a8eb-046a2f984e7c

 

今やGMSの肌着や靴下、ユニクロのフリースでさえ、必需品で無く必欲品と意識しないとマーケット判断を間違うのです.

 

とある。要は「本来の意味でのファッション化」したことで、低価格衣料品であってもある程度の「必欲品(嗜好品)」としての要素がないと売れる物ではないということである。

先ほども挙げたユニクロ×エンジニアドガーメンツのポロシャツなんてその最たる例だろう。

1990円と2990円のポロシャツなんて本来は低価格品で、それこそ「必需品」「ファッションではない」と見なされてきた商品だが、エンジニアドガーメンツとのコラボという「付加価値」を与えたことで、必欲品・嗜好品として認知され、ユニクロの膨大な生産数量でさえ、色柄サイズによっては売り切れるという状況になっている。

必需品としてのポロシャツなら複数枚買う必要はないが、嗜好品としての認知がされたために、複数枚の購入者が数多く現れた。当方も3枚買ったからそのうちの一人ということになる。ちなみにマサ佐藤氏も2枚買った。

ユニクロ×カウズのTシャツもそうだろう。当方はカウズのグラフィックにあまり魅力を感じないが、これも柄によっては完売している品番がある。

 

大手スーパーマーケットのPB衣料品がさっぱり売れないのは「嗜好品」としての認知が低いという要素がある。

むやみやたらと値段を下げようと、ユニクロの企画に追随しようと、「嗜好品・必欲品」として認知されなければ売れない。

たまたま薄着で外出したら急に気温が下がってきて寒くてたまらないから、たまたま通りかかったイオンやイズミヤで投げ売りしていたアウターを買うということはあっても、わざわざ「そのイズミヤアウターが欲しい」という買われ方はしない。

生地さんのご指摘されるように、低価格ブランドに食われっぱなしの旧体質アパレルはこの認識が欠けているのではないかと思う。またPB衣料品でむやみやたらな値下げとユニクロへの追随しか立案できないスーパーマーケットのPB衣料品はこの認識が欠けているといえる。

「うちのブランドの方が安いのになぜか売れない」

と嘆くアパレルは珍しくないが、それは広告宣伝にも問題があるのかもしれないが、そのブランドが「必欲品・嗜好品」として認識されていないという理由もある。

じゃあ、嗜好品として認識してもらうためには、どのような売り方・見せ方・伝え方が必要になるのかということを考えなくてはならない。

それは各ブランドにとってはケースバイケースだろう。

 

実はこの生地さんのブログは短いが中身が2つある。

もう一つはタイトルにあるようにスポーツウェアブランドに対してで、

 

オリンピックを目前にして、スポーツブランドやアウトドアブランドのお店が閑散としています。
企業としての営業利益や経常利益は確保できている企業もあるのですが、リアルのお店はどのエリアに行ってもお客様がほとんど見受けられないのです。アウトレットでさえ、、

 

どのブランドがというわけではなく、概してという状況を指しているのだと考えられるが、スポーツ・アウトドアへの世間の注目が高まっていることに反して意外にリアル店舗が盛り上がっていないということはちょっと危機的状況ではないかと思う。

それはもしかしたら、先ほどの「必欲品・嗜好品」としての側面を盛り込めていないのかもしれない。

 

飲食店も洋服店も新規オープンする店は、すべからく外観・内装ともにそれなりに洗練されたものになっている。もちろん売れ行きが低迷してすぐに撤退してしまう場合もあるが、「嗜好品」として選ばれるために外観・内装だけでもオシャレっぽくしているといえる。

この部分を考慮せずに、値段ばかり下げても意味はないし、「物作りと品質ガー」と唱えたところで一部のマニアしか惹きつけられない。

すべての商材は「ファッション化」して「嗜好品」としての側面を取り込んできているのだから、そこを外していては勝ち目はないだろう。

 

 

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